5月から11月までヒノキ (
Chamaecyparis obtusa Endl.) とアカマツ (
Pinus densiflora Sieb. et Zucc.) の3年生苗木の光合成・蒸散速度の日変化及び季節変化を測定した.潅水量によって, 土壌水分を3段階に設定した.両樹種ともに, 午前中に純光合成速度がピークになったが, その時間は蒸散のほうが光合成より遅かった.土壌含水比が低い場合は, 純光合成速度, 蒸散速度及び気孔コンダクタンスが減少したが, 水利用効率に違いは見られなかった.ヒノキの総同化量は7月にピークになったが, アカマツの場合は, 8月にピークになった.アカマツのpF2.7の処理区では, 総蒸散量は10月に最も多かったが, それ以外の処理区では総同化量と同じような季節変化を示した.ヒノキの水利用効率は5, 10, 11月に高く, 6月から9月まで低かった.一方, アカマツの水利用効率は季節を通して変化しなかった.土壌含水比が低い場合は, 総同化量および総蒸散量が減ったが, 水利用効率に違いが見られなかった.ヒノキとアカマツの純光合成速度を同じ土壌水分条件で比べると, アカマツのほうがヒノキより優れていたので, アカマツはヒノキより耐乾性が優れていると思われる.
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