気管支学
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44 巻, 1 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
表紙
会告
目次
巻頭言
論評
症例
  • 甲 貴文, 長田 駿一, 徳重 康介, 中西 崇雄, 本山 秀樹, 大政 貢, 桑田 陽一郎
    2022 年 44 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.気管支動脈瘤は稀な疾患であるが,破裂すると致命的になるおそれがある.症例.高血圧症の既往がある74歳女性,夕食中に突然背部痛を訴え当院へ救急搬送された.造影CTにて中縦隔の拡大と,造影早期相で高吸収を呈し,大動脈弓から分岐する気管支動脈に連続する6 mm大の構造を認め,縦隔型気管支動脈瘤の破裂と診断した.その後収縮期血圧40 mmHg台まで低下した.緊急気管支動脈造影を施行,破裂した気管支動脈瘤を同定し,N-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)/lipiodol混合液+マイクロコイルで気管支動脈塞栓術を行い,良好な塞栓が得られた.術後経過良好であり入院16日目に退院,以後1年5カ月再発なく経過良好である.結論.気管支動脈瘤破裂は速やかな診断を要する.血管内治療が有効であり,塞栓物質としてNBCAは有用である.

  • 本倉 優美, 有田 真知子, 丹羽 崇, 百瀬 匡, 中西 陽祐, 福田 泰, 横山 俊秀, 伊藤 明広, 時岡 史明, 石田 直
    2022 年 44 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.多発血管炎性肉芽腫症(granulomatous polyangiitis:GPA)は中~小血管を障害する壊死性肉芽腫性血管炎を特徴とする原発性全身性血管炎であり,ANCA関連血管炎の一病型に分類される.診断には病理組織所見が重要であるが,経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy:TBLB)の診断率は低いことが知られている.症例.80歳女性.20XX-3年9月に多発肺浸潤影を認め,TBLBと3度のCTガイド下経皮的肺生検を行うも有意な病理所見は得られず,ANCA陰性であり,血管炎の診断に至らなかった.ステロイド反応性に肺陰影は改善し,その後ステロイドは漸減・中止となった.20XX年4月に食思不振と嘔気が出現した.胸部画像で右上葉に空洞を伴う結節影と浸潤影を認めた.MPO-ANCA陽性が判明し,クライオバイオプシー(transbronchial lung cryobiopsy:TBLC)で壊死性肉芽腫性血管炎を認め,GPAの診断となった.結論.血管炎の検出にTBLCが有用と考えられ,今後の症例の蓄積が期待される.

  • 藤原 大樹, 内藤 潤, 植松 靖文, 森本 淳一, 柴 光年, 飯田 智彦
    2022 年 44 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.有瘻性膿胸は開窓術など手術を要することが多いが,気管支充填術で手術を回避できたという報告がある.症例1.76歳男性.数日前からの呼吸困難感で当院受診.有瘻性膿胸の診断で,胸腔ドレナージ,抗菌薬での加療を行った.気瘻が持続し,入院8日目にEWSによる気管支充填術を施行した.その後気瘻は消失し,11日目に電動式低圧吸引器(Thopaz+™)による吸引を開始した.膿胸腔は徐々に縮小し,19日目にドレーンを抜去した.症例2.47歳男性.咳嗽,胸水貯留で当院受診.有瘻性膿胸の診断で,胸腔ドレナージ,抗菌薬での加療を行った.気瘻が持続し,症例1を参考に入院4日目にEWSによる気管支充填術を施行した.直後より気瘻は消失し,5日目に電動式低圧吸引器による吸引を開始した.膿胸腔は徐々に縮小し18日目にドレーンを抜去した.結論.気管支充填術と電動式低圧吸引器による安定した陰圧ドレナージ管理で手術を回避できた有瘻性膿胸の2症例を経験した.

  • 木田 涼太郎, 平井 理子, 鳴海 圭倫, 石田 健介, 森田 一豊, 梅影 泰寛, 風林 佳大, 山本 泰司, 佐々木 高明
    2022 年 44 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.特発性気管狭窄は,原因不明の希少疾患で,治療法は確立されていない.内視鏡的治療や外科的治療は,再発率が高く声帯機能の温存が難しいことが指摘されている.症例.49歳女性.6か月間呼吸困難を感じていた.初診時に吸気性喘鳴を聴取した.気管支鏡で声帯下2 cmの部位に全周性の気管狭窄を認めた.気道確保のため,狭窄遠位側で気管切開を行った.気管切開後に行った狭窄部の生検で,炎症細胞浸潤を伴う非特異的な線維性組織を認めた.気管狭窄を来す他の疾患は否定的であり,特発性気管狭窄と診断した.2か月後,再入院し気管支鏡を行ったところ,気管狭窄は自然軽快していたため,根治術は行わなかった.さらに2か月後,気管狭窄は全周性に寛解していたため気管孔を閉鎖した.以後3年間再狭窄を認めていない.結論.本症例は,気管切開下での自然寛解を期待した経過観察が,特発性気管狭窄の治療選択肢の一つとなり得る可能性を示した.

  • 春田 由貴, 東 正徳, 佐渡 紀克, 北川 怜奈, 藤木 貴宏, 宮里 和佳, 野田 彰大, 福島 有星, 上田 哲也, 長谷川 吉則
    2022 年 44 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.新型コロナウイルス感染症(COVID-19;coronavirus disease 2019)では喀血や血痰を来す例や剖検で肺胞出血を認めた例が報告されているが,COVID-19患者に対して気管支鏡検査を行い肺胞出血と診断した報告はほとんどない.症例.32歳男性.発熱を主訴に来院.血痰や喀血は認めていなかった.同時期に同居家族がCOVID-19を発症していた.鼻咽頭ぬぐい液の新型コロナウイルスPCR(polymerase chain reaction)は陰性であり,胸部単純X線写真にて両側肺野の浸潤影を認めたため,市中肺炎と判断.レボフロキサシンを投与するも改善は認められず,気管支肺胞洗浄を施行した.回収液は血性,新型コロナウイルスPCRが陽性であり,COVID-19に伴う肺胞出血と診断した.デキサメタゾンの投与にて速やかに改善し退院した.結論.COVID-19には肺胞出血を伴うことがあるため,遷延する陰影を来す症例において気管支肺胞洗浄は有用と思われた.

  • 園川 卓海, 吉野 直之, 竹内 真吾, 永田 耕治, 臼田 実男
    2022 年 44 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.外骨腫(骨軟骨腫)は,最も頻度の高い原発性良性骨腫瘍であるが,肋骨に発生することは稀である.しばしば気胸や血胸の原因として発見される.今回我々は,肺に陥入した肋骨外骨腫の1例を経験したので報告する.症例.19歳,男性.2年前に胸痛を主訴に近医を受診し,左肋骨腫瘍を指摘されたが,学業の関係で経過をみられていた.今回手術目的に当院紹介受診となった.胸部CTでは左第3肋骨より肺側に突出する骨腫瘍を認めた.肋骨腫瘍による症状を疑い,胸腔鏡下手術を施行した.胸腔内を観察すると,左第3肋骨より隆起する腫瘍は左肺上葉に陥入しており,腫瘍基部の切除と肺内の腫瘍を含め左肺上葉部分切除術を施行した.病理組織学的検査では,左肺上葉内に,表面に軟骨帽を伴う骨組織がみられ,肋骨外骨腫と診断した.結論.肋骨外骨腫は良性腫瘍であるが,胸腔内臓器に慢性的な機械刺激を生じ,気胸や血胸の原因となり得るため,外科的切除を検討することが望ましい.

  • 髙木 玄教, 武藤 哲史, 福原 光朗, 猪俣 頌, 山口 光, 渡部 晶之, 尾崎 有紀, 岡部 直行, 松村 勇輝, 塩 豊, 鈴木 弘 ...
    2022 年 44 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.気管支断端以外の術後気管支瘻・穿孔に関する報告は多くないが,エネルギーデバイスの使用で気管・気管支組織の損傷から発生するとの報告が散見される.症例.61歳女性.術前診断は右下葉肺腺癌.胸腔鏡下右肺下葉切除の術中,中間気管支幹周囲の気管支動脈から出血があり,ボール電極によりソフト凝固による止血を行った.術後約5週間に発熱をきたし気管支鏡検査を実施したところソフト凝固による熱損傷が原因と考えられる中間気管支幹の穿孔が判明したため緊急手術の方針としたが,穿孔部の閉鎖は困難と判断し開窓術を行った.連日の創処置により気管支穿孔部の自然閉鎖を認めた.結論.ソフト凝固は止血や肺瘻閉鎖に有効なデバイスだが熱損傷を起こすことがあり,その特性と,気管・気管支の解剖学的構造などをよく理解した上で適正に使用する必要があると考えられた.

  • 矢谷 敦彦, 黒田 栞, 山本 正嗣, 立原 素子, 山田 潤, 羽間 大祐, 桂田 直子, 松村 考, 清水 奈保子, 西村 善博
    2022 年 44 巻 1 号 p. 50-53
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.長期間経過した気管支異物では,肉芽形成や異物の嵌頓により,安全な除去が困難なことがある.症例.74歳,女性.魚骨を飲み込んだ後より咳嗽が出現した.原因不明の咳として経過観察されたが,1年後に発熱,左胸部違和感を主訴に近医を受診し,肺炎として加療された.その際に胸部CTで左上葉支の途絶,左上葉無気肺が認められ,精査のため気管支鏡検査が行われた.気管支異物が認められるも除去が困難であったため,当院紹介受診となった.気管支壁は左主気管支遠位側より浮腫状で,左上下幹分岐部に魚骨と思われる異物があり,周囲の肉芽形成により,左上幹入口部は狭窄していた.気管支壁の浮腫の軽減を目的としてプレドニゾロン40 mg/日を開始し,3日後に全身麻酔下に軟性気管支鏡による異物除去を試みた.気管支壁の浮腫は改善しており,一時的に用手的により高い気道内圧と異物除去時にすることで内腔の拡張と視野の保持が得られ,鰐口鉗子で異物を把持・除去することができた.結論.プレドニゾロン投与により気管支壁の浮腫を軽減し,また全身麻酔により呼吸や咳嗽反射をコントロールし気管支内腔の拡張が得られたことで,気管支異物除去を安全に行うことができた.

  • 勝又 信哉, 三好 智裕, 多根 健太, 鮫島 譲司, 青景 圭樹, 坪井 正博
    2022 年 44 巻 1 号 p. 54-58
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.気管支分岐異常の中で右B2+3の転位気管支は稀であり,術前3D-CT再構築画像により気管支分岐異常を同定し安全に右上葉切除を行った1例を経験したため報告する.症例.69歳男性.胸部違和感を主訴に近医を受診し,胸部X線で右上肺野に腫瘤影を指摘され,肺癌疑いで精査加療目的に当院紹介受診となった.胸部CTで約7.1 cm大の右上葉腫瘤を認め,気管支鏡で右B1b末梢より経気管支肺生検を行いnon-small cell carcinomaと診断した.臨床病期T4N1M0,stage IIIAの診断で手術加療目的に当科紹介となった.術前3D-CT再構築画像より右B2+3が中間幹より分岐する気管支分岐異常を認めた.結果.肺動脈はA1,A2a,A2b,A3a,A3bがそれぞれ別々に肺動脈本幹より分岐しており,個別に切離を行った.肺静脈は明らかな分岐異常を伴わずV1-3を切離した.右B2+3が中間幹より分岐しており,B1とB2+3をそれぞれ切離した.病理診断はpT3N0M0,stage IIBであった.結論.右B2+3気管支分岐異常を伴う右上葉肺癌に対し安全に手術を施行しえた1例を経験したので報告する.

  • 上桝 潔, 平山 寛, 安田 有斗, 岩嶋 大介, 高橋 憲一
    2022 年 44 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.アレルギー性気管支肺真菌症は吸入した真菌に対する宿主側の2型免疫応答により生じ,無加療では肺の構造的変化を誘引しうる疾患である.症例.68歳男性.6年前に過敏性肺炎と診断し,抗原回避にて改善したが右下葉などに気管支拡張・線維化を認めていた.経過観察となり,診断前年に気管支喘息と好酸球性肺炎と診断し,ステロイド加療を行い改善した.経過観察を継続したが,CTにて右下葉の気管支拡張部分に新規浸潤陰影を認め気管支鏡検査を施行し,右下葉肺底区入口部に粘液栓を認めた.病理学的検査では粘液栓よりグロコット染色で糸状菌を認め,アレルギー性気管支肺真菌症の診断に至った.経口ステロイド薬による加療を開始したところ,右下葉の陰影は改善し,ステロイド薬を漸減し終了とした.結論.気管支喘息患者において器質的異常を有する気管支部位はアレルギー性気管支肺真菌症の母地となりうることが示唆された.

  • 清水 宏繁, 杉野 圭史, 佐野 剛, 渋谷 和俊, 植草 利公, 本間 栄
    2022 年 44 巻 1 号 p. 64-68
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)治療中に間質性肺炎の発症を契機に抗ARS抗体症候群(anti-aminoacyl tRNA synthetase syndrome)の診断に至ることは稀である.症例.66歳男性.前医でRAと診断され,金チオリンゴ酸ナトリウムの投与が行われていた.1カ月前より咳嗽,労作時呼吸困難が出現し,胸部X線写真上,間質性肺炎を指摘され当院を紹介受診.胸部HRCT(high-resolution CT)で両側下葉背側優位に一部斑状のconsolidation,及び牽引性気管支拡張を認めた.胸腔鏡下肺生検を施行し,fibro-cellular NSIP(nonspecific interstitial pneumonia)と診断.血液検査で血清抗PL-12抗体陽性が判明し,抗ARS抗体症候群と診断した.結語.膠原病に伴う間質性肺疾患の可能性が否定できず,HRCTで上記のような所見を示す間質性肺炎では,抗ARS抗体を測定すべきであると考えられた.

  • 木村 望, 突田 容子, 宮内 栄作, 小室 英恵, 齊藤 涼子, 佐藤 輝幸, 宍倉 裕, 野津田 泰嗣, 桜田 晃, 杉浦 久敏
    2022 年 44 巻 1 号 p. 69-72
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.肺癌転移はいくつかの形式に分類されるが,その転移形式を推定することは極めて困難である.症例.81歳女性.IA3期小細胞肺癌に対して外科的切除術を施行した.術後6か月経過時点で呼吸困難,喘鳴を認めたため当科を受診した.CT検査,気管支鏡検査で気管内に多発する腫瘤性病変を認め,小細胞肺癌再発の診断となった.他臓器に再発病変は認めなかったため,気管支鏡下での腫瘍切除術,姑息照射を実施した.その後も気管・気管支内再発のみを繰り返し,高齢で化学療法の希望はなく,その度に局所療法を実施し,再発から21か月の生存を得ることができた.遠隔転移を伴わず,気管・気管支のみに再発を繰り返す経過は非常に珍しい.本症例は画像所見や病理学的所見などを総合しリンパ行性に転移・再発した可能性が高いと考えた.結論.小細胞肺癌においてリンパ行性転移が示唆された1例を経験した.

  • 今林 宏樹, 星野 英久, 太枝 帆高, 黄 英哲, 関根 康雄
    2022 年 44 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.異物が気道内に長期間留まると,周囲に肉芽形成をきたし,異物の摘出に難渋することがある.症例.78歳男性.脳梗塞に対し抗凝固薬内服を開始した3カ月後より血痰を認め,前医を受診した.胸部CT,喀痰検査で異常を指摘されず経過観察となった.2カ月後,血痰の再燃が認められ,CTで中葉完全無気肺が認められた.抗菌薬で無気肺の改善が認められないため,当科紹介となった.前医で初回撮影されたCTで中葉支入口部近傍に高吸収値を呈した線状陰影を認め,気道異物を疑い気管支鏡検査を施行した.気管支鏡で観察すると,右中間幹から中葉支入口部に白色扁平な異物を認め,周囲は肉芽形成をきたし,中葉支入口部は完全閉塞していた.生検鉗子で異物を把持すると可動性が得られ,容易に異物を摘出できた.摘出異物は魚骨であった.肉芽による中葉支入口部完全閉塞に対する処置は行わず,トラニラストの内服を開始し経過観察の方針とした.異物摘出1カ月後の胸部X線で中葉に含気を認め,3カ月後のCTで中葉完全無気肺は軽快した.結語.CT上,異物の気道壁への陥入は軽度と考えられたため,生検鉗子で把持後,そのまま異物を摘出した.肉芽による中葉支入口部の完全閉塞を認めたが,異物除去に伴う肉芽の消退を期待し処置は行わず,トラニラストの内服を開始し中葉完全無気肺は軽快した.

  • 石井 達也, 村田 祐一, 石黒 豊, 佐藤 里香, 仲田 庄志, 井上 信孝
    2022 年 44 巻 1 号 p. 79-85
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)流行期において,気管支鏡検査はエアロゾルが発生するため,COVID-19を疑う症例では感染防御を徹底しなければならない.一方ニューモシスチス肺炎(pneumocystis pneumonia:PCP)は画像所見がCOVID-19と類似しており,両者の鑑別には気管支鏡検査が必要である.症例1.40歳代男性.発熱を主訴に受診,肺炎と診断し抗菌薬加療を行うも改善しなかった.HIV抗体陽性,β-Dグルカン陽性,C7-HRP陽性であり,PCP,サイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)感染症を疑った.気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid:BALF)にてニューモシスチスPCR法とCMV PCR法が陽性でありPCP,CMV感染症と診断した.症例2.70歳代女性.関節リウマチ,リウマチ性多発筋痛症に対し免疫抑制薬にて加療中に悪寒発熱を主訴に受診,肺炎と診断し抗菌薬加療を行うも改善せず,HIV抗体は陰性だったがβ-Dグルカン陽性でありPCPを疑った.BALFにてニューモシスチスPCR法陽性であり,PCPと診断した.結論.COVID-19流行期において気管支鏡検査にて診断したPCPの2症例を経験した.COVID-19は肺炎を起こす疾患の1つであり,他疾患と同等に精査を進めることが重要であり,気管支鏡検査は感染防御を徹底して施行しなければならない.

  • 佐藤 祐麻, 河井 康孝, 池澤 靖元, 山中 康也
    2022 年 44 巻 1 号 p. 86-91
    発行日: 2022/01/25
    公開日: 2022/02/23
    ジャーナル フリー

    背景.梅干しの種による気管支異物の症例報告は稀であり,摘出方法の検討が重要である.症例.82歳,女性.パーキンソン病,うつ病による日常生活動作低下,認知機能低下のため精神科病院入院中であった.X年5月下旬,夕食の梅干しを摂取後より呼吸困難の出現を認めたが,自然軽快したため経過観察とされていた.その3日後の6月上旬,起床後より再度呼吸困難が出現し,胸部X線写真と胸部CTで中間幹に梅干しの種と考えられる異物が認められ,異物摘出目的に当科紹介となった.軟性気管支鏡にて中間幹に嵌頓した異物を認め,五脚鉗子とV字鰐口鉗子を用いて体外に摘出することに成功した.異物は3日前に誤嚥したと考えられる梅干しの種であった.閉塞性肺炎のため抗菌薬投与を行ったがその後の経過は良好であり第3病日に前医へ転院となった.結論.梅干しの種による気管支異物の摘出に五脚鉗子とV字鰐口鉗子が有効であった1例を経験した.

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