日本緑化工学会誌
Online ISSN : 1884-3670
Print ISSN : 0916-7439
ISSN-L : 0916-7439
34 巻, 3 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
特集
  • 緑化植物問題の技術的課題
    亀山 章
    原稿種別: 特集
    2008 年 34 巻 3 号 p. 447-448
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • ELR2008研究集会「緑化植物の取り扱いについての新しい動き」のまとめ
    原稿種別: 特集
    2008 年 34 巻 3 号 p. 449
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • ELR 2008(第39 回日本緑化工学会大会)研究集会「法面自然回復緑化の現場をとりまく課題と今後の展望(II)―これからの植生工の検査基準を考える―」企画までの経緯と開催趣旨
    福永 健司
    原稿種別: 特集
    2008 年 34 巻 3 号 p. 450-451
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 各都道府県における植生工の検査基準の現状について
    西澤 睦博
    原稿種別: 特集
    2008 年 34 巻 3 号 p. 452-458
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    生物多様性に配慮した自然回復緑化が望まれている一方で,法面緑化の現場では外来草本類やマメ科低木類による急速緑化が依然として続いており,生物多様性に配慮した緑化工法の採用機会は非常に限られているのが実状となっている。こうした事態を招いている原因のひとつとして,現行の植生工の検査基準が関係しているのではないかと考え,斜面緑化部会として,全国47 都道府県の検査機関88 箇所に対し,現状の検査基準についてアンケート調査を行い,47 都道府県75 箇所より回答を頂いた。この内,回答のあった土木関連は,28 箇所中23 箇所において,生育判定基準が定められていなかった。これに対し,全都道府県から回答を頂いた農林関係機関もしくは共通機関では生育判定基準が全箇所で設けられていた。これより,この回答分に対して,1)植生工の検査基準の出典や目的について,2)具体的な検査基準の内容について,3)検査の記録及び不合格対応について,3つに大分類し,さらに,その中で項目別に細分類し,集計を行った。その結果,緑化目標や,使用植物について,生物多様性に配慮した法面の自然回復緑化に対応した,検査基準は認められなかった。
  • 斜面緑化における播種工の成績判定方法のあり方
    吉田 寛
    原稿種別: 特集
    2008 年 34 巻 3 号 p. 459-465
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    4 省庁による「要注意外来生物リスト(緑化植物)」の取り扱いに関する検討の結果,施工対象となる法面が立地する地域特性を考慮して,生物多様性に配慮した緑化工法(播種工の場合は自生種種子の活用)の適用が望ましいとする方向性が示された。しかし,斜面緑化の現場では依然として外来種を用いた緑化が行なわれ続けており,その原因のひとつに緑化工の成績判定方法(検査基準)が影響しているのではないかと考えられた。そこで公表されている自生種の木本植物を使用した自然回復緑化の施工事例の施工3ヵ月後の調査結果に対して現行の検査基準を適用してみたところ,正しく評価できた割合は50% 程度だった。この原因として,木本植物群落の形成を初期緑化目標とする場合に,1)30~70% の植被率を満足しないと検査に合格しない,2)初期緑化目標が達成できるかどうかを評価するスタンスに立っていない,3)導入種によって異なる施工後の密度変化の特徴が考慮されていない,という問題が指摘された。自生種種子を使用した生物多様性に配慮した緑化工法を普及させるためには,外来草本群落やマメ科低木林の形成を目的に作られた現行の検査基準を適用するのではなく,自生種群落を形成させるための新たな成績判定方法の策定が急務といえる。
  • 斜面緑化における植栽木の成績判定方法のあり方
    山田 守
    原稿種別: 特集
    2008 年 34 巻 3 号 p. 466-469
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    斜面の自然回復緑化では,可能な限り生物多様性の高い植物群落の造成が望ましく,そのためには多様な植物を導入することが望まれる。そして,その導入手段の多様化も必要となる。現在,法面緑化工では,播種工が主として行われているが,植栽工も重要な手段である。しかし,切土法面では植栽工の実施例が少なく,また,検査基準など成果判定方法が無いのが現状である。本報告では,既往報告より切土法面での植栽木の生育について検証した。限られた樹種,限られた事例ではあるが,生存率の高い樹種,低い樹種が見られた。これらの結果から,著者は成績判定の目安として,施工後1 年目の植栽木の生存率は70% 程度以上が適当と考える。しかし,自然回復緑化では,単に,検査基準値を設定するのではなく,施工記録の保存,モニタリングなどが重要であることを提言する。
  • 森林表土利用工・自然侵入促進工の生育判定のあり方について
    中野 裕司
    原稿種別: 特集
    2008 年 34 巻 3 号 p. 470-477
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    生物多様性国家戦略の策定ならび外来生物法の施行などにより法面緑化に対しても生物多様性に配慮した自然回復緑化を行うことが要求され,埋土種子を用いる森林表土利用工,自然侵入を待ち受ける自然侵入促進工,あるいはこれに類するものと考えられる四省庁による緑化植物取扱方針において示された緑化植物の当面の望ましい取扱方向(案)の草高の低い品種・種を少量播種し粗な植生を造成するという方向,および点・島(縞)状緑化に対する生育判定の有り様を探るため,緑化工学会誌に掲載された関連論文・技術報告を整理・分析を試みた。
    結果,資料が少なくばらつきが多いものの,土工指針に代表される現行の植生の量的な側面に留意する成績判定基準を適用することが困難であることが判明した。このため,自然回復緑化を行うに際の生育判定に関しては,植物生育基盤の安定性,侵入定着した木本類の被圧に着目し,植生の質的な側面より判断する方向について提案した。
  • 研究集会を終えて
    吉田 寛
    原稿種別: 特集
    2008 年 34 巻 3 号 p. 478-479
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
特集
論文
  • 細木 大輔, 中村 勝衛, 亀山 章
    原稿種別: 論文
    2008 年 34 巻 3 号 p. 508-515
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    栃木県の湿潤な切土法面において,播種工による堅果類の導入試験を行った。初期に草本群落を成立させた後に先駆性木本で樹林化し,長期的には堅果類が優占する群落を成立させることを緑化目標に設定し,4 種の堅果と,外来緑化草本,在来草本,先駆性木本の種子を配合して緑化施工した。工法は,植生マット工,植生基材注入工,および紙筒に堅果を入れて設置して植生基材を吹き付ける工法を採用し,植物群落について継続的に調査した。その結果,いずれの試験区でも施工当年に外来緑化草本が生育し,他種の被度が経年的に増加すると共にそれらは衰退して,8 年目には消滅している試験区が存在した。一部の試験区を除いて,先駆性木本の除伐を経た後の8 年目には堅果類が優占しており,緑化目標が達せられたと判断された。除伐が不十分であった植生マット工の試験区では,8 年目には先駆性木本が優占し,枯死する堅果類がみられたことから,先駆性木本による被圧が認められる場合は,先駆性木本を除伐する必要があると考えられた。また,播種工で堅果類を用いる場合は,混播する他種を少量配合することが有効であり,耐侵食性を備えた工法を採用することが必要であると考えられた。
  • ―採食排除後4 年目の調査から
    寺井 裕美, 柴田 昌三, 日野 輝明
    原稿種別: 論文
    2008 年 34 巻 3 号 p. 516-523
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    西日本最大級の自然林の一つである大台ケ原では,現在,高密度に生息するニホンジカの食害による森林衰退が報告されている。その自然再生の方向性を探るために,大台ケ原の主たる林相の一つであるブナ―ウラジロモミ―ミヤコザサ群落において,ニホンジカとネズミ類の有無を組み合わせた野外操作実験を3 年10 ヶ月間行い,両者がミヤコザサの地上部と地下部に与える影響を調査した。ニホンジカによる採食を受け続けたミヤコザサは地上部が矮小化し,現存量も小さかった反面,地下部現存量は大きく,地下茎は細長かった。結果として,ニホンジカによる採食を受けたミヤコザサは相対的に地下部への投資を増大し,地下部で広がることによりニホンジカによる採食に適応していることが示唆された。一方,ネズミ類によって地下部の採食を受けることにより,ミヤコザサの地下茎は節間が詰まっていた。シカ排除区では3 年10 ケ月間でミヤコザサ地上部の回復がみられたが,完全な回復までにはさらに期間を要することが示唆された。
  • 阿拉 坦花, 坂本 圭児, 三木 直子, 廣部 宗, 吉川 賢
    原稿種別: 論文
    2008 年 34 巻 3 号 p. 524-533
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    ケネザサを異なる光条件で地下茎から生育させ,稈数と葉数の季節変化,褐変度,および葉の形態を調べた。稈の発生と生残では,分げつ稈を含めれば明るい処理区のほうが,稈の発生期間が長く,積算発生数が多い傾向があった。稈の枯死数は,1% 区で特に多かった。明るい処理区ほど伸長終了時期の稈の生残数が多い傾向がみられた。稈の伸長成長では,明るい処理区ほど伸長速度が遅く,伸長終了後の稈の長さが短い傾向があった。したがって,明るい環境では稈の数を増やし水平方向に広がるように,暗い環境では稈のサイズを大きくして垂直方向に伸びるように成長し,それぞれ異なる侵入と優占の仕方で群落を発達させると考えられる。葉群動態では,明るい処理区ほど葉が早く褐変し,落葉が早かった。明るい処理区では,葉の寿命は短いが,稈の発生期間が長いために,葉の展葉期間が長いことによって葉群を維持し,暗い処理区では,葉の展葉期間は短いが,葉の寿命が長いことによって葉群を維持することが示唆された。葉の形態からは,明るい処理区ほど葉面積が小さく厚い陽葉的な葉をつけると考えられた。
技術報告
  • ―林縁部に成立したマント群落について―
    小畑 秀弘, 星澤 保弘
    原稿種別: 技術報告
    2008 年 34 巻 3 号 p. 534-537
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    シードバンクを含む森林表土を植生基材の中に体積比10%配合し,林縁部ののり面に吹付け施工された東北地方2現場の植生調査の結果,施工2年後には草本種と木本種が競合する多様な植生が出現した。それ以降は木本種が優先するようになり,4~5年後には林縁部に先駆樹種によるマント群落が形成された。その林床には既存林の主構成種が侵入して定着しているのが確認された。このマント群落は,既存林の林縁部を保護するとともに景観保全がなされている状態になった。今後,林床に定着している既存林主構成種の生長に伴って,地域固有の自然植生が復元されることが示唆された。
  • ―簡易吹付のり枠内に成立した木本種について―
    小畑 秀弘
    原稿種別: 技術報告
    2008 年 34 巻 3 号 p. 538-541
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    簡易吹付のり枠の枠内を利用して実施した森林表土配合割合別吹付試験の6 年6 カ月後の調査結果は,0% 区より森林表土配合区の方が種類数が多くなった。これは,ネムノキ,アカメガシワのように森林表土配合区にしか生育していない種類があるためと考えられた。侵入種であるアカマツの生育本数は,森林表土の配合割合が少ないほど多く,アカマツの光要求度大きい性質が影響しているのではないかと考えられた。植生基材の中に森林表土を10~20% 混入して枠内に吹付けることによって,マント群落を形成しながら既存林構成種を誘導し,早期に景観保全および自然回復緑化が実現することが示唆された。
  • 吉田 寛
    原稿種別: 技術報告
    2008 年 34 巻 3 号 p. 542-545
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    日本最北端の島・礼文島において,地域性系統の植物群落の形成を緑化目標として2000 年11 月に施工した自然侵入促進工のひとつである種子なし厚層基材吹付工(無播種施工)の追跡調査を行なった。その結果,施工10 カ月後,および1 年10 カ月後の施工後初期段階から在来種を主体とする合計24 種の自然侵入が認められた。施工6 年9 カ月後には30 種の植物が確認され,目視による植被率も100% に達し,順調な自然回復と景観保全が図られていることが確認された。また,種子なし厚層基材吹付工の補助工法としてオノエヤナギ(Salix sachalinensis Fr. Schm.)の挿し木工を併用したところ,越冬後の施工10 カ月後の生存率は56.7±15.3%で,被度3,樹高90.9±10.9 cm に成長していた。その後は自然侵入した草本植物の成長に伴って徐々に衰退する傾向が見受けられたが,挿し木工の併用は風衝地における植生の早期回復にプラスに作用することが示唆された。
feedback
Top