気管支学
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39 巻, 1 号
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表紙
会告
目次
巻頭言
論評
原著
  • 立和田 隆, 小田 桂士, 石本 裕士, 畑 亮輔, 笹原 陽介, 鳥井 亮, 池上 博昭, 伊藤 千与, 矢寺 和博, 迎 寛
    2017 年 39 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)は,サルコイドーシスにおいて肺門及び縦隔リンパ節腫大に対する診断率は高く,有用性の高い手技である.目的.EBUS-TBNAでサルコイドーシスの診断に至らなかった症例において,診断に至った症例と比較して医療側の背景や患者背景について違いがあるのか,後方視的検討を行った.方法.2010年11月から2014年12月までに,産業医科大学病院呼吸器内科でEBUS-TBNAを施行した56症例を対象とした.結果.56症例に対してEBUS-TBNAを施行し,51症例(91.1%)において病理学的な診断が得られたが,5症例(8.9%)では病理学的な診断には至らなかった.その5症例において他の51症例と比べて穿刺部位や穿刺回数,リンパ節の平均長径やサルコイドーシスの胸部X線写真による病期分類などに違いは認めなかった.また,その5症例のうち,3例は検体不十分という判定での評価困難であり,2例が非特異的変化という判定であった.症例1と症例2は,EBUS-TBNAのあとで連続して施行した経気管支肺生検(TBLB)で非乾酪性肉芽腫が確認されたため,サルコイドーシスの診断が可能であった.症例3は,2回目のEBUS-TBNAで診断に至った.症例4は,EBUS-TBNAを2回施行しても診断に至らなかったため,video-assisted thoracic surgery下リンパ節生検及び肺生検を施行し,非乾酪性肉芽腫が確認された.症例5は,複数のリンパ節に対するEBUS-TBNAやTBLBでは診断に至らず,縦隔鏡によるリンパ節生検によって非乾酪性肉芽腫が確認された.結語.本検討では,医療側の背景や患者背景に違いは認めなかった.しかし本検討は,単施設の検討で症例数も5症例と少なく,今後さらなる症例の集積が必要である.

症例
  • 田野﨑 貴絵, 中村 守男, 阪口 真之, 續 敬之, 結城 秀樹
    2017 年 39 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosis;ABPA)は,喘息症状とともに時に粘液栓子による無気肺を来し,ステロイドホルモン内服などで加療されるが,しばしば病勢のコントロールが不良となる.症例.70歳女性.56歳時より喘息として加療中,64歳時に喘鳴発作と右下葉の無気肺を認め入院した.末梢血中の好酸球増多,血清総IgE高値,気管支鏡検査で右底幹気管支に粘液栓子を認め,アスペルギルス特異的IgE・同沈降抗体陽性より,ABPAの診断に至った.ステロイドホルモン,イトラコナゾールによる治療を開始されたが,無気肺は再発を繰り返した.オマリズマブ300 mgの月2回投与を開始したところ,11か月後を最後に無気肺は生じず,投薬開始34か月後にステロイドホルモン内服の終了と在宅酸素療法の休止が可能となった.以降は症状の再燃を認めていない.結論.粘液栓子形成のコントロールが不良のABPAに対する治療として,オマリズマブの有効性が示唆された.

  • 濵元 陽一郎, 和久田 一茂, 毛利 篤人, 井部 達也, 福住 宗久, 上村 光弘
    2017 年 39 巻 1 号 p. 18-21
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.一般的に気管支鏡検査・治療は臥位の姿勢で行われる.気道内腫瘍の増大により,臥位では気道閉塞をきたすため,座位にて気道内ステント留置を行った症例報告である.症例.60歳.男性.他病院にて気管支喘息の治療を受けていたが,改善を認めないため当院へ転院搬送となった.転院後,姿勢により呼吸困難が変容したため気道内異物を鑑別に気管支鏡検査を行った.気管内を占拠する腫瘤を認め,穿刺針細胞診を施行し扁平上皮癌の診断に至った.気管支鏡後,緊急造影CTにて中部食道癌からの気道内穿破を認めた.臥位の姿勢維持では気道閉塞をきたすため,座位にて気道内ステント留置を行い,気道確保に成功した.以降,消化器専門医にて治療開始となった.結論.食道癌気道内腫瘍浸潤による気管閉塞に対し,座位にてステント留置を行い気道確保した1例を報告した.

  • 天神 佑紀, 中村 和芳, 小松 太陽, 廣岡 さゆり, 浦本 秀志, 小林 広典, 坂本 理, 興梠 博次
    2017 年 39 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.Mizoribine(MZR)は抗リウマチ薬として用いられるプリン代謝拮抗薬であるが,副作用として薬剤性肺障害の報告は稀である.症例.68歳,女性.発熱と呼吸困難を主訴に来院.近医にて関節リウマチに対し,prednisolone+methotrexate(MTX)+tacrolimusの薬物治療が実施されていたが,当科初診の6日前よりMTXがMZRへ変更されていた.SpO2は71%で,胸部X線写真およびCTにて両肺野にびまん性すりガラス様陰影を認め,血液検査にてLDH値上昇,KL-6値上昇を認めた.気管支肺胞洗浄液中に著明なリンパ球増多を認め,末梢血のMZRに対する薬剤リンパ球刺激試験が陽性であった.以上の所見よりMZRによる急性薬剤性肺障害と診断し,MZRを中止しステロイド薬を投与したところ,病状は速やかに改善を認めた.結語.関節リウマチ患者に発症したMZRによると考えられた急性薬剤性肺障害の1例を経験した.MZRによる間質性肺炎の発症頻度や機序は不明とされており,注意を喚起する上で重要な症例と考えられたため報告する.

  • 澤井 豊光, 吉岡 寿麻子, 松尾 信子, 須山 尚史, 迎 寛
    2017 年 39 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.肺巨細胞癌は肺癌の0.86%と比較的稀な疾患であり,気管支鏡検査で確定診断に至ることは困難であるとされている.症例.症例は77歳,男性.近医で肺膿瘍と診断され,広域抗菌薬療法が行われるも左下葉の腫瘤影が増大してきたため,当院に転院となった.当科でも肺膿瘍と判断し抗菌薬療法を継続したが改善乏しく,気管支鏡検査を行ったところ,右B10bにポリープ状の隆起性病変が認められた.同部より生検を行い肺巨細胞癌と診断した.また,血清G-CSFは上昇し,免疫染色でもG-CSF陽性であったため,G-CSF産生肺巨細胞癌と診断した.結論.肺巨細胞癌において,中枢気管支内にポリープ状に発育し,気管支鏡検査で診断に至った極めて稀な症例であった.

  • 酒井 珠美, 小川 尚彦, 網野 喜彬, 木場 隼人, 渡辺 知志, 米田 太郎, 西川 晋吾, 高戸 葉月, 曽根 崇, 原 丈介, 木村 ...
    2017 年 39 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.胸郭外臓器を原発とする腫瘍の気管内転移は稀である.症例.68歳男性.22年前に腎淡明細胞癌で左腎摘出術の既往があった.血痰を伴う咳嗽,歩行障害と四肢の感覚障害,左肩関節痛を主訴に近医を受診した.右下葉の結節影および頸椎,胸椎,肋骨に骨融解像を認め,肺癌および脊椎転移による神経圧迫症状が疑われ,加療目的に当院へ紹介となった.気管支鏡検査で右気管支B10に隆起性病変を認め,同部位からの生検組織より腎淡明細胞癌の転移であることが判明し,腎癌の再発と考えられた.結論.腎癌の既往がある場合には,長期が経過していても再発である可能性を念頭に置く必要がある.

  • 玉腰 淳子, 犬飼 朗博, 髙橋 孝輔, 浅井 暁, 奥野 元保, 齋藤 博
    2017 年 39 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.気管支アスペルギローマは肺アスペルギルス症に属するが,報告例は少ない.今回気管支腔内に石灰化病変を認めたため気管支結石を考えたが,病理所見から気管支アスペルギローマと診断した症例を経験した.症例.66歳女性.肺結核の治療歴があり,40歳時に胸部異常陰影を指摘され,その後他院で経過観察されていた.2007年の胸部CTで左S3に石灰化を伴う濃厚陰影と,縦隔・肺門リンパ節の石灰化を認めた.2014年12月,石灰化周囲の陰影が増大したため紹介された.呼吸器症状は認めなかった.診断目的に気管支鏡検査を施行したところ,左B3a入口部は黄褐色の腫瘤により閉塞していた.腫瘤の生検では,周囲に石灰化を伴ったアスペルギルスの菌塊を認めた.気管支鏡検査後の胸部CTでは石灰化病変は消失しており,周囲の陰影は縮小していた.結論.気管支内の石灰化病変の鑑別として気管支アスペルギローマが挙げられ,気管支鏡での内腔所見や組織検査が診断に有用である.

  • 岡本 翔一, 高森 幹雄, 山本 美暁, 佐藤 祐, 村田 研吾, 和田 曉彦
    2017 年 39 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.吸引カテーテルの破損による気管支異物の報告は,非常に稀である.症例.82歳,男性.筋萎縮性側索硬化症で長期在宅人工呼吸器管理中であった.受診5日前から発熱を認め抗菌薬を内服したが改善なく緊急入院した.胸部単純CTで中間気管支幹に全長3 cmを越える筒状の構造物がみられ,緊急で気管支鏡検査を施行した.大量の膿性痰と異物を認め摘出した.摘出した異物は口側部分が破損したシリコン製の吸引カテーテルであった.長期間にわたり同じ吸引カテーテルを使用したことが原因と考えられた.結論.長期人工呼吸器装着患者は増加しており,経済的理由などから吸引カテーテルを継続使用している在宅療養例が存在する.長期人工呼吸器管理の場合には,吸引カテーテルの損傷などの合併症に留意が必要である.

  • 井手口 周平, 城戸 貴志, 赤田 憲太朗, 畑 亮輔, 川口 貴子, 松永 崇史, 山﨑 啓, 川波 敏則, 石本 裕士, 田中 文啓, ...
    2017 年 39 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.先天性気管支閉鎖症は稀な疾患だが,画像技術の進歩により術前診断が可能となり,近年報告例が増えている.無症状で発見される例も少なくなく,本疾患に対して外科的切除を行うべきかについては一定の見解が得られていない.症例.32歳,男性.健診での胸部X線写真で異常を指摘され,近医で施行された胸部CTでは右上葉S2に限局性の気腫性変化,液面形成を呈し壁肥厚を伴う囊胞状に拡張した気管支を認め,精査治療目的で当院に紹介となった.画像所見および気管支鏡検査所見から先天性気管支閉鎖症と診断し,感染の合併も否定できなかったため,右上葉切除術を施行した.手術で摘出された検体では囊胞内に膿性分泌物を認め,細菌学的検査を行ったところ,塗抹標本ではグラム陰性桿菌を認めたが培養検査では陰性であった.16S ribosomal RNA遺伝子を用いた細菌叢解析法ではPrevotella spp.をはじめとする口腔内嫌気性菌が多数検出され,不顕性感染が示唆された.結論.先天性気管支閉鎖症では無症状でも不顕性感染を生じている可能性があり,外科的治療を検討する必要がある.

  • 藤原 大樹, 中島 崇裕, 稲毛 輝長, 海寳 大輔, 椎名 裕樹, 佐田 諭己, 豊田 行英, 畑 敦, 田中 教久, 和田 啓伸, 鈴木 ...
    2017 年 39 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.EBUS-TBNA施行後の脳梗塞に対し,遺伝子組み換え組織型プラスミノゲン活性化因子(rt-PA)による血栓溶解療法を施行した症例を経験した.症例.77歳男性.左肺癌に対し左肺上葉切除後1年で,呼吸困難を主訴に入院となった.胸部CT上心囊水の貯留,#7リンパ節の腫大を認めた.悪性心囊水は認めなかった.#7リンパ節に対しEBUS-TBNAを施行し,炎症による反応性リンパ節腫大と診断した.EBUS施行後,病棟での経過観察中(EBUS施行後8時間)に左片麻痺が出現し,脳梗塞が疑われた.脳MRIを施行し,急性期脳梗塞に矛盾しない所見を認め,ICU管理のもとで経静脈的にrt-PA投与を行った.rt-PA療法に伴う気道出血などの合併症は認めなかった.左片麻痺は徐々に改善し,EBUS施行後第21病日にリハビリ目的に転院となった.考察.生検後脳梗塞発症症例に対してのrt-PA療法は慎重投与の適応とされる.EBUS-TBNA施行後にrt-PA療法を行った報告はこれまでなく,文献的考察も含めて報告する.

  • 堀内 実, 高桑 修, 市川 博也, 岡山 未奈実, 金光 禎寛, 上村 剛大, 大久保 仁嗣, 前野 健, 伊藤 穣, 小栗 鉄也, 中村 ...
    2017 年 39 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.Endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration(EBUS-TBNA)は縦隔・肺門リンパ節疾患を伴う肺癌やサルコイドーシスの診断に有用性が確立しているが,近年では感染性疾患の診断にも有用性が報告されている.今回,EBUS-TBNAでクリプトコッカス症を診断した1例を経験したので報告する.症例.75歳男性.IgG4関連腎臓病に対しステロイド治療中であったX-4年にクリプトコッカス髄膜炎を発症.Liposomal amphotericin Bにより治療が開始され,Itraconazole(ITCZ)がX-1年11月まで継続された.X年5月に胸部CTで気管分岐下リンパ節腫大と左S6結節影を指摘され当科を紹介された.18F-fluorodeoxy glucose-positron emission tomographyで両病変に集積を認めたことから,悪性疾患も考慮し左S6肺結節影に対して気管支鏡検査を行ったが診断に至らず,気管分岐下リンパ節に対するEBUS-TBNAで病理学的にクリプトコッカス症と診断した.ITCZの再開により縦隔病変,肺結節影ともに改善し一元的にクリプトコッカス症と考えられた.結果.肺野病変への気管支鏡検査で診断に至らなかったクリプトコッカス症をEBUS-TBNAで診断することができた.結論.EBUS-TBNAはクリプトコッカス症の診断手法になりえる.

  • 羽間 大祐, 立原 素子, 國政 啓, 堂國 良太, 桐生 辰徳, 田村 大介, 櫨木 暢子, 上領 博, 小林 和幸, 西村 善博
    2017 年 39 巻 1 号 p. 64-70
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.異所性石灰化症は,全身の諸臓器に石灰化をきたす疾患である.種々の原因で生じ,特に慢性腎不全で高頻度に見られるが,正確な機序や長期の経過については十分に解明されていない.症例.59歳男性.慢性腎不全に対して1992年より血液透析を導入され,2006年に腎移植を施行された.2015年の健診で両肺すりガラス陰影を認め,当科に紹介となった.精査目的に気管支鏡検査を施行したところ,経気管支肺生検にて石灰化を認めた.病歴や各種検査所見も考慮に入れた上で,異所性石灰化症と診断した.以前のCTと比較すると石灰化の進行を認め,今後副甲状腺摘出術を予定している.結語.本症の診断において気管支鏡検査は,他疾患の除外に役立つとともに,外科的肺生検よりも低侵襲で病理学的評価を行うことができる点で有用な検査手段である.また,異所性石灰化症の長期経過観察を行った報告はまれであり,画像や肺機能の経過を知る上で貴重な症例と考え報告する.

  • 緒方 大聡, 原田 英治, 今田 悠介, 三雲 大功, 濱田 直樹, 福山 聡, 中西 洋一
    2017 年 39 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.肺クリプトコッカス症の画像所見は結節影,空洞影,浸潤影などが主であり,スリガラス影(ground-glass opacity:GGO)の報告例は稀である.特にGGOより菌体が証明された既報は国内では皆無である.症例.63歳,男性.生体腎移植2年4か月後の胸部CTで右肺下葉に結節影が複数出現し,当科紹介となった.1か月後の胸部CTで新たに両肺にGGOが複数出現し,同病変より採取した気管支肺胞洗浄検体でCryptococcus neoformansが同定され,肺クリプトコッカス症と診断した.Fosfluconazole,fluconazoleの投与によりGGOは速やかに改善した.結論.本例は,GGOよりクリプトコッカス菌体を同定し得た本邦初の報告である.GGOを認めた症例では肺クリプトコッカス症を鑑別に挙げる必要がある.

  • 藤原 俊哉, 神原 穂奈美, 井原 大輔, 岡田 真典, 西川 仁士, 金原 正志, 松浦 求樹
    2017 年 39 巻 1 号 p. 76-81
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.近年,癌治療成績の向上,早期診断技術の進歩により重複癌症例を経験する機会が増加している.症例.症例は64歳,男性.前医で1年前にS状結腸癌,腹腔内腫瘤に対し,S状結腸切除,腫瘤摘出術を施行された.病理結果は,S状結腸は中分化型腺癌,腹腔内腫瘤は原発不明神経内分泌癌であった.術後6カ月目のCTで右肺上葉に小結節が出現した.さらに5カ月後のCTにて右肺上葉結節が増大するとともに,右下部気管傍リンパ節(#4R)の腫大を認めた.PETでも同部に高度FDG集積を認めたため,当院紹介となった.右下部気管傍リンパ節に対して超音波気管支鏡ガイド下吸引針生検(EBUS-TBNA)を施行し,肺腺癌のリンパ節転移の診断を得たため,右上葉切除,系統的リンパ節郭清を行った.病理結果は肺腺癌,pT1aN2M0 stage IIIAであった.癌治療歴のある症例においては,異時性に出現してきた腫瘍が転移性のものか原発性のものかによって,治療方針が大きく異なる.しかも今回のように原発不明癌が先行病変として存在した場合には,より組織診断の意義が高くなる.結論.EBUS-TBNAによる組織診は極めて有用な方法であると考えられた.

  • 友田 義崇, 川口 健太郎, 渡橋 剛
    2017 年 39 巻 1 号 p. 82-86
    発行日: 2017/01/25
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

    背景.気管支結石症に放線菌感染を合併する例は稀である.症例.73歳男性.肺結核の既往あり.喉頭癌に対する化学放射線療法後に持続する血痰の精査目的で入院した.気管支鏡で右B2に黄白色の腫瘤を認め,生検の結果気管支放線菌症と診断した.アンピシリン1か月,アモキシシリン5か月投与後に腫瘤のサイズに変化なく再度生検を行い,気管支結石症に伴う気管支放線菌症と診断した.結語.気管支結石症に放線菌感染が合併することは稀であるが,血痰の鑑別診断に挙げ気管支鏡を行う必要がある.

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