気管支学
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44 巻, 6 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
表紙
会告
目次
巻頭言
論評
症例
  • 古橋 一樹, 江角 征哉, 江角 真輝, 中村 祐基, 鈴木 勇太, 坂口 直, 伊藤 健太郎, 藤原 研太郎, 西井 洋一, 畑地 治
    2022 年 44 巻 6 号 p. 420-425
    発行日: 2022/11/25
    公開日: 2022/12/14
    ジャーナル フリー

    背景.悪性腫瘍の気管支内転移は比較的まれであり,原発巣として乳癌,腎癌,大腸癌の頻度が高い.腎細胞癌は易出血性で出血リスクが高い.症例.51歳,女性.2012年に左腎細胞癌(T3bN1M1,stage IV)の診断となり,分子標的薬を除いて様々な治療を施行した.2020年5月に呼吸困難のため当院を受診した.胸部CTにて左主気管支の閉塞を認め,急性呼吸不全のため侵襲的人工呼吸器管理下で気管支鏡検査を施行した.左主気管支は赤色調で出血を伴った結節状の隆起性病変によりほぼ完全閉塞を認めた.出血のリスクが高いと判断し,気管支動脈塞栓術を先行した.気管支動脈塞栓術施行後に気道ステント留置術を施行し,呼吸状態は改善した.気管支転移病変に対して分子標的薬および放射線治療を施行し,長期生存が得られている.結語.急性呼吸不全を伴う腎細胞癌左主気管支内転移に対して,気管支動脈塞栓術を先行することで安全に気道ステントを留置し予後を改善した1例を経験したため報告する.

  • 平位 一廣, 西馬 照明, 藤岡 美結, 山本 浩生, 髙原 夕, 松本 夏鈴, 石田 貢一, 徳永 俊太郎, 堀 朱矢, 田村 大介, 今 ...
    2022 年 44 巻 6 号 p. 426-431
    発行日: 2022/11/25
    公開日: 2022/12/14
    ジャーナル フリー

    背景.胸膜原発の血管肉腫は非常にまれな疾患であり,診断するのに難渋する症例が多い.症例.73歳の石綿曝露歴のある男性.検診にて胸水を指摘され当院を受診した.胸腔鏡にて白色の隆起性病変と胸膜肥厚を認めたが組織学的に診断を確定できず,経過観察とした.4か月後,胸水が急激に貯留したために2回目の胸腔鏡を行い,全周性の出血を伴う胸膜肥厚と赤色の融合した多発結節病変が出現した.生検組織の免疫染色でCD31陽性の腫瘍細胞を認め,血管肉腫と診断した.外来にて化学療法を行うも奏効せず,診断から6か月後に永眠された.結論.急激な胸膜病変の変化を胸腔鏡下に観察し得た胸膜原発の血管肉腫を経験した.石綿曝露例の診断にあたっては,石綿と関連の低い疾患を鑑別から落とさないことが重要と考えられた.また,本疾患を早期病変から疑うのは困難で,診断未確定例では早めの外科的生検を検討する必要がある.

  • 津野 夏美, 瀧川 雄貴, 佐藤 賢, 光宗 翔, 渡邉 洋美, 工藤 健一郎, 佐藤 晃子, 藤原 慶一, 岩本 康男, 柴山 卓夫
    2022 年 44 巻 6 号 p. 432-436
    発行日: 2022/11/25
    公開日: 2022/12/14
    ジャーナル フリー

    背景.気道インターベンション前後に呼吸機能検査を行うことで,狭窄病変の変化を生理学的に評価することができる.症例.40歳代女性.200X-7年から前医で大腸癌に対し手術,化学療法が継続され,200X-1年1月に縦隔リンパ節転移の気管浸潤に対し根治的放射線治療が施行された.200X年1月に胸部CTで気道狭窄を指摘されたため,当院紹介となった.気管下部左側にリンパ節転移の気管浸潤を認め,軟性気管支鏡下に高周波スネアを用いて腫瘍を切除した.自覚症状,呼吸機能検査でのピークフロー値ともに改善がみられたが,病勢の進行に伴い200X+1年3月に再び当院紹介となった.再狭窄した既知の病変を軟性気管支鏡下にcryoprobeで除去し,硬性気管支鏡下にDumon Yステントを留置し,再び呼吸機能検査でのピークフロー値の改善を確認した.結論.大腸癌縦隔リンパ節転移による気道狭窄に対して2回の気道インターベンションを施行し,呼吸機能の改善を確認しえた1例を経験した.

  • 坪井 光弘, 宮本 憲哉, 柿内 聡司, 坂東 紀子, 今倉 健, 稲山 真美, 森 彩花, 松本 大資, 広瀬 敏幸, 葉久 貴司
    2022 年 44 巻 6 号 p. 437-441
    発行日: 2022/11/25
    公開日: 2022/12/14
    ジャーナル フリー

    背景.触知困難な肺末梢小型病変を術中に同定するために,これまで様々な方法が報告されている.今回我々は術前にガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(endobronchial ultrasonography with a guide-sheath;EBUS-GS)を用いた経気管支的マーキングが有用であった1例を経験したので報告する.症例.72歳男性.膀胱癌,直腸癌の術後で経過観察中,右肺S3の小結節が増大しているとのことで転移性肺腫瘍の疑いで当科に紹介,手術の方針となった.結節が小さく術中に触知することは困難と考えられたので,術前にマーキングを行う方針とした.結節の辺縁にB3biが走行していることに着目し,EBUS-GSを用いてマイクロコイルによるマーキングを行い,処置後にCT検査で結節の近傍にマイクロコイルが留置されていることを確認した.手術ではX線透視を用いてコイルを確認し肺部分切除を行った.結論.適応症例に制限はあるものの,本法は術前マーキングの選択肢のひとつとして有用であると考えられた.

  • 松本 充生, 窪倉 浩俊, 臼田 実男
    2022 年 44 巻 6 号 p. 442-445
    発行日: 2022/11/25
    公開日: 2022/12/14
    ジャーナル フリー

    背景.超高齢者の気胸は,手術以外の治療を選択することが多い.また,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を併発した難治性気胸に対して手術を施行したという報告はほとんどない.症例.症例は100歳,男性.入所中の施設でCOVID-19のクラスターが発生し,発熱および酸素化低下を認めたため,救急搬送された.SARS-CoV-2 PCR検査で陽性,さらに胸部X線写真で右気胸を認め,COVID-19および右気胸の診断で入院となった.COVID-19に関しては軽症で,すみやかに改善し隔離は解除されたが,気胸に関しては気瘻の改善なく,肺の拡張が乏しいため,全身麻酔下に手術を施行した.その後,合併症を起こすことなく退院した.本症例は右肺に囊胞を認め,それが破裂したことが気胸の原因と予想された.COVID-19が気胸を発症する要因になるという報告もあり,COVID-19が影響を与えた可能性もある.結論.超高齢者は手術以外の治療を選択することが多いが,全身状態や合併症リスクなどを評価した上で,手術も考慮にいれる必要がある.

  • 小林 玄弥, 戸田 早苗, 向井 彩, 荒川 総介, 北村 有希, 中野 暁子, 川口 裕子, 前田 浩義
    2022 年 44 巻 6 号 p. 446-449
    発行日: 2022/11/25
    公開日: 2022/12/14
    ジャーナル フリー

    背景.胆汁性胸水は腹腔内の胆汁が胸腔内に移行することにより胸水が褐色になるまれな病態であり,腹部の疾患が原因とされている.症例.79歳女性.労作時の呼吸困難と右大量胸水の精査のために受診.胸腔ドレナージで褐色~黒色の胸水を認め,胸水ビリルビン,グリココール酸の上昇から胆汁性胸水と診断した.局所麻酔下胸腔鏡検査を実施し,横隔膜上の壁側胸膜に結節病変を認め,同部位の生検で肺腺癌と診断された.胸腹部造影CTで肝胆膵に明らかな異常はみられず,横隔膜上の胸膜播種が肝臓に浸潤したことにより胆汁が胸腔内に移行したと考えられた.結論.本症例のように胆汁性胸水の原因が胸部の疾患である場合には,局所麻酔下胸腔鏡検査は有用である.

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