高速道路のり面への木本植物の侵入パターンを明らかにするために, 施工後32-33年経過した無管理の名神高速道路ののり面で, 植生と土壌の調査を行った。
施工後32-33年も施工後13-14年に優占していたアカマツとヤシャブシがまだ優占していたが, 出現種は大幅に増加していた。群落は周辺に存在するモチツツジ-アカマツ群集の標徴種であるモチツツジやネジキ, シャシャンボ等のツツジ科の木本類を持つ群落と持たない群落に分化していた。しかし, アカマツとヤシャブシの新たな侵入はなく, 現在生育している個体が枯死した後は, 他の木本種が優占する群落に遷移することが示唆された。のり面土壌の腐植含有率や全窒素をみると, 周辺のアカマツ群落と同等のレベルまで発達していた。
侵入した木本種の被度の変化をみると, 鳥によって種子が運ばれる動物散布種が増加しており, 道路のり道の遷移では鳥の役割が大きいことが指摘された。
これらの調査結果を基に, 高速道路のり面での植生遷移系列と種子散布様式別の木本種の侵入パターンが模式図として取りまとめられた。
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