日本緑化工学会誌
Online ISSN : 1884-3670
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37 巻, 4 号
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特集
論文
  • 吉田 寛, 齋藤 茂
    原稿種別: 論文
    2011 年 37 巻 4 号 p. 470-477
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/31
    ジャーナル フリー
    厚層基材吹付工の緑化基礎工として網目50 mm の亜鉛メッキ菱形金網 (菱形金網という) と生分解性樹脂被覆金網 (BRC 金網という) を適用し,自生種木本群落を形成した盛土法面の掘取調査を施工7 年2 ヵ月後に行なった。その結果,1)導入木本種の個体の生長には統計的な有意差は認められないが,菱形金網を適用した場合の平均樹高はBRC 金網50 mm 網目の93.5%,75 mm 網目の89.4% とやや低かった。2)菱形金網を適用した場合の木本植物の現存量は,基底面積がBRC 金網50 mm 網目の71.4%,75 mm 網目の65.0%,D2H (D:根元直径,H:樹高) はそれぞれ64.6%,55.6% と明らかに低かった。3)金網食込率は,菱形金網が68.8%,BRC 金網50 mm 網目が15.1%,75 mm 網目が15.9% だった。4)根元直径50 mm 以上に生長した個体の金網食込率は,菱形金網が100%,BRC 金網50 mm 網目が35.0%,75 mm 網目が36.8% で,金網の網目寸法に左右されなかった。5)菱形金網はまったく腐食しなかったが,BRC 金網はほとんどの箇所で腐食して破断あるいは消滅した。6)初期強度921.2 N のBRC 金網の破断荷重は,腐食が速い場合には4 年程度で強度はなくなり,腐食が遅い場合には7 年後に18% 程度の強度が残る場合があるが,大半は原形を留めない状態まで腐食が進行した。これに対し,菱形金網は初期強度1,195.6 N を維持していた。以上の結果から,木本植物根元への金網の食込みは,地上部の生長を抑制するマイナス要因として働いていると考えられ,BRC 金網は,導入木本種の生長に伴う金網の食込みを防止,抑制する効果を発揮することが実証された。
技術報告
  • 久保 満佐子, 林 敦子
    原稿種別: 技術報告
    2011 年 37 巻 4 号 p. 478-481
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/31
    ジャーナル フリー
    外来草本を伴う播種工により成立する植生を明らかにするため,山梨県の林道のり面194 箇所を対象に,のり面属性(施工後年数,のり長,方位,傾斜,微地形,吹付工法)と植生の回復状況(裸地,草本,イタチハギ,木本の植被率)を調べた。その結果,施工後年数の経過に伴い木本が優占するのり面が多くなったが,11 年以上経過しても裸地化したのり面や外来草本が優占するのり面が確認された。裸地のり面は客土・種子吹付工や南向き,尾根状の微地形に多く,草本のり面は厚層基材吹付工に多かった。木本のり面は,厚層基材吹付工でヤマハンノキが優占し,客土・種子吹付工や南向きのり面でアカマツが優占した。植生基盤や方位,微地形は植生の成立の可否や種組成に影響を与える要因となることが確認された。
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