日本緑化工学会誌
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32 巻, 3 号
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特集
論文
  • 山本 牧子, 玉井 重信, 山中 典和
    2007 年 32 巻 3 号 p. 425-431
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/07
    ジャーナル フリー
    中国内蒙古自治区の毛烏素沙地における主要な緑化樹種であるサリュウ(Salix psammophila C. Wang et Ch. Y. Yang )とハンリュウ(S. matsudana Koidz. )の挿し木苗を用い,両樹種の乾燥ストレスに対する生理生態的反応を調べることを目的として,乾燥処理条件下での成長量,光合成速度,蒸散速度,気孔コンダクタンス,及び葉の水ポテンシャルの変化を測定した。サリュウは乾燥ストレスに対して,気孔コンダクタンスを低下させ,蒸散を抑制することで葉の水ポテンシャルを高い値で維持するなど,葉の脱水を延期する特性に優れる樹種であると考えられた。ハンリュウにおいても,乾燥処理による気孔コンダクタンスの低下とそれに伴う蒸散抑制が示されたが,その反応はサリュウより小さく,乾燥条件下でも多くの水を消費する樹種であると考えられた。また,成長量は両樹種ともに減少した。しかしながら,気孔閉鎖による光合成の抑制が少なかったハンリュウでは,サリュウと比較して成長量の減少が小さかった。
  • 田村 浩喜, 金子 智紀, 蒔田 明史
    2007 年 32 巻 3 号 p. 432-439
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/07
    ジャーナル フリー
    小坂鉱山の煙害地に造成されたニセアカシア林について,92 か所の林分調査資料を解析し,施工後50 年を経た段階での緑化の成否を明らかにするとともに,林分の形成過程を推測した。調査区の幹密度は759.8±249.6 本/ha,平均樹高は13.9±3.7 m であった。ほとんどの調査区で森林が形成され,平均断面積合計は24.8±7.0 m2/ha と40 年生ミズナラ林に相当することから,緑化の第一目的は達成できていると評価された。しかし,遷移については在来種の優占度が低いことから,遅滞している林分が多いことが確認された。これには,かつて植生が煙害により広範囲で衰退したことが原因で,在来種の種子散布がほとんど行われてこなかったことが重要な要因と考えられた。一方林分の形成過程は,ニセアカシアは定着後の急速な初期成長により比較的早く成林状態に達するものの,20 年生以降の林分では倒木等による幹密度の減少が根萌芽による幹の加入により補われ,群落構造に大きな変化がないと推察された。今後の造成地の管理は,老齢に向かうニセアカシア群落の維持機構を解明することが不可欠であると考えられた。
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