気管支学
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41 巻, 6 号
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表紙
会告
目次
巻頭言
追悼
論評
原著
  • 相子 寛子, 山本 昌樹, 神巻 千聡, 三神 直人, 久保 創介, 鄭 慶鎬, 片倉 誠悟, 平馬 暢之, 工藤 誠, 金子 猛
    2019 年 41 巻 6 号 p. 563-568
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    背景.超音波気管支鏡ガイド下生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration:EBUS-TBNA)での鎮静にはミダゾラムが多く使用されている.しかし,被験者の咳嗽により穿刺操作が困難となり,検査時間延長となる場合が少なくない.これに対し鎮静薬を組み合わせて使用し,安全かつ効果的に鎮静を得る方法の報告がなされている.目的.EBUS-TBNAでの鎮静にプロポフォール・デクスメデトミジンを併用し,ミダゾラムでの鎮静と比較を行い,その有用性と安全性を検討した.対象と方法.2016年6月から2017年12月に横浜市立大学附属市民総合医療センターでEBUS-TBNAを行われた39人を対象とした.EBUSで観察を行ったが生検を行わなかった症例は除外した.EBUS-TBNAの手技はすべて軟性気管支鏡を使用した挿管後に実施された.ミダゾラムで鎮静を行った群(M群)とプロポフォール・デクスメデトミジン併用で鎮静を行った群(PD群)を後方視的に比較し,検査時間,診断率,有害事象の頻度について検討を行った.結果.穿刺回数は両群で差が明らかでなかったが,穿刺1回あたりに要する時間はPD群で有意に短縮がみられた.結果として,EBUSスコープに変更してから手技完了,検査終了までの時間はPD群で有意な短縮が認められた(19.4±7.9分 vs 34.2±9.7分,p <0.0001).有害事象の頻度はM群でより低い結果となったが,両群ともに重篤な有害事象は観察されなかった.結論.EBUS-TBNAを実施する場合にプロポフォール・デクスメデトミジン併用での鎮静は,ミダゾラムと比較し検査時間の短縮が得られる可能性が示唆され,慎重なモニタリングと適切な対応が行えれば安全に使用可能であった.

  • 田尻 智子, 河内 寛明, 吉田 寛, 田中 瑛一朗, 野口 進, 寺下 聡, 池上 達義, 堀川 禎夫, 杉田 孝和
    2019 年 41 巻 6 号 p. 569-573
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    背景.局所麻酔下胸腔鏡検査は,胸水貯留例の確定診断に有用な検査で,高い診断率が報告されるが,胸水検査や盲目的胸膜生検を行っても確定診断に至らない胸水貯留例のみを対象とした報告は必ずしも多くない.目的.胸水細胞診陰性症例における局所麻酔下胸腔鏡検査の有用性及び安全性を検討する.対象と方法.2012年1月から2018年12月まで当院において,確定診断目的で局所麻酔下胸腔鏡検査を施行した胸水細胞診陰性症例を対象に,患者背景・確定診断・診断率・合併症を後方視的に検討した.結果.全50例(男性39例,年齢中央値72.5歳,片側胸水44例)の確定診断の内訳は,癌性胸膜炎14例(原発性肺癌12例・転移性肺腫瘍2例)・悪性胸膜中皮腫11例・良性石綿胸水10例・結核性胸膜炎2例・非結核性抗酸菌性胸膜炎1例・リウマチ性胸水1例・膿胸1例・肝性胸水1例・薬剤性胸水1例・不明8例であり,悪性腫瘍関連胸水が25例(50%)を占めた.胸腔鏡検査による確定診断率は84%であった.合併症は皮下気腫5例・膿胸2例で,いずれも胸腔持続ドレナージ・抗菌薬投与により改善した.検査後1カ月以内の検査関連死亡例は認めなかった.結論.胸水検査や盲目的胸膜生検を行っても確定診断に至らない胸水貯留例の確定診断において,局所麻酔下胸腔鏡検査は有用かつ安全な検査である.

症例
  • 田上 陽一, 赤司 俊介, 赤川 志のぶ, 新福 響太, 田村 厚久, 川名 明彦
    2019 年 41 巻 6 号 p. 574-579
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    背景.肺クリプトコッカス症はときに散布性陰影を呈し,肺結核との鑑別が困難な場合がある.症例.77歳女性.陳旧性肺結核の経過観察中に粟粒結核を発症し,Isoniazid(INH),Rifampicin(RFP),Ethambutol(EB)による化学療法を1年間施行された.治療終了半年後のCTで右S4の気管支拡張部位に散布性陰影を伴う小結節が出現,増悪したため,肺結核再発が疑われた.喀痰に有意所見なく,気管支鏡検査を施行し,気管支洗浄液培養よりCryptococcus neoformansC. neoformans)を認めた.他臓器に問題なく,肺クリプトコッカス症と診断,Fluconazole(FLCZ)内服治療を開始したところ,陰影は消退した.結果.結核治療後に非典型的な胸部陰影を呈した肺クリプトコッカス症の診断に気管支洗浄が有用であった.結論.結核治療後に陰影悪化を認め,喀痰抗酸菌塗抹陰性であれば,肺結核再発以外の可能性も考慮して積極的に気管支鏡検査などで精査していくべきである.

  • 酒井 珠美, 小川 尚彦, 谷村 航太, 加瀬 一政, 黒川 浩司, 松沼 亮, 曽根 崇, 笠原 寿郎
    2019 年 41 巻 6 号 p. 580-584
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    背景.気管・気管支原発の顆粒細胞腫は比較的まれである.気管支鏡で同一症例の経過を観察した報告は少なく,経過観察をどのような頻度でどのくらいの期間行うべきか,内視鏡治療を行うべきかについて判断に困る.症例.60代男性.血痰を主訴に受診し,胸部X線,胸部CTでは異常を認めなかった.気管支鏡検査を施行したところ,左上幹と下幹の分岐部粘膜に扁平に隆起する病変を認めた.経気管支生検(transbronchial biopsy;TBB)で顆粒細胞腫と診断した.悪性を示唆する所見は認めず,7か月から13か月の期間毎に気管支鏡検査を4回行い,無治療で増悪なく経過している.結語.33か月無治療経過観察中の気管支原発顆粒細胞腫の1例を経験した.少なくとも5年は経過観察が必要と考えられる.

  • 熊谷 英之, 渡邉 恵介, 三宅 暁夫, 篠田 雅宏, 湯本 健太郎, 池田 美彩子, 佐藤 隆, 新海 正晴, 金子 猛
    2019 年 41 巻 6 号 p. 585-590
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    背景.EGFR-TKIはEGFR遺伝子変異陽性肺癌におけるキードラッグだが,耐性がいずれ獲得される.耐性機序の1つとして形質転換が報告されている.症例.71歳,男性.肺腺癌術後再発(EGFR遺伝子exon 19欠失陽性)の診断でアファチニブを内服し,部分奏効が得られていた.多発結節影の出現,縦隔リンパ節の腫大を認め,病勢進行と診断し再生検を施行する方針となった.経食道的超音波内視鏡下穿刺吸引法により縦隔リンパ節生検を施行したところ,大細胞神経内分泌癌を示唆する非小細胞癌と診断された.EGFR遺伝子変異陰性であり,EGFR-TKI耐性機序としての形質転換ではなく,2次原発肺癌としての肺大細胞神経内分泌癌と診断した.結論.EGFR-TKI投与中の形質転換が報告されているが,重複癌の発生も十分に起こり得る.既診断肺癌の形質転換と2次原発肺癌では治療方針が異なり,確実な鑑別を行うことが必要であると考えられた.

  • 手石方 崇志, 冨満 信二, 松竹 晴美, 武田 雄二, 林 明宏
    2019 年 41 巻 6 号 p. 591-595
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    背景.気管支原性囊胞は,呼吸器発生の際に気管支原基の異常出芽や分離・迷入の結果起こる囊胞性疾患で,主に縦隔内もしくは肺内に発生する.症例.35歳女性.右胸痛を主訴に来院され,胸部X線写真で右上肺野に石灰化を伴う肺囊胞を認めた.CTでは胸膜直下に11 cmの囊胞性病変を認め,囊胞壁は石灰化を伴い,内部に液体貯留を認めた.診断・加療目的に肺部分切除術を施行した.病理検査の結果,囊胞壁は広範囲に石灰化がみられ,内面は気管支上皮で被覆されていた.肺内気管支原性囊胞と考えられた.結論.慢性炎症により石灰化を来し線維性に肥厚した,肺内気管支原性囊胞の症例を経験した.

  • 小林 哲也, 斎藤 紀子, 石川 成美, 遠藤 俊輔
    2019 年 41 巻 6 号 p. 596-601
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    背景.気管・気管支原発の悪性リンパ腫の報告は比較的稀である.症例.60歳代女性.子宮頸癌およびトローザ・ハント症候群の既往を有する.子宮頸癌術後経過観察のCTにて両側肺多発小結節を指摘された.3カ月後のCTで上記病変に加え気管左側壁に隆起性病変が再確認され,気管支鏡検査を施行.気管左側壁のポリープ状粘膜隆起性病変は,生検にてリンパ濾胞の反応性増生と評価された.その後も定期的にCT検査が施行されたが,4年間病変に変化は認めなかった.発見から5年後,生検材料に関して別の病理医に再評価を依頼したところ,bronchus-associated lymphoid tissue(BALT)リンパ腫と診断された.再評価後も,CTにて気管および肺末梢病変に変化がないことを確認している.BALTリンパ腫は臨床的に進行が年単位に変化する低悪性度B細胞性リンパ腫であるが,本症例では臨床的・画像的経時変化は認めなかった.ステロイドの偶発的な使用が病変の進行を妨げた可能性がある.結論.気管内に突出するリンパ組織の評価は,時に反応性リンパ濾胞過形成との鑑別が難しい.慎重な臨床的経過観察,および正確な病理学的評価が重要であることを再認識した.

  • 宮崎 晋一, 山下 良, 宮田 祐大, 久野 泰雅, 寺町 涼, 奈良 佳治, 池田 拓也
    2019 年 41 巻 6 号 p. 602-607
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    背景.胸水貯留を契機として腎細胞癌が診断されることは稀である.今回,局所麻酔下胸腔鏡により小径腎細胞癌の診断に至った症例を報告する.症例.61歳,男性.咳嗽,労作時呼吸困難を主訴に当科紹介され,胸部画像上,右胸水貯留と胸膜多発結節を指摘された.局所麻酔下胸腔鏡検査で壁側胸膜には大小不同,不整形の隆起性病変が散在し,悪性腫瘍の胸膜転移に矛盾しなかった.壁側胸膜の生検により腎細胞癌の胸膜転移の診断に至り,所属リンパ節転移はなく,その原発巣は最大径1.8 cmの小径腎細胞癌であった.現在,分子標的薬治療を施行している.結論.胸水貯留を契機に診断した小径腎細胞癌の1例を経験した.悪性胸水は進行期の悪性腫瘍に合併するため原発巣が明らかであることが多いが,本例は原発巣が小さく,その診断に局所麻酔下胸腔鏡が有用であった.

  • 林 伸充, 榎本 達治, 栗林 英彦, 成田 篤哉, 井上 真理, 佐伯 典之, 加藤 洋
    2019 年 41 巻 6 号 p. 608-612
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    背景.骨外性骨肉腫は胸郭内に転移することがあるが,骨軟骨成分を含む悪性中皮腫との鑑別が困難である.症例.84歳男性.咳嗽を主訴に近医を受診し,胸部X線写真で左胸水貯留が認められた.当院へ紹介となり,胸部CTで左胸水貯留に加え左右胸膜に石灰化を伴う不整肥厚,両側肺内と右後腹膜に石灰化を伴う腫瘤性病変を認めた.胸水ドレナージと胸水細胞診,左胸膜生検目的で局所麻酔下胸腔鏡検査を行い,壁側胸膜に多発する5 mm大の白色で表面平滑な結節を2個採取した.診断のため種々の免疫組織化学染色を含む検索を行ったが,病理標本のみでは骨軟骨成分を含む悪性中皮腫と骨外性骨肉腫の明確な鑑別はできなかった.結論.骨軟骨成分を含む悪性胸膜中皮腫と骨外性骨肉腫に伴う肺胸膜病変との鑑別は病理所見のみでは困難であり,臨床経過と合わせて診断する必要がある.

  • 松本 錦之介, 谷崎 智史, 柳瀬 隆文, 九野 貴華, 新津 敬之, 玄山 宗到, 内田 純二, 上野 清伸, 北村 貴裕, 伏見 博彰
    2019 年 41 巻 6 号 p. 613-618
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    背景.甲状腺癌と肺癌の同時性重複癌はしばしば報告されているが,画像所見のみでは甲状腺癌単独の肺転移と鑑別が困難なことがある.症例.76歳,女性.CTで甲状腺に石灰化を伴う腫瘤,多発肺結節を認め,穿刺細胞診の結果と合わせて甲状腺乳頭癌の多発遠隔転移と判断された.Positron emission tomography(PET)-CTでは,肺門および縦隔リンパ節,骨に異常集積を認めた.肺癌合併の可能性も考慮し,気管分岐下リンパ節に対してEBUS-TBNAを施行した.その結果,Napsin-A,EGFR遺伝子変異陽性の肺腺癌と診断され,甲状腺癌(cT2N1bM0/Stage II)と肺癌(cT4N3M1c/Stage IVB)の同時性重複癌と考えられた.アファチニブを開始したところ,甲状腺以外の病変は著明な縮小を認めた.結論.甲状腺乳頭癌に肺門あるいは縦隔リンパ節腫大が認められる場合,同部位へのEBUS-TBNAは肺癌との重複癌と甲状腺癌単独の肺転移を鑑別するのに有用な可能性がある.

  • 鈴木 銀河, 一林 亮, 山本 咲, 渡辺 雅之, 酒井 浩多, 本多 満
    2019 年 41 巻 6 号 p. 619-623
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    はじめに.人工呼吸器では管理困難な重症喘息発作の症例を経験したので報告する.症例.54歳男性.病歴.気管支喘息に対して発作時にβ刺激薬の吸入を頓用していた.突然の呼吸困難で救急要請となった.経過.来院時に喘息発作の診断で人工呼吸器管理としアドレナリン筋注の反復とステロイド全身投与を行ったが,持続する換気不全,呼吸性アシドーシスの進行がありextracorporeal membrane oxygenation(ECMO)を導入した.入院翌日に気道内にアドレナリンを散布しその際に気管支平滑筋攣縮の改善を認めた.その後は徐々に喘息発作が収束していき呼吸状態が改善した.計63時間でECMOを離脱,翌日に抜管し,入院18日後に退院した.考察.人工呼吸器では治療困難な喘息発作の症例では速やかなECMO導入を考慮すべきであり,そのような致死的な症例においてはアドレナリンの気道内散布が有用な可能性がある.

  • 奥冨 泰明, 知花 和行, 伊藤 紘, 清水 悠佳, 奥冨 朋子, 横山 達也, 三好 祐顕, 清水 泰生, 武政 聡浩, 石井 芳樹
    2019 年 41 巻 6 号 p. 624-628
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    背景.自己免疫性肺胞蛋白症(autoimmune pulmonary alveolar proteinosis;aPAP)は,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)に合併することは稀である.症例.24歳.男性.UCで当院消化器内科通院加療中.健康診断にて胸部異常陰影を指摘され当科受診.胸部CTで,両側肺びまん性にすりガラス陰影および両側下葉にcrazy paving patternを認めた.気管支肺胞洗浄液は乳白色の外観を示し,TBLB標本において肺胞腔内にPAS染色陽性の細顆粒状物質の貯留を認めた.血清抗GM-CSF抗体価は48.3 μg/mlと上昇しており,aPAPの診断に至った.結論.aPAPとUCの併存症例を経験した.UC患者では,抗GM-CSF抗体が増加することが報告されているが,aPAPとの合併は稀である.aPAPとUCの合併が少ない理由については不明であり,さらなる症例の集積および検討が必要である.

  • 水野 翔馬, 水守 康之, 中原 保治, 勝田 倫子, 横井 陽子, 三宅 剛平, 塚本 宏壮, 佐々木 信, 河村 哲治
    2019 年 41 巻 6 号 p. 629-633
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    背景.局所麻酔下胸腔鏡による胸膜生検については,その有用性が報告されているが,診断には十分量の組織検体が求められることが多い.今回,硬く肥厚した胸膜に腺癌の散在を認め,通常の鉗子生検では診断困難と考えられ,全層胸膜生検が診断に寄与した症例を経験した.症例.74歳,男性.右胸水貯留にて紹介され,胸水検査では診断がえられず,局所麻酔下胸腔鏡を施行した.壁側胸膜は全体に硬く肥厚していたが,明らかな局所病変を指摘できなかった.壁側胸膜の鉗子生検を試みたが,胸膜が硬く十分量の検体採取が困難であり,全層胸膜生検を施行,組織学的に線維性に肥厚する胸膜に中分化腺癌の小胞巣が散見され,腺癌の胸膜播種と診断された.原発巣は,最終的に胃癌と診断した.結論.局所麻酔下胸腔鏡で胸膜表面に明らかな病変を認めない時,全層胸膜生検が有用な場合があると考えられた.

  • 渡部 晃平, 青山 眞弓, 武岡 慎二郎
    2019 年 41 巻 6 号 p. 634-639
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    背景.肺野末梢病変に対する超音波気管支鏡ガイド下針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration;EBUS-TBNA)の有用性は報告されているが,その多くは気道に隣接した腫瘍についてであり,距離を隔てた腫瘍に対する報告は少ない.症例.78歳男性.19年前に甲状腺癌に対して切除歴あり.当院循環器内科で施行された心臓CTで多発結節影を認めたことから,精査目的に当科受診となった.最大であった右S6の2.5 cm大の結節を含め,多発する小結節はいずれも気道との交通がないため経気管支生検は困難であり,EBUS-TBNAでアプローチ可能な縦隔,肺門部リンパ節腫大も認めなかった.右下葉気管支に近接していた結節を標的とし,経気管支的にconvex probe EBUS(CP-EBUS)を用いることで結節を不均一な低吸収病変として描出することに成功した.EBUS-TBNAを施行し,甲状腺癌再発の診断となった.手技に関連した有害事象はなかった.結論.気管支に隣接しない病変に対しても,EBUS-TBNAは有効かつ安全な選択肢である可能性がある.

  • Tomohiko Tanigawa, Hidefumi Koh, Tetsuo Tani, Tomohiro Takehara, Yoshi ...
    2019 年 41 巻 6 号 p. 640-645
    発行日: 2019/11/25
    公開日: 2019/12/19
    ジャーナル フリー

    Background. Primary angiosarcoma of the bone is an extremely rare form of vascular bone tumor, accounting for <1% of primary malignant bone tumors. Its histological findings are characterized by formation of anastomosing blood vessels lined by endothelial cells. It tends to involve the long, tubular bones of the extremities, and more than half of cases are found with metastasis, especially to the lung. Once metastasis to the lung has occurred, patients usually present with symptoms such as dyspnea, chest pain, and hemoptysis. Case. An 80-year-old woman was referred to our hospital for the further evaluation of abnormal X-ray findings of her right humerus, with only slight range of motion restriction. Upon arrival, she was also diagnosed with anemia, thrombocytopenia, and elevated D-dimer levels, which satisfied the criteria for disseminated intravascular coagulation. In addition, chest X-ray showed diffuse infiltrative shadows in both lungs, and chest computed tomography (CT) showed bilateral consolidation with ground-glass opacity. The further investigation of the lungs was prioritized over her shoulder pain, and bronchoalveolar lavage was performed. The fluid collected was fresh and blood-like and contained hemosiderin-laden macrophages, confirming the diagnosis of diffuse alveolar hemorrhaging. In addition, a biopsy of the right humerus was performed at the site where magnetic resonance imaging showed a destructive lytic lesion with irregular borders of fractured bone. Immunohistochemical staining revealed the tumor cells to be positive for cluster of differentiation 31 and 34 and negative for cytokeratin and thyroid transcription factor-1, and she was diagnosed with angiosarcoma. Conclusion. We herein report a rare case in which angiosarcoma was coincidently diagnosed in connection with diffuse alveolar hemorrhaging without CT findings suggesting lung metastasis. Neoplastic diseases should not be forgotten as differential diagnoses of diffuse alveolar hemorrhaging.

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