静脈経腸栄養
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29 巻 , 2 号
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特集
  • 飯島 正平
    2014 年 29 巻 2 号 p. 689-694
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/15
    ジャーナル フリー
    輸液栄養療法は、基本的な医療行為でありながら、そのライン管理においては標準化された手法がないのが現状である。直接静脈内へ輸液をはじめとする薬剤を投与する治療であり、色々な視点からの管理が求められている。医師の処方に始まり、薬剤が投与されるまで多くの職種が関与し、投与される薬剤の特性から画一的な管理もできないのが現状である。今回は薬剤、ラインの面からなど理想的な管理を求めて問題点を指摘した。NSTが普及した現在、NSTが主導し、輸液栄養療法を精通した専門職ならではの管理を目指して努力してもらいたい。
  • 見戸 佐織, 土井 聖子, 四宮 聡, 飯島 正平
    2014 年 29 巻 2 号 p. 695-702
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/15
    ジャーナル フリー
    当院の栄養管理チーム(nutrition support team;NST)は2002年の稼働後より輸液ライン管理に取り組み、輸液チームを立ち上げ、安全で効率性のある輸液管理全般を目指した活動を行っている。まず標準化から始め、管理面で優れている輸液関連製品への統一・転換を図った。さらに、全職員向けの輸液マニュアルを整備、手技面の向上と製品特性の周知に努めた。すべての輸液製剤の当日の無菌調製化を実現し、輸液製剤に関する情報や輸液管理に必要な知識の啓発活動を行った。2004年より稼動時より行ってきたカテーテル関連血流感染サーベイランスを感染制御チーム(infection control team;以下、ICTと略)と共同で行うとともに輸液ライン回診を始めた。輸液ライン管理の標準化と計画的で現実的な輸液ライン管理は、計画的な栄養管理を実現し、医療安全管理につながる。実際の輸液療法では多職種が関わっているため、NSTが核となって効果的な栄養療法に向けた活動を行う意義は大きいと考えている。
  • 木村 友紀, 稗田 幾子, 源田 和美, 長沼 広和, 小園 幸輝, 鷲澤 尚宏
    2014 年 29 巻 2 号 p. 703-709
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/15
    ジャーナル フリー
    輸液ライン管理は日常的な看護業務であり、カテーテル関連血流感染症(catheter related blood stream infection;以下、CRBSIと略)に代表される合併症を予防するために極めて重要な知識と手技の習得を必要とする。このため、当院では、新人からベテランまですべての看護師を対象とした教育・訓練を院内の電子システムを用いて組織的に行い、基準を満たした看護師は IVナースとして、静脈注射を実施している。この制度が6年目を迎えた現在では、末梢静脈カテーテル管理を中心に質の維持は達成されている。しかし、高カロリー輸液製剤の中央調整は不完全であり、病床数の多い大学病院で安全性を高めるには、NSTなどのチーム医療と連携し、配合変化などの専門知識を持った薬剤師が積極的に関与できるよう、診療部、薬剤部との連携システムを構築することが今後の課題となっている。
  • 森 みさ子
    2014 年 29 巻 2 号 p. 711-716
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/15
    ジャーナル フリー
    当院のような大学病院に限らず、急性期治療では注射薬による治療と静脈栄養管理が並行して行われる。投与アクセスとしての静脈ラインは適切に管理されてこそ、適切な診療が実現する。管理の主体は看護師であり、当院の質的管理の現状について報告する。まず、どの段階でも手指衛生が基本だが、具体的なタイミングを示す啓発活動に加え、手指衛生が実施できる物品の提供や環境整備にも病院として取り組んでいる。次に、種々の輸液製剤の病棟でのミキシングや脂肪乳剤のような取り扱いに配慮が必要な製剤では厳格な管理を要するため、関連する委員会等と連携して現実的対策を実践している。さらに、ラインディバイスの取り扱いやカテーテル刺入部管理手技に関しても、現場での問題点を検討し形式的管理に陥らないような努力をしている。
    こういった対策も遵守が原則であり、継続的な啓発が必要である。さらにまだまだ改善すべき課題が残っており、解決に向けて取り組まなければならない。
  • 名德 倫明
    2014 年 29 巻 2 号 p. 717-724
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/15
    ジャーナル フリー
    輸液を管理する上で、混合する注射剤や使用する医療用具を考慮する必要がある。注射剤は、多剤を配合することにより外観変化や力価低下等の配合変化を起こすことがある。また、接触時間の短い側管からの投与においても配合変化を起こす組合せがある。薬剤だけでなく医療用具においても、その材質により薬剤の吸着・収着、可塑剤(DEHP)の溶出、輸液フィルターの影響等、多くの問題があり、それらを解決していかねばならない。
    本稿では、これらの問題に焦点をあて、その原因と解決策を概説する。
  • 井上 善文
    2014 年 29 巻 2 号 p. 725-731
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/15
    ジャーナル フリー
    静脈栄養を行う場合の合併症予防対策としては、カテーテル感染に対する対策がきわめて重要である。中でも輸液ライン、特に接続部に対する対策が重要である。現在注目されているのがカテーテルと輸液ラインの接続部に用いられるニードルレスコネクターである。本邦ではニードルレスコネクターに対して閉鎖式輸液回路という呼称が用いられているが、この表現は正しくない。針刺し防止のために開発されたもので、感染予防目的に開発されたものではない。逆に、閉鎖式という日本語訳のために、これらの器具を用いれば感染しないという誤った考え方が広まっている可能性がある。正しい使い方をしなければ、逆に感染のリスクを高めることになる。三方活栓の使用・使用方法、ニードルレスコネクターの使用法、インラインフィルターの適応など、本邦の輸液管理の実情に応じた対策を講じるべきである。
原著
  • 谷口 英喜, 岡本 凉子, 上島 順子, 阿部 咲子, 岡本 葉子, 牛込 恵子, 石井 良昌
    2014 年 29 巻 2 号 p. 733-740
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/15
    ジャーナル フリー
    【目的】非脱水症の高齢者における、長期間の経口補水療法(ORT)の安全性および有効性を検証する。【対象および方法】対象者は、高齢者介護施設に入所している非脱水症の高齢者とした。研究デザインは、複数施設におけるランダム化割り付け比較試験とした。ORTによる介入を実施しないコントロール群(CN群、41名)と、介入を実施する介入群(OS群、41名)とした。OS群では、30日間継続的に経口補水液を1日当たり500~1,000mL摂取させた。【結果】OS群における安全性は、(1)合併症、(2) vital signおよび喫食率への影響、(3)血液学的所見の異常、が認められなかったことより証明された。有効性に関しては、ナトリウム部分排泄率の上昇、BUN/Cr比および血漿浸透圧の低下が認められたことより体液増加効果ありと判断された。しかし、CN群において脱水の発生が認められなかったことから、脱水予防の証明には至らなかった。【結論】非脱水症の高齢者における、長期間の ORTの安全性が証明され脱水予防の効果に関する有効性が示唆された。
  • 高橋 良樹, 福田 能啓, 野口 敬康, 三野 幸治, 奥田 真珠美
    2014 年 29 巻 2 号 p. 741-747
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/15
    ジャーナル フリー
    【目的】麹菌醗酵産物が TNBS誘発大腸炎ラットの腸管病変に及ぼす効果を検討した。【方法】麹菌醗酵産物(プロバイオティクス麹)として強力わかもと®、その組成分アスペルギルス・オリゼー NK菌培養末を用いた。ラットに5%プロバイオティクス麹を4週間混餌投与し、TNBS/50% Ethanol注腸で大腸炎を誘発した。対照群は精製飼料を同様に投与し、大腸炎を誘発した。TNBS注腸7日後に、大腸病変、大腸のsuperoxidedismutase(SOD)、myeloperoxidase活性と血清 Zn濃度、大腸のサイトカイン mRNA量、糞便Lactobacillus属の変化、下痢固体数などを評価した。【成績】5%プロバイオティクス麹投与群では、対照群に比して体重減少、下痢が抑制され、大腸重量と傷害スコアの上昇が有意に抑えられ、SOD活性、Lactobacillus属と Zn濃度の低下も有意に改善又は改善傾向を認めた。著しく上昇した TNF-α、Cytokine induced neutrophil chemoattractant-1は、プロバイオティクス麹により有意に抑制された(p<0.01)。【結論】プロバイオティクス麹は、TNBS誘発大腸炎の大腸病変の悪化を防止し、腸管環境を改善した。
  • 渡邉 誠司, 山田 愛美, 小林 あゆみ, 八木 佳子, 芹澤 陽子
    2014 年 29 巻 2 号 p. 749-756
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/15
    ジャーナル フリー
    【目的】胃瘻造設後の重症心身障がい児は食中・食後の高血糖を来すことが多いが、あまり気づかれていない。その実態を明らかにし、対処法を検討した。【方法】21名(男13名、女8名)の障がい児で、持続血糖測定器を使用し、72時間連続の血糖を測定した。食後高血糖の有無を年齢、胃瘻造設後年数、粗大運動能力、体格で評価した。血糖は、半消化態経腸栄養剤以外に、αグルコシダーゼ阻害剤、糖尿病用半消化態流動食2種、ミキサー食を投与して変化を見た。【結果】21名中11名で食後血糖が180 mg/dLを越えた。食後高血糖の有無で、評価項目に有意差はなかった。食後高血糖対処法の中では、ミキサー食が短時間注入で、血糖上昇が一番軽微であった。【結論】多くの障がい児で胃瘻造設後、食後高血糖が起こっている。ミキサー食が食後高血糖に対して最良の対処法である。
  • 小蔵 要司, 東 壮太郎, 宮森 弘年, 木元 一仁, 橋本 正明, 森田 絹代, 浜田 正剛, 作田 佳代, 中村 悦子
    2014 年 29 巻 2 号 p. 757-764
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/15
    ジャーナル フリー
    【目的】地域連携パスを用いた多施設協同の調査で、脳卒中病型別の絶食期間および、入院時重症度と栄養状態の推移を検討することを目的とした。【対象および方法】平成21年7月から22年6月に、能登脳卒中地域連携パスに登録された508名を対象とし、後方視的に調査した。【結果】対象全体の絶食期間は2.3±7.7日で、入院時の NIHSSとの間に正の相関が認められた(p<0.01)。絶食期間は、脳梗塞1.8±6.7日、高血圧性脳内出血3.5±10.6日、クモ膜下出血3.5±5.4日であった。絶食期間の病型群間比較において、脳梗塞と高血圧性脳内出血およびクモ膜下出血の間に有意差が認められた(p<0.01)。BMIと血清アルブミン値は、入院時と急性期終了時で比較すると、全ての病型において有意に減少していた(p<0.01)。またその減少量は、心原性脳塞栓症においてラクナ梗塞と比較して有意に大きかった(p<0.01)。【結語】入院時絶食期間とその後の栄養状態について、脳卒中の病型および入院時の重症度との関連が示唆された。
施設近況報告
  • 池松 禎人, 大菊 正人, 小笠 原隆, 蓜島 桂子, 坂田 淳, 島田 理恵, 二橋 多佳子, 丸井 志織, 岡本 康子
    2014 年 29 巻 2 号 p. 765-769
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/15
    ジャーナル フリー
    術前患者に水分・電解質・炭水化物を経口補充すると空腹・口渇感を軽減、脱水や飢餓状態を最小限にし、周術期の麻酔管理を容易にするとともに術後の回復を促す。当院では2011年8月より3ヶ月間、待機的消化器外科症例にアルジネードウォーター 2本を術当日午前7時までに飲用し有害事象が発生しないことを確認し、同年11月より院内全科で導入した。さらに2012年4月より症例を限定し手術前日から手術入室3時間前までオーエスワン1~ 2本、2時間前までにアルジネードウォーター 2本を飲用し病棟からの術前輸液を廃止、さらに手術終了帰室後の輸液をオーエスワン飲用で代用し術後点滴を廃止した。2012年8月より全科に上記経口補水療法を拡大した。2013年3月までに術前経口補水療法1750例、術後経口補水療法204例を実施したが、経口補水療法に関連した合併症はなかった。当院における術前・術後経口補水療法導入の工夫を報告する。
症例報告
  • 金田 聡, 小林 洋子, 高野 淳子, 中澤 保子, 牧田 奈津子, 山崎 明
    2014 年 29 巻 2 号 p. 771-774
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/15
    ジャーナル フリー
    完全静脈栄養においてカテーテル関連血流感染症は重要な合併症の1つだが、その診断・治療は時に難渋する。今回、新生児期に腸回転異常症・中腸軸捻転にて短腸症候群となり、以降在宅静脈栄養を行っている患者が発熱で来院したが、腹部症状などから腸炎の可能性を考えて抗生剤投与で経過をみたところ、翌日に血小板・凝固系の低下を認め、DICとなった症例を経験した。緊急でカテーテル抜去を行い、速やかに解熱したが、血小板の正常化にはしばらく時間を要した。
    中心静脈栄養管理中の発熱はカテーテル関連血流感染症を考え、カテーテルの抜去が治療原則だが、アクセスルートの枯渇のリスクから入れ替えは可能な限りさけたいところである。しかし、本症例のように経過中に急激に DICに進行する症例もあるため、全身状態、血液検査、凝固系検査の悪化があればカテーテル抜去を念頭に置いた早急な対処が必要であると考えられた。
研究報告
  • 合田 俊一, 高瀬 尚武, 樋本 繭子, 加藤 隆児, 井尻 好雄, 田中 一彦, 高原 秀典, 横山 正, 小野 成樹, 室井 延之
    2014 年 29 巻 2 号 p. 775-779
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/15
    ジャーナル フリー
    低栄養状態は、抗がん剤の薬物動態に影響を与える可能性があり、血清アルブミン値の低下が抗がん剤による副作用の危険因子となるという報告も散見されるが、血清アルブミン値と副作用の関連については十分に解明されていない。そこで、シスプラチン(CDDP)を含むレジメンにおいて、レトロスペクティブに副作用発現状況を調査し、これらの相関性を検証した。
    S-1+CDDP療法を施行した患者23名に対して施行前後における白血球、好中球、血中尿素窒素及び血清クレアチニンの変動について比較解析した。その結果、アルブミン正常群(施設基準 3.9 g/dL以上)における白血球数(中央値)は、4950/μLから4400/μLに、低アルブミン群(3.9 g/dL未満)では5100/μLから3400/μLに減少し、低アルブミン群の方が有意に減少していた(p=0.016)。一方、その他の因子の変動に有意差は認められなかった。
    本調査により、血清アルブミン値は CDDPによる白血球減少症を予測する因子の一つになり得る可能性が示された。
平成25年度日本静脈経腸栄養学会フェローシップ賞受賞者学会参加記
日本静脈経腸栄養学会認定地方研究会
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