気管支学
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39 巻 , 3 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
表紙
会告
目次
巻頭言
追悼
論評
総説
  • 多田 裕司
    2017 年 39 巻 3 号 p. 210-214
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    背景.悪性胸膜中皮腫は世界的には患者数が増えているにも関わらず,最近10年は劇的な治療の進歩がみられていない.化学療法の効果もプラトーに達しており,集学的治療も患者選択を慎重に行わないと完遂が難しい状況である.目的.過去10年間の手術,放射線治療,化学療法や分子標的剤の臨床試験が中皮腫に対して施行されてきたが,それらの結果をまとめた報告書が必要である.方法.国内外で悪性胸膜中皮腫を対象に行われた各治療法の臨床試験を文献検索し,試験結果をまとめた.さらに学会で発表された現在進行中の有望な治療法についても紹介する.結果・結論.非小細胞肺癌と異なり中皮腫には特異な遺伝子変異や分子マーカーが発見されておらず,単剤で有効な分子標的剤は存在しない.しかし血管新生阻害剤,遺伝子治療,免疫チェックポイント阻害薬など,新たな治療法の開発も進行中であり,今後期待される.

症例
  • 二反田 博之, 坂口 浩三, 鈴木 聡一郎, 栁原 章寿, 山﨑 庸弘, 石田 博徳, 金子 公一
    2017 年 39 巻 3 号 p. 215-220
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    背景.原発性気管腫瘍は比較的まれな疾患であるが,気道狭窄に伴う重篤な呼吸不全を来し緊急の対応を要する場合がある.また手術の際には気道確保に工夫を要する.軟性気管支鏡による組織診断と気道確保を行い,二期的に気管管状切除を施行した気管原発腺様囊胞癌の1例を経験したので報告する.症例.40代女性.4か月前から咳嗽と喘鳴,2か月前に労作時呼吸困難が生じた.下部気管をほぼ閉塞する気管腫瘍を指摘され当院紹介.気道確保と診断目的に軟性気管支鏡による腫瘍切除を先行し,症状と呼吸機能の改善が認められた.1か月後に気管管状切除を行い,術中術後に重篤な合併症は起こらなかった.結論.気道狭窄を来す気管腫瘍に対してあらかじめ軟性気管支鏡による腫瘍切除を行うことで,気道が確保され根治手術を安全に行うことができた.

  • 池田 直哉, 小池 亮祐, 九嶋 祥友, 中村 祐介, 角田 卓也, 渡邉 泰治, 梅津 貴史, 近江 史人, 滝澤 秀典, 三好 祐顕, ...
    2017 年 39 巻 3 号 p. 221-226
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    背景.骨髄肉腫は,骨髄芽球や未分化な骨髄系細胞による髄外腫瘤で,まれな疾患である.縦隔に発生し胸水を呈した症例の報告はあるが,胸膜病変の報告はない.症例.26歳男性.1か月間持続する咳嗽と労作時呼吸困難感を主訴に来院した.左大量胸水と前縦隔腫瘍を認めたため,診断およびドレナージを目的として,局所麻酔下胸腔鏡検査を施行した.壁側胸膜にびまん性の小結節および限局性の隆起性病変を認め,胸水細胞診と胸膜生検組織から骨髄肉腫と診断した.結論.骨髄肉腫の胸膜播種性病変を直接確認した報告は,本症例が最初である.局所麻酔下胸腔鏡は,病変を直視下生検することが可能であり診断に有用である.

  • 中島 康裕, 小林 正嗣, 馬場 峻一, 高崎 千尋, 石橋 洋則, 内堀 健, 大久保 憲一
    2017 年 39 巻 3 号 p. 227-230
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    背景.気道狭窄に対する気道インターベンションにおいて,手技中の換気不全が致死的な合併症となり得るため,そのマネージメントは重要である.症例.68歳女性.胸腺癌の圧迫,浸潤によって気管分岐部直上から両側主気管支に及ぶ高度狭窄があり,仰臥位では呼吸ができない状態であった.V-V ECMO下に高頻度ジェット換気法を併用し,Dumon Y-stent留置を行った.結論.V-V ECMOおよび高頻度ジェット換気法は,高度気道狭窄に対する気道インターベンションにおいて,有用な補助手段となり得る.

  • 野口 進, 池上 達義, 大井 一成, 深尾 あかり, 寺下 聡, 堀川 禎夫, 杉田 孝和
    2017 年 39 巻 3 号 p. 231-236
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    背景.気道異物の報告にて,近年高齢者の症例割合が増加傾向である.異物除去には軟性気管支鏡が第1選択であるが対応困難な症例もある.対象と方法.2010年4月から2015年10月までに当科で気道異物と診断した9例を対象とし,年齢,異物の種類,摘出方法などについて検討した.結果.内訳は小児1例,成人8例,年齢分布は3~96歳(中央値74歳)であった.軟性気管支鏡を行う際はすべてミダゾラムの静脈内投与にて鎮静を行い, 6例は軟性気管支鏡下に摘出可能であり,問題となるような合併症も認めなかった.肉芽形成のための1例と,小児症例では軟性気管支鏡のデバイスでは異物の把握が困難,酸素化保持も困難であったため,硬性気管支鏡が必要となった症例が2例あった.結論.気道異物は成人・高齢者症例が増加してくる可能性があり,それに備える必要がある.軟性気管支鏡が第1選択であるが,鎮静方法も含め,症例に応じた適切な治療法の選択が必要である.

  • 井部 達也, 濵元 陽一郎, 児玉 裕章, 毛利 篤人, 上村 光弘
    2017 年 39 巻 3 号 p. 237-240
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    背景.ステロイド治療で改善を認めないサルコイドーシスに合併した胸水の精査において,局所麻酔下胸腔鏡が考慮される.症例.63歳男性.近医にて皮膚サルコイドーシスおよび胸部異常陰影にて経過観察されていた.緩徐進行の下腿浮腫と両側胸水貯留,また呼吸不全の急性増悪を認め,精査加療目的に転院搬送となった.心不全を疑い利尿薬を投与したが,左側優位の胸水が残存した.局所麻酔下胸腔鏡を施行したところ腺癌を認め癌性胸膜炎の診断に至った.結論.サルコイドーシスに合併した胸水を認めた場合は,診断のため局所麻酔下胸腔鏡での精査を検討するべきである.

  • 友田 義崇, 内藤 圭祐, 小川 知洋, 川口 健太郎, 渡橋 剛
    2017 年 39 巻 3 号 p. 241-245
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    背景.結核性縦隔リンパ節炎の治療中に,初期悪化による気管支ポリープで無気肺を生じた1例を経験した.症例.46歳,女性.結核性縦隔リンパ節炎に対する抗結核剤内服中に労作時呼吸困難が出現,右中葉無気肺を認め精査目的に入院した.気管支鏡検査では右中葉入口部はポリープで閉塞しており,生検により類上皮肉芽腫を認め,初期悪化と診断した.また中間気管支幹にも小ポリープを認めた.抗結核剤継続により中葉の病変は縮小したが,中間気管支幹の病変は増大し,生検により炎症性ポリープと診断した.結語.結核性縦隔リンパ節炎の治療中に生じた無気肺の原因精査に対して,気管支鏡検査は有用である.

  • 鍋谷 大二郎, 宮城 一也, 上 若生, 橋岡 寛恵, 金城 武士, 古堅 誠, 原永 修作, 藤田 次郎
    2017 年 39 巻 3 号 p. 246-250
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    背景.気管支結石症は,本邦では結核感染による石灰化リンパ節が原因として多かったが,近年は気道分泌物由来の結石症が増加している.今回,繰り返し気管支鏡的除去術を要した分泌物由来の気管支結石症を経験した.症例.51歳女性.結核感染症の既往や石灰化リンパ節はない.高度の側弯症があり,若年時より下気道感染を繰り返していた.38歳時には胸部CTで気管支拡張と気管支内腔の結石を指摘されていた.43歳時に呼吸不全の改善を目的に気管支鏡下に最初の除石術を行った.その後も同様の理由で度々除石術を要し,8年間で計7回の除石術を行った.除石術に関連する合併症は認めなかった.結石の主成分は炭酸カルシウムであった.気道の加湿の改善と排痰方法の変更の後は,2年以上再発を認めていない.結論.側弯症と気管支拡張による持続的な気道クリアランス不良により,分泌物由来の気管支結石を繰り返したと考えられる.気管支内腔に遊離する結石であったため,気管支鏡による除石術は安全で実用的であった.

  • 荒木 勇一朗, 原田 亜紀子, 石原 明典, 前田 浩義
    2017 年 39 巻 3 号 p. 251-255
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    背景.コロイド腺癌は,多量の粘液貯留の中に腫瘍細胞が少量浮遊する特徴的な腺癌であるため,生検による組織診断や術中迅速診断が困難である.症例.73歳女性.胸部異常影から肺癌が疑われ,当院で経気管支肺生検を2回,CTガイド下肺生検をそれぞれ行ったが,確定診断ができなかった.そのため,診断・治療目的で手術を施行することとした.術中迅速診断でも悪性所見が認められず,胸腔鏡下肺部分切除を施行し,最終的に術後検体による病理組織診の結果よりコロイド腺癌と診断し得た.結論.コロイド腺癌は肺癌の中でも頻度は極めて稀な組織型である.粘液を多く含む腫瘍で診断に難渋する場合,コロイド腺癌も考慮すべきと考えられる.

  • 玉垣 学也, 松下 晴彦
    2017 年 39 巻 3 号 p. 256-261
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    症例.症例は56歳,女性.2012年9月に右眼痛のため眼科を受診した.右虹彩炎,右緑内障,およびツベルクリン反応陰性であり,サルコイドーシスを疑われ,当院に紹介された.胸部CTで縦隔・肺門リンパ節腫脹を認めず,両肺胸膜直下に多発小結節影を認めた.気管支鏡検査で診断に至らず,確定診断目的に外科的肺生検を施行した.肺結節は肺内リンパ節で,肺組織と肺内リンパ節に類上皮細胞肉芽腫を認めた.結論.縦隔肺門リンパ節腫大を呈さず多発肺内リンパ節陰影から診断に至ったサルコイドーシスの報告は稀なことから,貴重な症例と考え報告した.

  • 堀田 尚誠, 津端 由佳里, 兒玉 明里, 森 雄亮, 中尾 美香, 天野 芳宏, 濱口 愛, 沖本 民生, 濱口 俊一, 礒部 威
    2017 年 39 巻 3 号 p. 262-267
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    背景.前立腺癌による気管支内転移は非常に稀である.症例.67歳男性.呼吸困難を主訴に医療機関を受診.肺炎として加療を受けるも改善なく,当院を紹介され受診.胸部CT写真で気管・両側気管支に多発する隆起性病変を認め,経気管支生検を行い腺癌と診断した.原発巣の検索を行ったところ前立腺に腫瘤を認めた.前立腺生検で前立腺癌と確定診断した後に,最大アンドロゲン阻害療法を行い,前立腺・気道病変ともに奏効を得た.結論.前立腺癌の気管支内転移は稀であるが,その存在を考慮する必要がある.

  • 寺島 常郎, 宇佐美 範恭, 伊藤 克樹, 水野 秀和, 堀尾 美穂子, 齋藤 裕子
    2017 年 39 巻 3 号 p. 268-272
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    背景.肺膿瘍破裂による有瘻性膿胸は稀な病態であり,手術療法を要する場合が少なくない.症例.48歳,男性.全身倦怠感と呼吸困難を主訴に来院され,肺膿瘍破裂による有瘻性膿胸の診断に至った.胸腔ドレナージにて全身状態の改善は認めたが,エアリークが遷延するため瘻孔閉鎖目的にEndobronchial Watanabe Spigot(EWS)及びフィブリン糊を併用した気管支充填術を行い,瘻孔閉鎖し,根治し得た.結論.EWSとフィブリン糊による気管支充填術は,肺膿瘍破裂に起因する有瘻性膿胸に対し,有効である可能性が示唆された.

  • 菅野 健児, 永島 琢也, 椎野 王久, 乾 健二, 三ツ堀 隼弘, 益田 宗孝
    2017 年 39 巻 3 号 p. 273-277
    発行日: 2017/05/25
    公開日: 2017/06/07
    ジャーナル フリー

    背景.呼吸器外科領域において縦隔成熟奇形腫は広く知られているが,気管成熟奇形腫の報告は非常に稀である.症例.43歳男性.他院にて気管支喘息の診断で加療されていたが,胸部CTで気管左壁に接し内腔の約50%を閉塞する2 cm大の結節影と,左頸部に同結節影と連続性のない4 cm大の腫瘤影を認め,当科紹介となった.気管支鏡検査を施行し,声帯から約5 cmに気管左壁を基部とする有茎性腫瘍を認めた.血液生化学検査では腫瘍マーカーの上昇はなかったが,PET-CTでは気管腫瘍にSUVmax=3.6,頸部腫瘍にSUVmax=8.3の集積を認め,気管原発悪性腫瘍及び頸部リンパ節転移を疑った.診断・治療目的に手術を施行した.頸部襟状切開+胸骨正中切開アプローチで2 cm長の気管輪状切除を行った.術中迅速診断で奇形腫の診断であり,炎症性頸部リンパ節腫大を疑い左頸部リンパ節郭清は省略した.結語.頸部リンパ節腫大を伴い,術前に悪性腫瘍を疑った気管奇形腫の1例を経験した.

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