静脈経腸栄養
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27 巻 , 3 号
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特集
  • 岩坂 日出男
    2012 年 27 巻 3 号 p. 867-874
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    急性期重症患者の栄養管理の目的は除脂肪体重量の維持にある。この目的に栄養アセスメントは重要な位置を占めてくる。しかし急性炎症反応による血管透過性の亢進、輸液負荷などにより伝統的な栄養アセスメント法である身体計測、アルブミン値、Rapid turnover proteinの有効性は消失してしまう。また基本的な病歴聴取も不可能な場合が多くなる。このような状態での栄養アセスメントのためには疾患の重症度、全身炎症反応の程度、これらによってもたらされるストレス誘導性高血糖などの病態を理解し、早期経腸栄養など適切な栄養療法を選択する必要がある。また栄養療法に伴って生じるRefeeding症候群などを理解し、常に栄養療法の効果、合併症についてアセスメントを繰り返すことが重要と考えられる。
  • 葛谷 雅文
    2012 年 27 巻 3 号 p. 875-877
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    急性期を脱した慢性期には慢性期の栄養評価の意義が存在する。その評価ならびにその先にある栄養介入を適切に実施しないと、再び急性期疾患に罹患したり、要介護状態の悪化を招く。そのような慢性期の栄養評価にはその患者背景に沿った、特有の評価項目が含まれており、それらを十分に理解し適切に評価することが重要である。
  • 伊藤 美穂子
    2012 年 27 巻 3 号 p. 879-884
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    栄養障害を回避するためには、「現在の栄養障害リスク」と「未来の栄養障害リスク」を速やかに判断し対応することが必要である。また、栄養アセスメントの時期が不適切だったり指標の選択が不十分であると、栄養障害リスクへの対応の遅延に繋がる。栄養障害リスクを生ずるリスクファクターは、その時期により異なるが、本稿では、栄養補給法の違いによるリスクファクターについて述べる。
  • 森 みさ子
    2012 年 27 巻 3 号 p. 885-894
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    栄養アセスメントでは疾患やデータのみにとらわれず、患者の全体像をアセスメントする必要がある。そのためには患者の生活背景や社会的資源など、看護専門職としての意図的な情報収集と記録が鍵となる。本項では“呼吸”“栄養”“排泄”と、アセスメントをする上で欠かせない“疾患および身体状況”と“心理社会的側面”について看護師の立場からアセスメントのポイントを説明する。
  • 増田 修三
    2012 年 27 巻 3 号 p. 895-901
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    食欲、味覚、摂食機能あるいは食物を含む対象への認知機能低下は、加齢、疾病によって高齢者に起きる変化として認識されるが、使用される薬剤の副作用としては見逃されやすい。高齢者における多剤、多系統の使用、さらに個々の情報の複雑さが代表的要因であることは疑う余地もないが、医療・介護スタッフによる対面あるいは現場での情報収集にも課題があるように思われる。そもそも、高齢者では、食生活上の不具合が発端となりQOL全般に影響しやすい。つまり、「食事摂取量の減少→低栄養→ (疾病の誘因) →身体・精神活動の低下→介護度上昇」の図式で、薬剤に起因する低栄養が、生活機能を、しかも不可逆的に悪化させうる。「原因不明の食欲低下は、まずは薬剤を疑え」と言われ、栄養アセスメントに携わる専門職には、効率よく必要な薬剤知識を身につけること、さらに副作用徴候をも念頭に暮らしぶりに細かく気配り、目配りする意識づけが求められよう。ライフスパンでのQOL維持・向上を栄養ケアの命題と考えるなら、なおさらである。
  • 畑中 徳子
    2012 年 27 巻 3 号 p. 903-907
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    栄養アセスメントは、身体計測、身体徴候、臨床検査値、食事調査などから得られた情報を基に行われる。なかでも臨床検査は日常手軽に行うことができ、その時々の患者の状態を良く反映し、多くの情報を与えてくれる。しかし臨床検査値は、当然のことながら栄養状態だけでなく、他の病態、病状によっても変動するものである。さらには、検体のサンプリングから測定実施、測定結果の解釈まで、色々な段階でのピットホールが存在する。
    今回は、臨床検査値を栄養アセスメントに上手に活用するため、臨床検査値の結果解釈をする上でのポイントを、(1)生理的変動要因、(2)検査項目の持つ特性による変動要因、(3)患者の病態による変動要因、(4)検体採取方法や処理方法による変動要因、(5)測定方法の違いによる変動要因の5点で整理した。
  • 東山 幸恵, 大嶋 智子, 永井 亜矢子, 若園 吉裕, 久保田 優
    2012 年 27 巻 3 号 p. 909-916
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    小児期の栄養障害は成育に悪影響を及ぼすことが懸念されており、適切な栄養アセスメントと栄養状態改善への介入は重要である。しかし小児の栄養評価に関する議論は成人に比べ充分ではない。そこで筆者らは医療機関を対象に小児栄養評価についての質問票による実態調査を行った。その結果、栄養評価を実施するための各種基準値に関する検討、及び小児栄養評価に対する情報量の不足といった課題が浮き彫りとなった。また、病児、健常児を対象にWaterlow分類による栄養評価を行ったところ、病児だけでなく健常児においても栄養障害リスクのある児が一定数存在することが判明した。医療機関において病児の栄養評価を行う際には、健常児の栄養状態の特徴を理解したうえで、判定を行う必要であることが改めて示唆された。
  • 関根 里恵
    2012 年 27 巻 3 号 p. 917-922
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    重症患者の栄養アセスメントは、刻々と変化する病態を把握し栄養療法のプランニングを行なわなくてはならず、専門的な知識と高度な技術が要求される。
    東京大学医学部附属病院では、2010年に「院内ICU栄養ガイドライン」を作成し定期的なNST活動が実施されるようになった。
    ICU患者で手術後や熱傷、外傷患者に対して経腸栄養の早期開始を積極的に行なうべきであるが、実際は重症患者の栄養投与は難しく合併症も少なくないことからガイドラインのみに頼ることのないよう注意しなければならない。
    重症患者の栄養アセスメントを行なうことが栄養状態の改善に寄与するか否かについては現在もコンセンサスは得られていない。集中治療の現場では限られた時間の中で病態の進行を予測しながら栄養療法に必要な情報をいかに多く入手するかがポイントとなる。
原著
  • 蟹江 治郎, 赤津 裕康
    2012 年 27 巻 3 号 p. 923-928
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    【目的】半固形栄養材を胃瘻カテーテルへの注入後、その物性によりカテーテル内の残留量の差違を検証する。
    【方法】寒天により半固形状とした栄養材と粘度増強により半固形状とした栄養材を、各々胃瘻カテーテル内に注入した後にフラッシュを行い、カテーテル内の残留量を測定する。
    【結果】同じ半固形栄養材においても、その物性の差によって、注入後のカテーテルへの付着量に差違を認めた。
    【結論】寒天による半固形栄養材においては、その付着性が低いことから、注入後の注水によりカテーテル内の汚染が最小限に抑えられるものと考える。
  • 堤 理恵, 西口 千佳, 長江 哲夫, 前川 ひろみ, 中井 敦子, 谷本 幸子, 三村 誠二, 長江 浩朗, 栢下 淳子, 中屋 豊
    2012 年 27 巻 3 号 p. 929-935
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    【目的】Nutrition Support Team (NST) が稼働している施設において、整形外科手術後7日間の高齢患者に対する栄養摂取状況と必要エネルギー達成率について検討を行った。
    【方法】対象患者は、全身麻酔下にて整形外科手術を実施した70歳以上の高齢者とし、レトロスペクティブに検討を行った。
    【結果】対象患者は、本研究の趣旨に賛同した6施設、合計102症例 (男/女 : 36/66) とした。年齢78.2±5.4歳 (mean±SD)。総摂取エネルギー量は、術後1日目1012±602kcal、3日目1280±491kcal、5日目1404±431kcal、 7日目1407±420kcalであり、このうち1-2日目は輸液併用患者が42%であった。また、必要エネルギー達成率は、術後5日目は40%であった。施設間において総エネルギー量はばらつきが大きく最大で2倍以上の差が認められた。
    【結語】どの施設でも術後の栄養摂取状況は術後5日間で徐々に増加したが、目標量に達成している患者は全体の40%と少ないことが示唆された。
臨床経験
  • 白尾 一定, 秦 洋一, 立野 太郎, 出先 亮介
    2012 年 27 巻 3 号 p. 937-940
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    当院における術前経口補水療法と術後早期経口摂取への試みについて報告する。術前経口補水療法は2009年12月から2011年1月までの52例に適応し、手術前2時間前まで経口補水液 (OS-1) を摂取した。OS-1は平均815mL飲料され、胃内溶液は平均21mLであった。80歳以上の高齢者においても平均871mLの服用が可能であった。アンケート調査の結果では、82%が飲みやすいと回答した。2010年3月から2011年1月まで胃切除6例、胃全摘9例、結腸切除5例に早期補水療法を行なった。早期補水、食事開始に伴う合併症は認められなかった。胃全摘について従来法と比較した。輸液終了日は、早期補水群で有意に短かった。術前OS-1による経口補水療法は、口渇感や移動、着替えなどの日常生活などの制限もなく、高齢者にも安全に服用できた。小規模なsample数で疾患を限定した消化器疾患に対する早期補水、経口摂取は施行可能であった。
症例報告
  • 石丸 啓, 阿部 仁郎, 堀 由香, 鈴木 秀明, 湯汲 俊悟, 仙波 靖士, 篠原 理佐, 渡邉 彰, 阿部 聖裕, 岩田 猛
    2012 年 27 巻 3 号 p. 941-944
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    症例は54歳、男性。脳梗塞後遺症による嚥下障害のため、経管栄養が行われていた。誤嚥性肺炎を繰り返したため、経胃瘻 (PEG) 的に空腸チューブを挿入留置した (Percutaneous Endoscopic Gastrostomy with Jejunal Extension, 以下PEG-J)。その後血清銅値が低下したが、PEGに戻したところ血清銅値の上昇が確認された。
    成人の銅の推定平均必要量は0.72mg/日とされている。自験例はその必要量を満たしているにもかかわらず銅欠乏を認めた。同じ経腸栄養剤を使用したPEG患者で銅欠乏患者が存在しないことから、PEG-Jという投与経路に問題があると考えられた。すなわち、栄養剤が銅の主たる吸収部位である十二指腸を通過せず吸収不良が生じたものと考えられた。PEG-Jでの経腸栄養管理に関しては銅欠乏を念頭に置いて厳重に経過を追う必要があると考えられた。
  • 斎野 容子, 三松 謙司, 川崎 篤史, 木田 和利, 吹野 信忠, 加納 久雄, 佐伯 郁子, 和田 裕子, 荒居 典子, 大井田 尚継
    2012 年 27 巻 3 号 p. 945-949
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    症例は70歳、男性。2007年11月、直腸穿孔及び腹膜炎にてハルトマン手術を施行、2010年8月、腸閉塞の診断で癒着剥離術及び小腸部分切除術を施行した。2010年10月、腸閉塞にて入院し、イレウス解除術及び小腸部分切除術を施行したが、術後3日目に小腸吻合部縫合不全を認め、術後7日目に創部Surgical site infectionによる腹壁創部〓開を認めた。創傷治癒促進と低栄養改善を目的としてNSTが介入し、中心静脈栄養、経腸栄養、食事の併用により適切な栄養管理を行うとともに、CaHMB・L-アルギニン・L-グルタミン配合飲料(アバンド™)1日1袋28日間の経口投与を行った。アバンド™投与後、腹壁創部は順調に改善して投与後28日目にはほぼ上皮化し、縫合不全は投与後20日目に閉鎖し、第67病日に退院となった。低栄養状態を改善した上でアバンド™を投与することは創部〓開や縫合不全部の創傷治癒促進に有効であると考えられた。
施設近況報告
  • 伊藤 明美, 足立 香代子, 寺本 房子, 北山 富士子, 中村 丁次
    2012 年 27 巻 3 号 p. 951-956
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/15
    ジャーナル フリー
    日本静脈経腸栄養学会 (Japanese society for parenteral and enteral nutrition;以下、JSPENと略) 栄養士部会では、JSPENが認定する栄養サポートチーム (Nutrition support team ; 以下、NSTと略) 専門療法士の資格をもつ管理栄養士に、栄養管理業務に関するアンケート調査を実施した。身体計測・臨床症状・検査値により栄養アセスメントし、エネルギー・たんぱく質・水分必要量を求め、食事や経腸栄養の投与プランを提案することが主な業務となっていた。しかし、ビタミン・ミネラルの投与量、嚥下評価や訓練、経腸栄養の衛生管理、静脈栄養に関する栄養ケアの実施率は低く、40%以上の回答者が静脈栄養の知識や症例検討などによる実践的トレーニングを必要と感じていた。これらのことから、管理栄養士におけるNST専門療法士取得後の研修目標が明確となり、カリキュラム等の作成とその体制作り、指導者の育成が栄養士部会の課題であることが明らかとなった。
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