積雪寒冷地帯での崩壊地分布と形状変化および回復過程の時系列変遷を北海道渡島半島八雲地域を対象に航空写真を用いて検証した。その結果,崩壊場の分布は過去31 年間大きな変化はなく,崩壊個数は1967年583個,1983年540個,1998年541個の箇所が確認され1967年頃に最大を示し,北海道南西沖地震(1993)による崩壊地発生は少ない。崩壊面積は1967年86.9 ha,1983年86.1 ha,1998年103.4 ha と1998年に最大を示し,地震での微震動とその後の降雨により表層土の火山灰層を脆弱化し,崩壊地を拡大した可能性が考えられる。また,崩壊地の平均面積は約0.2 ha と比較的小規模崩壊が大部分を占めた。崩壊の形状は崩壊数の約28-33% が伸張係数1.53-1.56 で円形状に近い崩壊場で,崩壊長(L)20-40mの場が約200 カ所,40-60mの場が100-150 カ所で,崩壊幅(W)20-40mの場が約200 カ所以上,40-60 mの場が100 カ所以上からも推定される。崩壊斜面の傾斜角は25 度を境とし,30-45度の急傾斜が多く出現した。崩壊斜面の出現方位は北, 北東, 東斜面に多く存在した。拡大型の崩壊地が優位を示す地域である。
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