静脈経腸栄養
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29 巻 , 5 号
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特集
  • 田中 弥生
    2014 年 29 巻 5 号 p. 1143-1149
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
    2025年開始を目指した地域包括ケアシステムは、地域住民のニーズに応じた住宅が提供されることを基本とし、「生活上の安全・安心・健康を確保するために医療や介護のみならず、福祉サービスも含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制」と定義されている。この定義の中には、「食生活及び栄養障害の改善、疾病の再発予防や疾病の予防ができ、地域住民が住み慣れたところでその人らしい生活を送ることができる」ということも含まれており、そのためには要介護高齢者は病院から施設、在宅に移り変わっても一連で適切な栄養管理が必要である。栄養ケアに関する情報の提供、ケアマネジャーを中心とした多職種の協力、地域社会に密接した全高齢者への主観的栄養アセスメントの徹底、地域家族も含めて多職種全てのスタッフが共通の概念をもつことが重要であり、科学的根拠に基づく栄養管理を地域包括ケアシステムで共有することが必務である。
  • 佐々木 雅也
    2014 年 29 巻 5 号 p. 1151-1156
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
    多くの医療機関において栄養サポートチームが精力的に活動しているが、急性期病院の在院日数は年々短くなっている。栄養不良患者の栄養管理が急性期病院で完結することは難しくなっている。したがって、栄養管理においては、病診連携・病病連携が極めて重要である。栄養管理の地域連携においては、共通言語となるべきツールの活用が必要であり、これには、地域連携パスや摂食・嚥下の連絡票の活用が有用である。大学病院を中心とした栄養管理の地域連携は、県下全域、さらには隣県も含めた広範囲に至る。地域における温度差の解消が地域一帯型NSTへと発展する上での課題である。
  • 増田 修三
    2014 年 29 巻 5 号 p. 1157-1163
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
    全国に共通する高齢化という根本的な問題を背景に、疾病や介護予防の観点から地域密着型 NSTの必要性が広く認識されてきた。高齢化、認知症、摂食嚥下機能の問題などにより、栄養リスクを有する地域住民の増加が予測される。
     在宅での死亡者数は30年後には50万人増加し170万人と予想されるが、病床数の増加は不可能である。今後の大きな流れとして、栄養サポートの最前線は病院から施設や在宅へ移るため、『地域包括ケアシステム』の中で栄養サポートを考える時期がきた。薬剤師の役割は経腸栄養剤の宅配や高カロリー輸液の無菌調剤だけではない。食欲不振や消化器症状の原因となりうる薬剤や薬物と食物の相互作用の確認・情報提供が望まれる。高齢者への多剤投与は副作用が多発することが知られ、食欲低下の原因になることもまれではない。患者や家族のQOLが向上することを目標にした地域密着型 NSTでの薬剤師の活動を報告する。
  • 江頭 文江
    2014 年 29 巻 5 号 p. 1165-1169
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
     高齢者の食支援は、さまざまな疾患に対応するとともに、障害の程度やその生活背景や認知機能などの背景が影響する。高齢者の食の問題には、食欲不振、排泄問題、褥瘡、認知機能の低下、摂食嚥下障害、糖尿病や循環器疾患など慢性疾患への対応、がんや老衰による終末期への対応などの問題があるが、摂食嚥下機能が低下してきた場合には食事摂取基準だけではなく、食形態という別の視点での介入が必要であり、双方がしっかりと調整できて初めて栄養管理ができたといえる。その介入目的には、予防型、機能向上型、機能維持型、リスク軽減型、終末型の5つがあり、それぞれの目的に応じて対応していく。認知症を合併している場合は指示が入らず、介入が難しい場合もあるが、本人とその想いを傾聴しながら、向き合っていくことが重要である。
  • 建宮 実和
    2014 年 29 巻 5 号 p. 1171-1176
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
     地域で食支援を行なう訪問看護ステーションを開設した。
     「多職種連携」という言葉が聞かれるようになってから久しいが、あなたの住んでいる、もしくは働いている地域で「顔の見える関係」とは、構築されているだろうか。あなたの大切な人が倒れたとき、あなたが老いた時、どんなケアが、どんな場所で、誰に依って提供されるだろうか。地域連携の栄養管理を行う上で、看護師はどのような役割を果たせば良いのだろうか。実践を始めたばかりではあるが、NST専門療法士の資格が、地域連携においてどのようにいかされるか、ステーションでの実践を通して考察する。
  • 岡田 晋吾
    2014 年 29 巻 5 号 p. 1177-1181
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
     在宅医療のニーズは高まっている。経口摂取で十分に必要栄養量が摂取できない場合には在宅経腸栄養法が選択されることが多い。長期にわたって経腸栄養管理を受ける場合には患者本人だけでなく介護者の負担を考慮した栄養管理法を関係職種で検討し、選択をすることが必要となる。在宅スタッフには病院のように栄養管理に詳しいスタッフは少なく、新しい栄養剤や医療機器に関する情報も得られないことも多い。そのため病院スタッフとの連携は必須と考えている。また在宅療養の QOLを高めるためには、訪問看護師だけでなく歯科医、薬剤師、栄養士、リハビリテーションスタッフ、ケアマネジャーなど医療・介護スタッフとの連携がとても大事であり、個々の患者に合わせたチームで支えることが大切と考える。
  • 望月 弘彦
    2014 年 29 巻 5 号 p. 1183-1191
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
     病態が安定しており、在宅復帰によってQOLの改善が見込め、患者や家族が希望していることが HPN導入の前提となる。保険診療上の適応は「医師が必要と認めた場合」であるが、より生理的な経口・経消化管から栄養投与が十分にできないことが絶対条件となる。HPNの合併症としてカテーテルに関連した感染症、カテーテルやポートの閉塞、静脈血栓、血糖や水・電解質異常、肝機能障害などに注意が必要である。アクセスデバイスにはブロッビアック/ヒックマンカテーテルや CVポート、通常の CVカテーテルや PICCカテーテルがあり、予想される HPN施行期間や患者の活動性、余命などを考慮して選択する。在宅への移行にあたっては、十分な患者・家族指導とともに輸液製剤を提供する調剤薬局も含めた在宅担当者との緊密な連携が欠かせない。さらには地域包括ケア病床などのポスト急性期、医療療養病床などの慢性期病院も活用したネットワーク造り:地域一体型 NSTの構築が望まれる。
原著
  • 野口 敬康, 高橋 良樹, 下山 克, 奥田 真珠美, 福田 能啓
    2014 年 29 巻 5 号 p. 1193-1199
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
    【目的】炎症性腸疾患に対するアスペルギルス・オリゼーNK菌発酵穀物胚芽(A. oryzae NK菌麹)の防御効果を評価するため、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)惹起大腸炎の病状と大腸粘膜サイトカインに及ぼす影響を検討した。【方法】雌性 Balb/cマウスを4群(各群 n = 6)に分け、精製飼料、2%又は5% A. oryzae NK菌麹含有精製飼料を与えた。14日後、正常群を除く3群には3%(w/v)DSS飲料水を与え大腸炎を惹起し、6日後に大腸組織の病理学的所見と大腸粘膜サイトカイン濃度を調べた。【成績】A. oryzae NK菌麹の前投与は、DSS大腸炎マウスの体重減少、肛門出血、大腸長の短縮、大腸障害などを抑制した。大腸粘膜の IL-6、TNF-α、IL-1βの過剰産生を有意に抑制し、IFN-γ/IL-10比の低下を正常マウスのそれに近づけた。【結論】マウスの DSS惹起大腸炎に対してA. oryzae NK菌麹は有益な防御効果を示した。
  • 森山 明美, 阿部 典子, 山岸 由幸
    2014 年 29 巻 5 号 p. 1201-1210
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は、看護師の栄養管理に関する自己評価尺度を開発することである。【方法】看護師655名を対象に無記名自記式質問紙により行った。調査は再現性評価のため再テスト法を用いた。質問項目は、文献から栄養に関する看護介入を検討し、35項目を作成した。尺度タイプは5段階リカート法を用いた。【結果】回収403名、有効回答は365名であった。因子分析は一般化された最小2乗法を用い、因子数は固有値1以上の基準とした。因子負荷量は0.35以上で因子分析を繰り返した。プロマックス回転の結果、5因子24項目を抽出し「看護師の栄養管理に関する自己評価尺度」と命名した。5因子について各項目内容を検討し、「アセスメントに基づく食事指導」「食事摂取に関する援助」「経管栄養に関する援助」「在宅栄養管理に関する援助」「職種間との連携」と命名した。α係数はα=0.743~ 0.908、再テストは r=0.34~ 0.65であった。【結論】開発した本尺度は信頼性と妥当性を確保したと判断した。
  • 森 直治, 東口 髙志, 伊藤 彰博, 二村 昭彦, 渡邊 哲也, 石川 敦子
    2014 年 29 巻 5 号 p. 1211-1217
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
    【はじめに】癌患者の骨格筋量の減少を評価する簡便な指標として、日常的に撮影される CT画像の大腰筋面積に着目し、癌の進展に伴う面積値の変化を検討した。
    【方法】癌診断時と癌終末期に腹部 CTが撮影された消化器癌患者17例について、腸骨の最頭側レベルの CT横断像上で、画像ビューアーソフトを用い両側の大腰筋の輪郭をトレースすることで面積を計測した。また、同時期に経験した癌再発所見の無い8例を対照群とし比較した。【結果】癌診断時に比し、癌終末期では大腰筋面積の有意な減少を認め(p<0.0001)、診断時の面積値を100%とした百分率の平均は 60.8±13.7%であった。癌再発所見の無い対照群では、面積値の減少はみられなかった。【結論】癌終末期には腹部 CT上で容易に計測可能な大腰筋の計測面積が著しく減少し、癌の進展に伴う骨格筋量の減少、悪液質を評価する簡便な指標となる可能性が示唆された。
臨床経験
  • 前田 圭介, 峠 和馬, 西田 成信, 赤木 純児
    2014 年 29 巻 5 号 p. 1219-1223
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
     10年来時々食後に嘔吐することがあった84歳女性。食後の嘔吐が頻回になり誤嚥性肺炎を繰り返した。肺炎治療のために禁食・絶食と床上安静を指示され、体重減少(-17%/6ヶ月)及び ADLの低下を認めた。嘔吐の原因は食道アカラシアでありバルーン拡張術で通過障害が改善したが、入院6ヶ月前までは生じていなかった高度の嚥下障害を併発していた。全身の骨格筋減少と身体機能低下からサルコペニアと診断。嚥下障害の原因は、嚥下障害を来たす他の疾患を除外しサルコペニアの嚥下障害であると判断した。嚥下訓練に加え栄養管理を徹底し、5ヶ月後には人工栄養から完全に離脱できた。高齢者では加齢による嚥下機能低下に加え、疾患治療中に低栄養・低活動を伴うことがあるため安易な禁食・絶食や床上安静に注意を払う必要性があると考えさせられた。
  • 堀内 景子, 野澤 奈々瀬, 田辺 真未, 鈴木 佑理, 高橋 尚保子, 堤 千晴, 六ッ見 しのぶ, 藤谷 順子
    2014 年 29 巻 5 号 p. 1225-1229
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
    脳神経外科・神経内科病棟では急性期脳卒中の経鼻経管栄養症例が多く、投与後の下痢が問題となる。われわれは2007年以降、下痢症例には食物繊維を追加し、尚も下痢が続く場合には、半固形化というプロトコールを作成し、実施してきた。しかし、半固形化の方が食物繊維の追加より下痢に効果があるという経験的印象があり、後ろ向きに検討した。50症例の連続症例において、食物繊維を投与した症例は13例で改善率は23.0%、半固形化に至った症例は10症例(改善率100%)で、改善までの平均所要日数は、それぞれ3.6日、1.5日であった。急性期の経鼻栄養症例においても、半固形化は下痢抑制効果の点で、臨床的な利用価値があることが示唆された。
症例報告
  • 鎌田 正, 瀬川 和史, 山本 栄司
    2014 年 29 巻 5 号 p. 1231-1234
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/20
    ジャーナル フリー
    症例は39歳女性。切迫早産のため入院となりリトドリン100mg/日の経静脈的持続投与が開始された。身長160cm、体重118kg(BMI:46kg/m2)と高度肥満のため確保可能な血管は手背や手関節付近の細い皮静脈に限られ、血管痛と薬剤の血管外漏出により連日静脈ラインの刺し替えを余儀なくされていた。繰り返す静脈炎のため次第に静脈路確保困難となったため当科に紹介となり、入院24日目にエコーガイド下に肘部より3横指中枢側の上腕部尺側皮静脈(深さ1.5cm)にミッドラインカテーテルを17cm挿入した。その後血管痛は消失し、カテーテル留置1週間後の分娩まで安定したリトドリンの静脈内投与が可能となった。肥満により皮静脈確保困難な症例でもエコーガイド下に深部末梢静脈にミッドラインカテーテルを留置することで、合併症頻度の高い中心静脈カテーテルの使用を回避することが可能である。
平成25年度日本静脈経腸栄養学会フェローシップ受賞者学会参加記
日本静脈経腸栄養学会認定地方研究会
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