林野火災の被火地を含むエリアを対象に, ランドサットTMデータの (Band 4 Band 3)/(Band 4+ Band 3) で表されるNDVI を指標として, 森林植生とその変化について検討した。使用したTMデータは, 火災前年, 火災直後および火災5年後の同じ季節のものである。その3時期のデータを重ね合わせ, 土地利用図からサンプルを抽出し火災前年のNDVIを求めると, 森林は他の土地利用と明確に異なる値域を示し, 火災直後ではその一部の値が大きく変化しており, 火災地域の検出が可能であることが判明した。そこでまず, 火災直後の空中写真から燃焼程度を3段階に分類した燃焼程度分類図を作成した。分類図から任意にサンプルを抽出し, 燃焼程度別のNDVI値域を求め, 対象地域全体を分類した結果, 適合率は73%と良好な結果が得られた。次に, 火災5年後の空中写真から被災地の植生回復度を4段階に区分し, 燃焼程度分類と同様の方法でNDVIによる分類を行った結果, 適合率は73%であった。さらに, 3時期のNDVI値の増減パターンにより, その地点の植生被覆の経時変化の様態を分類すると, 空中写真による分類と一致し, 植生の変化状態を空間的に表すことが可能となった。
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