日本緑化工学会誌
Online ISSN : 1884-3670
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29 巻, 4 号
(2004 May)
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
特集
  • 池田 穣, 山口 修一
    2004 年 29 巻 4 号 p. 472-476
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/11/18
    ジャーナル フリー
    宮ヶ瀬ダムの骨材製造工事で生じた原石山法面にポット苗を利用して現地自然植生に近い中高木等を植栽した。施工後5 -6 年を経過した時点での当初植栽された樹木の生存率,成長率ならびに移入種の現況を調査した。その結果,落葉樹と常緑樹をあわせた導入種全体での生存率は,概ね50% 以上であった。全体的に小段の方が,生存率,成長率ともに高かった。また地山の岩盤の隙間に根を侵入させている樹木もあった。
  • 稲葉 悦雄, 藤田 大知, 鈴木 和春, 浦山 真次郎, 丸谷 成
    2004 年 29 巻 4 号 p. 477-481
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/11/18
    ジャーナル フリー
    現在建設中の滝沢ダムでは,環境保全対策の一環として自然植生の復元を目的とし,ダム周辺で採取した種子を用いた緑化(=植生復元)を実施している。本報告では,当ダムの植生復元における取り組みの計画から施工までの流れ及び原石山への適用例
  • 吉田 寛, 古田 智昭
    2004 年 29 巻 4 号 p. 482-494
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/11/18
    ジャーナル フリー
    本報告では,切土法面における「自然回復, 復元緑化工」を計画する場合に,その初期緑化目標となる自生種を主体とする木本植物群落の造成事例として,厚層基材吹付工(斜面樹林化工法)施工後数年以上が経過した三重県内における試験施工を中心に,1)常緑広葉樹林の形成事例(4 件),2)落葉広葉樹林の形成事例(3 件),3)常緑樹, 落葉樹混交林の形成事例(3 件)について追跡調査結果のとりまとめを行った。植生の経年変化を総合すると,自生種を主体とする木本植物種子を使用した厚層基材吹付工により,施工後数年で複層構造の木本植物群落を形成させることができ,補全種として導入したヤマハギやコマツナギなどの先駆樹種は,主構成種の遷移中後期樹種の成長に伴って衰退していくことが確認された。厚層基材吹付工を適用した場合,一般的に一次植生が持続して植生回復が停滞する傾向があると評価されているが,その主な原因として,これまでの緑化工で行われてきた外来草本類やマメ科低木類を主体とする単一な植物群落形成が大きく関与していると思われる。使用植物を自生種主体に転換することにより,厚層基材吹付工による法面の自然回復緑化は十分可能と考えられる。
論文
  • 近藤 哲也, 竹内 清夏
    2004 年 29 巻 4 号 p. 495-502
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/11/18
    ジャーナル フリー
    ムラサキモメンヅルは「北海道レッドデータブック(2001)」において希少種に位置づけられているが, 渡島支庁の渡島大島では,島内の各所に大規模な個体群が確認され,造成によって裸地化した場所にもいち早く定着している。このことは,本種は北海道での希少種であると同時に自生地周辺の植生回復材料としても有望であることを示唆している。本研究では,本種の保護と植生回復材料としての可能性を探るために,種子の発芽条件とその後の生育に関する実験を行った。種子は硬実休眠を有しており,無処理の種子は10%以下の発芽率であった。硬実休眠は凍結, 解凍処理によっては打破できなかったが,濃硫酸に20-90分間浸漬することで播種後6日以内に100%近い発芽率を得ることができた。電子顕微鏡による観察によって,濃硫酸処理は種皮に穴や亀裂を生じさせていることが示された。休眠を打破された種子は10-30℃の温度で播種後10日以内に90% 以上の発芽率を示し,14カ月間貯蔵後でも90% 以上の発芽率を維持した。野外のセルトレイに5月25日に播種し,発芽した実生を圃場に移植した結果,翌年の10月には10個体のうちの6個体が開花結実した。
技術報告
  • 石田 仁
    2004 年 29 巻 4 号 p. 503-506
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/11/18
    ジャーナル フリー
    立山アルペンルート沿線にはスギ, ブナ群落の森林が発達しているが,一部のブナ大径木が枯死しその樹冠下ではササ類などが繁茂している。このような森林衰退箇所の森林更新を促進する目的で現地産のブナ苗の植栽を行った。森林衰退箇所の林床植生は,クマイザサが密生するタイプと,チシマザサが密生するタイプが認められた。群落高は,前者が約1 m,後者が約2 m であり,群落内部の相対光量は両者ともにおおむね5% 以下であった。ブナの植栽苗が相対光量30-40% を確保できるように,最小限度の林床植生の刈払いを行い植栽を実施した。植栽後7-3 年で,全植栽箇所の苗木の活着率は9 割を超え,多くの苗がササの高さ以上に生育した。
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