気管支異物は, 窒息の原因ともなる救急疾患の1つであり, 適切な診断と早急な対応が必要とされる.今回, 成人の気管支異物の症例を数例提示し, 気管支異物の診断, 異物の摘出, 摘出後の対応について述べる.症例1は, 咳嗽を主訴とし, 気管支異物の診断に長期間要したが, 問診により昆布の誤嚥を疑われ, 気管支鏡にて摘出された.症例2, 3, 4では, 義歯や歯充填物の誤嚥をとりあげた.症例3では, 異物除去後の気管支炎の合併を認めた.成人における気管支異物では, 義歯や歯充填物の症例が数多い.気管支異物は, 咳嗽, 発熱, 喘鳴, 胸痛等を症状としているが, 診断に期間を要する例もあるので, 詳細な問診が必要である.症状, 問診, 画像検査より気管支異物を疑う症例では, 積極的な気管支鏡検査が必要である.内視鏡下に鉗子を用いて, 気管支異物摘出を行う.最近では, 気管支ファイバースコープを用いた異物摘出が多く行われている.また, 長期間気管支内に異物が放置されていた例や, 高齢者においては, 気管支炎や肺炎を合併する危険性が高く, 気管支異物摘出後も合併症の管理に注意が必要である.
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