林冠木の伐採による急激な光環境の変化がコナラ前生稚樹の成長反応に及ぼす影響を明らかにするため, 光環境の異なる4試験区 (林内区, 大小の林冠ギャップ区および林外区) に, 成長期前の4月と成長期途中の7月にポットに移植した前生稚樹を配置し, 葉群形成や葉の光合成光反応曲線について調べた.4月に配置した稚樹では, 大ギャップ区と林外区のもので二次伸長が起こり, それぞれ一次葉の1.5および2倍の二次葉が形成された.一次葉の光飽和光合成速度 (
Pmax) は, 林外区を除けぼ, 相対日射量の上昇にともない増大したが, 光反応曲線の初期勾配 (∅) の変化は小さかった.林外区の一次葉の∅ と
Pmaxは, ギャップ区のそれに比べ低く, 強光阻害を受けていた.二次葉の
Pmaxは高く, 大ギャップ区では一次葉の1.4倍, 林外区では2.2倍の値を示した.7月にギャップ区に配置した稚樹では, 二次伸長は起こらず,
Pmaxの増大も小さかった.また, 林外区の稚樹では, 一次葉の脱落とそれに続く新葉の再生が起こった.稚樹の成長量は, 相対日射量の上昇にともない増大し, そこでは光合成能力の高い二次葉や再生葉の出現が新たな光環境下での高い生産性に大きく関与していた.
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