静脈経腸栄養
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29 巻 , 4 号
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特集
  • 玉森 豊, 西口 幸雄
    2014 年 29 巻 4 号 p. 959-963
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    PEGは経腸栄養の重要性の認識とともに認知度が高まってきている.PEG造設法には Pull/Push法と Introducer法がありそれぞれに利点・欠点があるが,最近はIntroducer法の欠点を補った Introducer変法によるキットが多用されるようになってきた.Introducer法では胃壁固定は必須でありPull/Push法では固定なしでも可能であるが事故抜去の可能性などを考えると固定が望ましい.交換法については瘻孔損傷をしないように愛護的におこなう必要があり,ガイドワイヤーやスタイレット同梱のキットであればそれを利用するのもよい.確認には内視鏡等の観察下におこなう直接確認法と,交換後のカテーテルから造影したり内容液を吸引したりする間接確認法があり,間接確認法の場合は内部バンパーの瘻孔内留置を見落とす可能性があることを留意すべきである.最近超細径内視鏡を経胃瘻的に胃内に挿入する確認法もされつつあり,低侵襲で確実な確認法であることから今後の普及が待たれる.
  • 西脇 伸二
    2014 年 29 巻 4 号 p. 965-970
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     当院で PEGを施行した症例の患者背景、予後、転帰などを分析し、急性期病院における PEGの現状と問題点を検討した。造設件数は2000年以降徐々に増加し、2009年以降は減少傾向となった。造設患者の平均年齢は82歳であり、基礎疾患は脳血管障害が最も多く半数以上を占めていた。次いで、認知症、誤嚥性肺炎、神経・筋疾患の順であった。生存分析では生存中央期間は587日であり、女性、若年者、脳血管障害で生存期間が長い傾向を示した。死亡原因は肺炎が約半数を占めており、呼吸器感染対策が重要と思われた。入院経路は在宅からが最も多かったが、PEG後の在宅復帰率はわずか12%であり、多くは介護施設に転院していた。また、在院死も11%に認めた。今回の診療報酬改定で、経口摂取の回復を目指した PEGが推奨されており、急性期病院と介護施設や在宅医との連携が重要と思われる。
  • 小川 滋彦
    2014 年 29 巻 4 号 p. 971-974
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     在宅医療とは、真に患者中心の医療を具現する場であるならば、看取りの場ではなく、生活者としての社会復帰の場でなければならない。そのような大前提があればこそ、経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy:PEG)による栄養管理は真価を発揮し、エンドユーザーである患者と家族という当事者に歓迎される。ただ、介護者のいない独居者が増えている現状において、どのような在宅医療を描いていくかは、これからの課題である。
  • 宮澤 靖
    2014 年 29 巻 4 号 p. 975-980
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    高齢者が増え医療も高度化したことで、医療依存度の高い臓器不全の患者が増加している。このような患者は急速に栄養状態は悪化するのが特徴で、栄養とリハビリテーションのチーム医療が求められ、症例によってはその経口摂取が不可能であったり経口摂取そのものが患者にとって不利益になる症例も増加してきた。そのために経腸栄養法施行患者が増加し、長期管理の一つの方法として PEGによってより低侵襲に造設が可能になった。しかし、経腸栄養法は、経静脈栄養法に比して生理的であることが利点であるが「生理的であればあるほどトラブルは少ない」はずである。医療従事者のマンパワー不足や食材費最優先主義が横暴化してきて「人がいないから」という理由で加水バッグ製品の使用や1日1回ないし2回投与という非人道的な投与法を施行している施設がある。本来、経腸栄養法は「患者に対して生理的」な投与法であったが最近では「職員に整理的」なものになってしまっている。本来の正しい認識を我々も再確認して、胃瘻造設患者に対し安全で確実な栄養サポートを引き続き継続するためには、経腸栄養剤を正しく使用することが肝要である。
  • 倉田 なおみ
    2014 年 29 巻 4 号 p. 981-987
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     胃瘻から薬を投薬するために、従来から錠剤を粉砕して粉末状にする方法が行われている。しかし、錠剤を粉砕することによりチューブ閉塞、医薬品の品質低下、投与量ロス、配合変化など多くの問題が生じている。そこで、錠剤粉砕やカプセル開封を行わずにチューブから薬を注入する方法である簡易懸濁法を紹介する。簡易懸濁法は、投与時に錠剤やカプセル剤をそのまま約55℃の温湯に入れて撹拌し、最長10分間放置して薬を崩壊・懸濁させる経管投薬法である。簡易懸濁法により、経管投与できる医薬品数が増加し、錠剤粉砕の調剤時に発生する問題やチューブ閉塞等が解消できる。錠剤コードで医薬品の確認ができ、中止変更の対応も容易にできるなど、そのメリットは多い。簡易懸濁法で使用する機器や食塩の影響などについても解説する。さらにチューブ殺菌効果を目的に使用する酢によって起こった医療事故を紹介し、酢の濃度について注意喚起する。
  • 加藤 裕子
    2014 年 29 巻 4 号 p. 989-994
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    PEGを造設する患者は、食事摂取ができないため栄養不良であることが多く免疫力も低下していることから、容易に合併症を起こしやすい状態にある。PEGを造設することで、栄養状態が改善し寝たきりにならずに日常生活を送ることができるようになった症例が多くある中、QOL改善のために造設した PEGが管理上のトラブルによって患者・家族の負担となってしまうこともある。このような状況に陥らないためにも、患者の一番近くでケアをする看護師は PEGによる合併症を未然に予防し、トラブルを起こさないように管理していかなければならない。造設前から造設後、退院後も継続して看護師が適切なケアを提供し、患者・家族への指導を行うことは、PEGによるトラブルを未然に防ぎ安全な栄養療法を実施する上で非常に重要となる。PEG造設により起こりやすい合併症について、原因と対処および予防策について解説する。
  • 三原 千恵
    2014 年 29 巻 4 号 p. 995-1001
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     最近、マスコミなどでPEGの是非が問われ症例が減少した。安易なPEGの防止に役立った一方、「PEGは非人道的」という嫌悪感を煽ったことも否めない。基本的には経腸栄養のアクセスルートの一つとして、また経腸栄養から経口摂取への移行における栄養摂取の補助手段として PEGを捉える必要がある。
     筆者は経鼻胃管の不快感を除いて摂食・嚥下訓練を容易にし、栄養と水分を補給する「食べるための PEG」を推奨してきた。本年度の診療報酬改訂では、嚥下機能を評価しPEGや摂食機能療法を行うと加算され、経口移行後の胃瘻抜去術が新設された。しかし経口摂取に移行しても水分が不足する場合は嚥下しにくい水分を補給する「飲むための PEG」が必要である。
     摂食・嚥下障害における栄養管理のゴールは経口摂取である。われわれ医療福祉従事者は、患者の生きる楽しみである「口から食べる幸せ」まで、負担なく安全に到達するよう尽力すべきである。
  • 北川 泰久
    2014 年 29 巻 4 号 p. 1003-1008
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    日本は超高齢化社会を迎え、がん、認知症患者が増え、疾患を有する高齢者の栄養をいかに管理するかが社会的に大きな問題となってきている。特に、高度の認知症に対する胃瘻(PEG)の適応に関しては、延命治療の是非にも議論が及び混乱を招いている。 1980年初期に導入された PEGの新規造設件数は現在、20万件を越し、これからも高齢者の増加とともにますます重要となってくる。本稿では適応からみたPEGという内容で、その現状と今後の課題について述べてみる。
  • 塩澤 純一
    2014 年 29 巻 4 号 p. 1009-1015
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    ここ数年、日本における高齢者に対しての PEGの適応が、倫理的な問題を中心として大きな議論となっている。ますます高齢化が進む日本において、高齢者医療の対象のほとんどは根治が難しい病態である。QOLの意義についても様々な考察が行われているが、そのような場合には緩和の立場でのアプローチが有用と考える。
原著
  • 伊藤 彰博, 東口 高志, 巨島 文子, 太田 喜久夫, 栢下 淳, 重松 孝, 白木 亮, 藤谷 順子, 山中 英治
    2014 年 29 巻 4 号 p. 1017-1025
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    【目的】嚥下造影(VF)検査食の実態把握を目的に、全国25施設の使用状況と物性分布を調査した。【方法】VF検査手順の規定がある25施設から、VF検査食の種類、組成および調製方法を調査し、形状別に分類後、物性を評価した。【結果】全国25施設で合計155種類(最少2種類、最多12種類、平均6.2種類)のVF検査食が使用されていた。硫酸バリウムは17施設で、ヨード系造影剤は11施設で使用されていた(重複あり)。形状別では液体が80%、とろみ・ペースト状が76%、ゼリー状が96%、その他食事に近い固形物が72%の施設で使用されていた。物性は、液体の粘度は1~ 116 mPa・sとほぼ共通していたが、とろみ・ペースト状の粘度は79~ 1,984 mPa・sに幅広く分布し、「濃い」「薄い」の用語が示す物性は施設により差が大きかった。ゼリーはかたさ640~ 48,000 N/m 2 、付着性900 J/m 3 以下、凝集性0.2~ 0.9の範囲に分布していた。【結論】VF検査食の種類は様々であり、物性に関しては、液体やゼリーはほぼ共通していたが、とろみ・ペースト状の検査食は施設間の差が大きかった。
  • 座間味 義人, 小山 敏広, 合葉 哲也, 天野 学, 安藤 哲信, 倉田 なおみ, 名和 秀起, 名倉 弘哲, 北村 佳久, 千堂 年昭
    2014 年 29 巻 4 号 p. 1027-1033
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    【目的】従来の薬剤経管投与法である粉砕法は薬効の減少につながる薬剤量の損失が指摘されている。そこで粉砕法による薬剤量損失に対する簡易懸濁法の有用性について検討した。【方法】頻繁に粉砕指示がなされる5種類の薬剤を用いて粉砕・分包による薬物含量減少、薬剤調製時の懸濁性および実際の経管投与を想定した薬物含量について2つの方法を比較した。【結果】薬剤を粉砕・分包するとそれぞれの薬物含量は減少した。またワーファリン®錠を粉砕して水に溶解すると完全には懸濁せず、小さな塊が生じたが、簡易懸濁法では均一に懸濁した。ワーファリン®錠の経管投与を想定した実験において粉砕法では薬物含量が大幅に減少したが、簡易懸濁法では、ほとんど損失が認められなかった。【結論】簡易懸濁法は粉砕法に比べて薬剤損失の面で有用性が高いことが示唆され、ワーファリン®錠のように安定性が悪い薬剤では特に適正な薬物投与に貢献出来ると考えられる。
  • 内部 孝子, 原 祥子, 足立 経一
    2014 年 29 巻 4 号 p. 1035-1041
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    【目的】急性疾患治療後の高齢者における生活リズム障害の栄養状態に与える影響を明らかにする。【対象及び方法】対象は、急性疾患治療後にリハビリテーション病棟に転入した高齢者21名であり、転入時に生活リズム障害を認めた例と認めなかった例において栄養状態を比較した。また、生活リズム障害を認めた例においては、経過中の生活リズム障害の改善の有無と栄養状態の変動についても検討を行った。【結果】生活リズム障害あり群 (n=13) は、なし群 (n=8) に比較して、血清総蛋白 (TP) 値、血清アルブミン (Alb) 値が有意に低値であった。生活リズム障害が改善した2名は、血清 TP値、血清Alb値の上昇が観察されたが、生活リズム障害が消失しなかった3名は、血清 TP値、血清 Alb値の上昇は観察されなかった。【結論】急性疾患治療後に生活リズム障害を有する高齢者では栄養状態が悪化している可能性が高く、急性期治療中の高齢者においてはより詳細な栄養アセスメントや栄養に関するサポートを行う必要がある。
臨床経験
  • 柴田 裕, 伽羅谷 千加子, 斎藤 円, 渡部 郁子, 柳田 仁子, 後藤 康晴, 今野 正樹, 三浦 岳史
    2014 年 29 巻 4 号 p. 1043-1049
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    【目的】消化器癌外来化学療法施行時に栄養サポートを導入し、悪性腫瘍の予後因子として着目されている好中球 /リンパ球比 (NLR) 、血小板 /リンパ球比 (PLR) 、modified Glasgow Prognostic Score (mGPS) 、小野寺の Prognostic Nutritional Index (PNI) を指標に栄養サポートの効果を検討した。【方法】対象は2012年3月から2013年2月までの消化器癌外来化学療法施行症例128例 (男85、女43) を、経時的に評価可能であったサポート群 (n=41) と非サポート群 (n=19) に分けて、栄養評価初回および4回目に、上記評価項目の推移を検討した。【結果】NLR・PLRが、サポート群で栄養サポート後に有意に低下すなわち改善を認め、非サポート群では、経過観察中に有意に増加すなわち悪化した。両群とも mGPS・PNIは、有意な変化を認めなかった。【結論】外来化学療法患者に栄養サポートを行うことで、悪性腫瘍の予後との関連が報告されているNLR・PLRの改善を認めたことから、栄養サポートが化学療法施行患者の治療成績向上に寄与する可能性が示唆された。
  • 柴田 賢三, 宇野 達也
    2014 年 29 巻 4 号 p. 1051-1055
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    終末期がん患者に対する在宅輸液療法について、「終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン」と比較検討を行った。2011年1月~ 2012年12月までに居宅療養管理指導を行った終末期がん患者80例のうち、在宅にて看取りが行われた13例を対象とした。検討項目は輸液内容 (水分量、投与熱量、アミノ酸量) の推移と内容変更理由、変更後の身体的苦痛症状の変化とした。輸液内容の変更後、その投与量は全て有意に減少していたが、保険診療の制約上5例は死亡時まで中心静脈栄養が投与されていた。輸液内容の変更理由は Palliative Performance Scale (PPS) の低下が12例と最も多く、身体的苦痛症状の変化については浮腫の改善割合が大きかった。終末期がん患者に対する在宅輸液療法は輸液内容を調製することにより、ガイドラインにある程度準じることは可能であるものの保険診療的な問題も多くその早期解決が望まれる。
症例報告
  • 藤原 彰, 松永 直子, 祁答院 知佳, 畑田 万紀子, 井上 祥子, 勝木 信敬, 野上 玲子, 森 由紀子, 石﨑 雅俊, 蛯原 賢司
    2014 年 29 巻 4 号 p. 1057-1062
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
     片腎の褥瘡例に、アルギニン (以下、Argと略) 、グルタミン (以下、Glnと略) 、及びβ-hydroxy-β-methylbutyrateが配合された食品 (以下、Arg/Gln/HMBと略) を使用した高濃度アミノ酸の負荷による栄養療法を行った。なお、血清クレアチニン (以下、Creと略) 、血中尿素窒素 (以下、BUNと略) に加え、窒素出納 (以下、NBと略) を参考にアミノ酸の負荷量を調整した。
     症例は63歳、女性。仙骨部の褥瘡。Arg/Gln/HMB;48g/dayの負荷を開始したところ、NBは負、BUNは高値を示した。24g/dayに減量しエネルギーを増量した後は、NBは正に転じ、BUNは正常化した。負のNBとBUNの高値は、ArgとGlnの過剰負荷によるものと推察された。また、NBとBUNは必須アミノ酸の補充、褥瘡の状態の変化によっても変動した。栄養療法の期間中、Creの上昇を伴わず、褥瘡の改善 (DESIGN-R;30→15点) が認められた。Arg、Glnの負荷を長期的に安全かつ効率的に行うためには、NBやBUNなどの指標による病態に応じた負荷量の調整、必須アミノ酸の補充および非たんぱく質エネルギー窒素比の見直しが重要であった。
日本静脈経腸栄養学会認定地方研究会
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