日本緑化工学会誌
Online ISSN : 1884-3670
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38 巻 , 1 号
1号
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論文
  • 那須 守, 岩崎 寛, 高岡 由紀子, 金 侑映, 石田 都
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    都市における緑地とその利用行動が居住者の健康関連 QOL に及ぼす影響について把握するために,東京都区内の住宅地においてアンケート調査を実施した。調査データから,緑地環境を含む「地区環境」「利用行動」「健康関連 QOL」を構成概念とするパスモデルを構造方程式モデリング (SEM) によって構築した。その結果,地区環境と利用行動は健康関連 QOL の 20%を説明し,両者の影響は直接的には同程度であること,しかし地区環境は利用行動を通して間接的にも影響することが示唆された。よって健康関連 QOLを高めるためには物理的な緑地環境だけではなく,利用行動も合わせて検討することが重要であると考えられた。
  • 白井 珠美, 岩崎 寛
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    海岸林は古くから防風や防潮の機能を有し,人々の生活を保全する役割を担ってきた。東日本大震災の津波による被害に対しても,海岸林が減災効果をもたらしたことが報告されている。しかし,海岸林の保健休養機能に関する研究は,景観印象について評価した研究例があるものの,生理的・心理的効果に言及した研究は少ない。そこで,本研究では,生理指標及び心理指標を用いて,海岸林の癒し効果について検証するとともに,近接する海岸についても同様に調査し比較した。その結果,男性は海岸林と海岸の両方で生理的な鎮静効果がみられたが,女性は海岸林のみで効果があることが明らかになった。また,海岸林と海岸の両方で男女ともに気分の改善効果が確認された。さらに,海岸林は静かで鎮静的な空間であると評価され,海岸は明るく開放的な空間であると評価された。
  • 今西 純一, 金 鉉埈, 飯田 義彦, 奥川 裕子, 森本 幸裕, 山中 勝次, 小島 玉雄
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    奈良県吉野山のヤマザクラの生育状態に,地形によって規定される日照条件が影響しているかを検討した。1993~1994年の奈良県の調査結果からヤマザクラ286個体のデータを抽出し,生育の良・不良を目的変数に,樹齢クラス,生育期の積算日射量,地形湿潤指数を説明変数にして,一般化加法モデルにより解析した。解析の結果,樹齢クラスの老齢樹と日射量が統計的に有意であり,日射量の多い地点ではヤマザクラが生育不良となる傾向が示された。土壌水分に関する測定の結果,吉野山の土壌は保水性が全体にやや低いため,日射量の増加によって,植物に悪影響を与えるレベルまで土壌が乾燥しやすいことが推察された。吉野山では土壌の乾燥が緩和される北向き斜面が,ヤマザクラの植栽地として選ばれていた可能性が示唆された。
  • 小向 真人, 福永 健司, 橘 隆一
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    緑化施工後17年経過したオオバヤシャブシ (Alnus sieboldiana Matsum.) の優占する切土法面において,散布種子数および分布と植物の定着との関係を明らかにすることを目的に散布種子と定着植物との関係を調査した。その結果,周辺林の林冠構成種と法面の林冠構成種は異なっていたが,法面内に周辺林の常緑樹が侵入しており,遷移の進行が認められた。特に鳥散布型木本が定着植物の60%以上を占めていた。定着植物の常緑性・落葉性の違いで整理すると,周辺林および法面上部においては常緑樹が,法面下部においては落葉樹が,それぞれ相対優占度の60%以上を占めていた。定着個体数および散布種子数は共に種子供給源から離れるほど減少傾向を示した。
  • 竹内 真一, 森田 康平, 岸本 宗也, 篠崎 圭太郎
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    タイサンボク (Magnolia grandiflora L.) の樹高6.4 mの個体を対象に,ヒートパルス法により幹部および大径根の樹液流動を測定し,樹木の移植作業に伴う樹体内の水移動特性の変化を把握した。幹部には従来法を,地表に露出している根部には,HRM (Heat Ratio Method) を適用した。樹液流は根回し後に低下し,4カ月後に最高速度を示し,移植後に再び低下した。従来法では検出できない僅少な流れを HRM は検出可能で,強剪定作業・掘り取り・環状剥皮などの根回し工および移植工前後の樹液流動を把握することにより,その作業の成否が判断され,取り扱いも容易なことから有用なツールであると判断された。
  • 林 寿則, 篠原 雅彦, 松島 早苗, 藤原 一絵
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    火災の延焼を防止することは樹木の重要な機能の一つである。本研究では,火炎近傍の樹木による背後での受熱量の低減機能について比較実験を行った。実験では,ほぼ直立する火炎を挟んで左右に2つのタイプの樹木を配置し,合計4つのタイプの植栽形態について,樹木の前後での受熱量を測定した。その結果,樹木が接炎しない場合も樹木が接炎により有炎発火した場合も,概ね樹冠の遮蔽率の増加とともに受熱量低減効果が向上した。災害時の避難路もしくは避難場所となる空間では,樹種や植栽配置を検討するとともに,空地を確保し樹木の発火燃焼を回避する計画が重要であると考えられた。
  • 加藤 真司, 桑沢 保夫, 石井 儀光, 樋野 公宏, 橋本 剛, 池田 今日子
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    集合住宅における緑のカーテンによる夏季の室内の温熱環境改善効果を明らかにするため,独立行政法人都市再生機構が所有する集合住宅を使用して,様々な条件設定をした複数の住戸の室内温熱環境改善効果を比較測定したものである。比較条件は,緑のカーテンの設置量の違いと,代替手法である簾との比較である。室内温熱環境の実測の結果,緑のカーテンによる室温の低下が確認できたとともに,簾よりもより大きな室温低下傾向が確認できた。また,この結果をもとに緑のカーテンの節電効果を算定した。さらに,戸窓の開放時においては,通風性と日射遮蔽性を併せ持つ緑のカーテンの特徴から,体感温度においても簾と比べて緑のカーテンの有利性が確認できた。
  • 田代 友利華, 永瀬 彩子, 高橋 輝昌
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    屋上植栽基盤における剪定枝由来堆肥の利用可能性を検討するため,剪定枝由来堆肥のみの土壌基盤 (以下,剪定枝),園芸培養土のみの土壌基盤 (以下,培養土),剪定枝と培養土を重量比 1:1 で混合した土壌基盤 (以下,混合土) の 3 種類の土壌基盤の調査を行った。千葉大学園芸学部松戸キャンパス内 5 階屋上で,それぞれの土壌基盤を充填したプランターにおいて,葉菜類 (コマツナ,チンゲンサイ,リーフレタス) と草本類 (ストック,ビオラ,ハボタン) の生育調査を行った。調査結果から,剪定枝でも培養土と同程度の生長が認められたため,剪定枝由来堆肥は,軽量で環境に配慮した屋上植栽基盤として利用することが可能であることが示された。
  • 黒沼 尊紀, 橋本 早織, 千村 隆太, 横川 晴昭, 坂本 一憲, 渡辺 均
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    コウライシバを植栽した屋上緑化薄層基盤軽量土壌の経年変化を調査した。芝の生育,土壌物理性に経年的な変化は見られなかった。土壌有機物は施工後から増加する傾向にあり,栄養塩類含有量は,ゴルフ場グリーンの土壌診断基準値とほぼ同等であった。また,未使用の軽量土壌中の栄養塩類量は施工後の含有量より有意に高く,施工後は経年的に減少した。追肥の有無による栄養塩類量の差は確認されなかった。これらのことから,屋上独自の環境を考慮し,その管理目標に適した施肥管理を行う必要があることが明らかになった。
  • 国正 あゆ, 大藪 崇司, 澤田 佳宏, 山本 聡, 藤原 道郎
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 56-60
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    本研究は,より簡易で客観的な樹勢診断手法の確立を目指し,小型クロロフィル蛍光測定器 (以下,FluorPen) と既存の測定方法との比較により樹勢診断の可能性を検討した。カナメモチ (Photinia glabra Thunb.) の苗 50 ポットを潅水区 20 ポットと無潅水区 30 ポットに分け,水ストレスによる樹勢の衰退を FluorPen,MINI-PAM,葉緑素計,目視診断で比較した。その結果,FluorPen の夜間測定では,4 日目の時点で潅水区と無潅水区の間で有意な差が認められた。また,いずれの測定においても実験開始 7 日目以降で,潅水区と無潅水区で有意な差が認められた。FluorPen を用いた日中の測定では,光合成速度を,夜間では光合成能力を,他の機器での測定より短時間で比較することが可能であることが示唆された。
  • 相澤 章仁, 大山 ゆりあ, 小林 達明
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    千葉県松戸市において市民参加で行われた鳥類調査のデータを用い,階層的スケール設定に基づく種多様性評価を行った。加法的分解によってβ多様性を計算しランダム群集との比較を行う解析および,一般化線形モデルによるスケールごとの種数に影響する要因の抽出を行うと,陸鳥の種多様性は地区スケールでの樹林地面積から主な影響を受けることがわかり,樹林地を地区単位で保全していくことが重要であることがわかった。水鳥では地形的な要因と共に,局所スケールでの水域に関する要因とその周辺の草地が重要であることが示唆され,低地部において局所的な水辺を保全・創出していくことが有効であることが導かれた。
  • 浅輪 貴史, 梅干野 晁, 清水 克哉, 久保田 光政
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 67-72
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    都市緑化を対象とした単木樹木の熱・水収支特性を明らかにする研究の第一段階として,本研究では,ケヤキの蒸散量を大型重量計を用いて計測する方法を提示し,その精度を確認する。まず,重量計測に影響を及ぼす要因について検討したうえで,大型重量計を用いて計測精度に配慮した計測装置を作成した。夏期において重量計測値の時間変化特性を調べ,重量計測値に顕著な変動をもたらす風速の影響について確認し,重量計測値の標準偏差を指標として安定した際の重量データを抽出することで,風の影響を除去する方法を提示した。本手法を用いることで,目標とする蒸散量の同定精度±100g/h が確保されることを確認した。
  • 上野 由樹, 鈴木 哲也
    2012 年 38 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    造成された緑地では,土壌水分の欠乏など周辺環境の影響を強く受ける。適切な緑地環境の維持管理には,植生に対するストレスの非破壊検出法の開発が急務な技術的課題となっている。本研究では,水ストレス下のセンリョウから発生する弾性波を AE (Acoustic Emission) 法を用いて検出した結果を報告する。水ストレス条件では,植物体から導管に発生する気液二相流起現の弾性波が検出される。検討の結果,弾性波の発生特性は,時系列 AE データを用いた土壌 pF と AE 発生頻度の関係から評価可能であることが認められた。このことから,AE 法により検出された弾性波は,水ストレス条件を定量評価できるものと考えられる。
  • 根本 光, 加藤 顕, 小林 達明
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 79-84
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    航空機レーザーデータから得られた変数を用いて林分単位及び単木単位における材積回帰モデルを構築した。林分単位における材積回帰モデルは,現地調査で把握した調査区単位における材積を目的変数,航空機レーザーデータから算出した各種変数を説明変数とし,ステップワイズ法による変数選択を行ない,材積回帰に有効なモデルを構築した。単木単位における材積回帰モデルは,航空機レーザーデータから推定した樹高と樹冠直径を用いた拡張相対成長式を構築した。両者の手法を比較した結果,単層林であり,なおかつ立木密度が疎である林分においては,単木単位における材積回帰モデルの精度が良いことが分かった。
  • 今西 亜友美, 小田 龍聖, 今西 純一, 夏原 由博, 森本 幸裕
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 85-90
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    琵琶湖の浚渫土中の散布体バンクの種組成と,空間的分布に関係する環境変数を明らかにするため,琵琶湖北湖8 地点において浚渫土を採取し,撒きだし実験を行った。その結果,車軸藻類2 分類群,蘚苔類1 種,シダ植物1 種・1 分類群,維管束植物48 種・2 分類群からなる50 種・5 分類群が確認された。現存植生調査では記録されたオオカナダモやコカナダモなどの外来の水生植物は発芽しなかった。一般化線形モデルによる分析の結果,水生植物の種数は砂の割合によって説明され,沈水植物,水生植物および在来の水生・湿生植物の個体数は砂の割合と前回の浚渫からの経過年数によって説明された。これらの結果から,浚渫土の粒径組成と浚渫後の経過年数は,散布体バンク内の種数と個体数が多い地点を予測する際に重要な指標となりうることが示唆された。
  • 村上 健太郎, 森本 幸裕, 松井 理恵, 大藪 崇司, 大石 善隆
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    大阪府吹田市の万博記念公園自然文化園林床において,シダ植物のハビタットとして小規模のトレンチを造成し,植生状況を 3 年間,モニタリングした。トレンチ造成前には,シダ植物は,ほとんど生育していなかったが,すべてのトレンチで,シダ植物の移入が確認され,トレンチ造成によってシダ植物の移入を促進させることができると考えられた。陰湿な環境にある常緑広葉樹林においては,トレンチ造成 3 年後には,優占種がシダ植物に変化したが,落葉広葉樹林においては,比較的高い土壌水分量にあるにも関わらず,ほとんど種組成に変化がなかった。シダ植物の移入を促進するための条件としては,高い土壌含水率と常緑広葉樹林であることが関係する可能性がある。また,北向きの斜面もシダ植物の移入に有利であることも示唆された。
  • 大山 ゆりあ, 相澤 章仁, 小林 達明
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 97-102
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    都市域の小・中規模緑地を含む「地区スケール」における鳥類群集の種組成の構造的特徴を明らかにすることを目的とし,千葉県松戸市を対象として鳥類調査を行った。各地区における β 多様性の高低および群集の入れ子構造の有無から調査地区は β 多様性が低く入れ子構造がある 1 地区,β 多様性が低く入れ子構造がない 3 地区,β 多様性が高く入れ子構造がある 2 地区,β 多様性が高く入れ子構造がない 2 地区に分類された。nMDS 法を用いた各調査地点の群集構造と環境要因の分析から,地区の鳥類種組成構造が地形や土地利用の多様性などの景観要素と関連していることが示唆された。
  • 森川 政人, 小林 達明, 相澤 章仁
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 103-108
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    学校プール内に生息している水生昆虫相の種,個体数について,東京都及び千葉県内の 4 地域計 32 校において,2007 年 5 月~2008 年 5 月までの使用期間外に各校月 1 回程度調査を実施した。調査の結果を TWINSPAN で解析したところ,東京都と千葉県が異なるグループに分類された。ヒメゲンゴロウ,コシマゲンゴロウ,ミズカマキリ,ショウジョウトンボは東京都の学校プールで確認することができなかった。種数に差が確認された要因として,種の供給源となる学校プール周辺の水田面積や周囲の樹木の有無などが考えられた。主にトンボ目の個体数の差に影響を与える要因としては,学校プール周囲の植生から供給される落葉である可能性が示唆された。
  • 山瀬 敬太郎
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 109-114
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    高齢化した里山構成種の伐採後の萌芽能力を比較するため,暖温帯域の広葉樹二次林で普通にみられるアベマキ,コナラ,エノキ,アラカシ,シラカシ,スダジイ,ヤブツバキの 7 樹種を対象とし,伐採より 1 成長期間後の萌芽の有無と,3 成長期間後の萌芽枝の残存を調査した。樹種ごとの萌芽の有無と萌芽枝の残存を応答変数とし,斜面方位,傾斜,伐採高,樹齢を説明変数,調査地を変量効果として,一般化線形混合モデルを構築して解析した。コナラについては,乾燥しやすい斜面方位に位置し,伐採高が低く,樹齢が高いほど,萌芽再生しない伐り株が多かった。また,萌芽再生しても,その後に枯損してしまう萌芽枝は,伐採高が高いほど多くみられた。樹齢が高いほど萌芽再生しない傾向は,他の 6 樹種と比較してコナラで顕著であり,特にコナラは高齢化の影響を受けやすいことが示唆された。
  • 佐伯 いく代, 飯田 晋也, 小池 文人, 小林 慶子, 平塚 和之
    原稿種別: 論文
    2012 年 38 巻 1 号 p. 115-120
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    ワレモコウ (Sanguisorba officinalis) は,里山の半自然草地を主たる生育地とするバラ科の多年生草本である。このような里山の草原性植物は,弥生時代以降,刈取や火入れといった人為的攪乱に乗じて生育範囲を拡大させてきたといわれている。本研究では,こうした歴史が本種の遺伝的変異のパターンに影響を与えたのではないかとの仮説をたて,検証を試みた。全国から 179個体のワレモコウの葉を採集し,葉緑体 DNA の地理的変異を解析した。その結果,17 種類のハプロタイプが検出されたが,ハプロタイプの分布には強い地理的なまとまりがみられなかった。SAMOVA によって遺伝的境界の探索を行うと,グループ数を 6 としたときに Fct 値 (0.55) がプラトーに達した。このときに同一のグループに分類された集団の中には飛び地になっているものがみられ,複数のハプロタイプが広域かつ離散的に分布する種であることが明らかにされた。この特徴は,ハプロタイプの分布に明瞭な地理的まとまりをもつことの多い日本産木本植物などとは異なるものであり,里山における人為的な利用がワレモコウの遺伝構造に影響を与えた可能性が示唆された。
技術報告
  • 石田 都, 岩崎 寛, 山村 真司, 吉田 雄史, 小川 貴裕
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 123-126
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    都市再開発地域内の勤務者の緑地に対する意識や緑地の利用状況,また人の心理・生理に与える効果を明らかにするためアンケート調査および心理・生理的効果検証実験を行った。アンケート調査から,都市再開発地域内の勤務者は,都市に緑地を必要とし,その緑地に求める効果として心身のストレス緩和効果に対する期待が高いことがわかった。また同対象地内の緑地を4タイプに分け,休憩した際の心理的および生理的効果について比較実験を行った結果,多様な植物を配置した緑地タイプにおいてストレス緩和効果が高いことがわかった。
  • 大塚 芳嵩, 岩崎 寛
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 127-129
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    都市緑地における利用者の休憩場所に対する利用心理及び満足度・印象評価を調査することを目的とした。研究方法は対象者が緑地の利用者という想定のもと,公園来園から休憩をとるまでの一連のプロセスをアンケートにより調査した。調査項目は,休憩場所に求める要素,休憩場所を決定する際に重視した要素,休憩後の満足度・印象評価とした。調査の結果,休憩場所に求める要素は雰囲気の良さと美観が重視され,休憩場所を選ぶ際には混雑を避けることが重視されていた。また、利用者に好まれる休憩場所の特徴として,心理的な好感度,景観,雰囲気が優れていることがわかった。
  • 加藤 真司, 鈴木 弘孝, 鈴木 雅和
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 130-133
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    屋上緑化の評価を CVM で行う場合に,面積の異なる複数の事例の評価を同時に行えば,面積に応じて評価値が増加するが,これらの調査対象事例はそれぞれ意匠デザインが異なるため,単に面積のみならず,デザインの違いによる要素が評価値に影響を及ぼしている可能性がある。このため,デザインの異なる複数の事例を対象とした CVM と,デザインを統一した事例の CVM の結果を比較することにより,デザイン要素の影響度を把握したものである。デザインを統一する事例は,芝生のみで整備した屋上緑化を設定した。この結果,CVM 調査においては,面積の影響度に比べてデザイン要素は小さなものであることが分かった。
  • 大藪 崇司, 堀川 真弘, 国正 あゆ, 津山 幾太郎
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 134-136
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    4 種の造園低木における一酸化窒素を吸収・沈着する機能の定量的な評価を行った。一酸化窒素を 2.0 ppm 封入したチャンバーの濃度減衰時間を測定した結果,葉面積や葉の乾燥重量との関係が認められ,4 種の中ではコクチナシ,キルシェレッド,チェリーセージ,ヒラドツツジの順に NO 吸収速度が速いことが示唆された。
  • 外崎 公知, 鳥山 貴司
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 137-140
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    本稿は,京都議定書の枠組みに位置づけられている植生回復に関する報告対象のうち,土壌に焦点を当て二酸化炭素固定量の把握に向けた土壌調査を行なった。まず,調査の背景を述べた上で,人的撹乱の少ない高速道路のり面を対象に土壌有機炭素固定量を把握するための研究の枠組みを示し,高速道路のり面の土壌が二酸化炭素の吸収源であることを確認するとともに,整備後概ね 20 年間の炭素含有量は,0-10cm と 10-30cm の上下差分量の方が 0-30 cm の平均値よりも経過年数と高い相関を示した。
  • 坂本 謙太, 増田 拓朗, 大塚 恭平
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 141-144
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    摘要:ヒートアイランド現象緩和策として屋上緑化が注目されている。屋上緑化にも様々なタイプがあるが,本研究では,施工・維持管理が容易なプランター型屋上緑化システムを用いて実験を行った。まず,土壌厚さを5 cm,10 cm,15 cmの3段階設定した平面タイプのプランターを香川大学工学部図書館屋上に設置し,土壌厚さが植物の生育に与える影響を調べた。また,香川銀行中新町ビル屋上に平面タイプ,香川銀行本店ビル3階テラスに壁面タイプのプランターを設置し(土壌厚はいずれも15 cm),屋上緑化および壁面緑化が気温に及ぼす影響を調べた。その結果,土壌は厚い方が植物の生育は良好であり,また,屋上緑化および壁面緑化による気温低減は最大約2 ℃あることが確認された。
  • 内山 知二, 山崎 敬亮, 長崎 裕司, 佐野 修司, 西本 登志, 遠藤 常嘉, 工藤 渚, 松山 眞三, 隅谷 智宏
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 145-148
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    中空構造栽培槽は,一般的な緑化で用いられるプランター形状の栽培槽よりも支持方法を簡易にできるため,様々な空間を緑化する基盤材として優れていると考えられる。我々は,はしご形に組み合わせた栽培槽を空中で支持することで重量バランスをとり,栽植密度を高めながら移動性を確保しようとした。その結果,管理作業性や日照条件を考慮しながら植栽密度を高められる構造のモデルを考案した。
  • 鈴木 哲也, 上野 由樹
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 149-151
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    緑地環境の適切な維持管理には環境条件に対する精密なモニタリング技術の開発が不可欠である。様々な環境条件の中で最も重要な因子として水ストレスを上げることができる。緑化木の導管内では,水ストレス条件下において気液二相流が発生し,気泡運動に起因する弾性波(AE)を放出する。本研究では,弾性波を受動的に検出するAE法を用いて,植物体起源の弾性波の検出とプロビット解析による検出波の特性評価を試みた。検討の結果,検出波は突発型AEと連続型 AE に分類でき検出波特性の統計処理手法としてプロビット解析の有効性が明らかになった。
  • 小木曽 裕, 木榑 稜, 荻野 淳司
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 152-155
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    藤沢市にある六会幼稚園のサクラ類は,幼稚園の開園時に苗木を植栽している。現存するサクラ類はソメイヨシノ2本とカンザン 1 本であり,樹齢は約 60 年程度で長年多くの園児や父母に親しまれている。しかし,園長から近年サクラ類の花付が少なく,その回復の要望を受け,樹木・花付・基盤等の診断調査を行った。樹木生育の障害を取り除く為に,土壌改善,枯れ枝の除去,腐朽部の処置等の環境改善を行い,継続調査を行っている。
  • 大澤 学, 田中 淳, 田中 賢治, 田畑 三郎, 竹村 文
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 156-159
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    奥地荒廃地における緑化対策として実施されている航空緑化工の国有林内における施工実績を調査した。国有林では1965年から 2009 年までの 45 年間に累計約 600 件,延べ約 1 万 ha の施工を実施してきた。北海道,関東,九州の各森林管理局管内では,1 回あたりの施工面積が大きく,東北森林管理局管内では他の森林管理局と比較して施工回数が多いが,1 回あたりの施工面積が小さかった。使用種子は,外来草本を使用しているが,外来木本の使用は,近年はほとんどなかった。2000 年以降は施工面積が減少傾向にあるが,大規模災害後等には数量が増えていることから,今後ともアクセスの困難な奥地荒廃地への重要な復旧対策技術の一つであることがわかった。
  • 池田 昌義, 奥野 倫太郎, 沓澤 武, 山田 守
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 160-163
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    階段金網植生工とは,階段状の金網で出来た階段ユニットを用い,安定した生育基盤を法面に構築する工法(商品名 階段植生工)である。階段ユニットは,落ち葉や雨を受け止めて養分の循環と土壌の永続性を保ち,植物に対して理想的な生育環境を作り出す効果がある。本報告では,施工後 5~14 年を経過した階段金網植生工 9 事例を対象として,植物生育状況の確認,課題や問題点の把握を目的に植生モニタリングを実施した。その結果,在来種による緑化が望ましいこと,客土材の長期的な維持のために無機系客土材の使用が望ましいことが分かった。また,法尻の草刈箇所や植物の生育が見込めない箇所の適用は避けることで,コスト縮減が図られる可能性があることが示唆された。
  • 小川 泰浩, 岡部 宏秋, 黒川 潮
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 164-167
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    2000年三宅島雄山噴火以来,卓越風の風下地域を中心に火山ガスによって植生回復が遅れている山腹が残されている。そこで,2011年春季に火山ガス高濃度地域の山腹に対して,火山ガスに比較的強い島内の植物を縦横サイズが 5~7 mの植え穴 (バンカー) に導入する緑化試験を東京都三宅支庁と共同で実施した。その結果,自然状態ではほとんど植生が見られない山腹に植栽した植物 (草本・木本) は,枯死することなく生存した。また,バンカー周辺の盛土に播種した部分では,ハチジョウススキ・ハチジョウイタドリの発芽が認められたが,被覆したヤシネットから露出した芽の高さ (約2 cm以上) に達すると火山ガスによる茎や葉の枯損が認められた。
  • 兵庫 利勇, 前田 俊一, 佐藤 厚子
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 168-171
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    北海道においては,伐採木等を植生基材として有効利用する法面緑化工の活用ニーズが高まってきている。しかし,施工後の法面の状況を追跡調査している事例は少ない。また,特に生態系に配慮しなければならない地域等では,無播種による法面緑化工が施工されている。しかし,北海道での施工実績が少なく,その適用性について知見を得る必要がある。本報告では植生基材に生チップを混入した法面緑化工の北海道における適用性について報告する。
  • 佐藤 厚子, 西本 聡
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 172-175
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    積雪寒冷地における植生工は,低温,凍上,凍結融解,積雪および融雪などの過酷な気象条件下にあるばかりでなく,限られた工事期間での施工となり,必ずしも植物にとって良好な条件でののり面緑化施工とはならない場合が多い。一方,建設工事により発生するすき取り物は,在来植物の種子や根を含んでいることから,自然共生型緑化が可能な材料である。国土交通省北海道開発局においては,すき取り物を利用した施工は,標準的なのり面緑化工法となっており,その耐久性や効率的な施工法が求められている。そこで,すき取り物を施工した箇所について,緑化達成までの時間,のり面の状況など施工後の追跡調査を行い,北海道に適したすき取り物による緑化工法の適用性を明らかにした。
  • 池田 桂, 松崎 隆一郎, 長 信也, 大内 公安
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 176-179
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    堤防を拡幅かさ上げする築堤工事において河川内で発生した伐採木の有効利用,野芝種子によるのり面保護,コスト縮減を目的とし資源循環型短繊維混入植生基材吹付工を行った。これまで行われている衣土+張芝工は施工性や管理面,衣土+野芝種子吹付工は耐侵食性や生育性,伐採木の処理が問題となっていた。そのため伐採木チップに短繊維を混入した吹付基盤を用いた基礎試験により耐侵食性が高いこと,野芝種子の生育が健全なことを確認した。本施工でも発芽前に 1 m 以上の積雪を経たものの耐侵食性が高いこと,野芝種子の発芽が良好なことを確認した。
  • 山田 守, 上野 勝也, 植松 信行
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 180-183
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    長崎県大村市および東彼杵町に建設中の広域農道の切土法面緑化は,種子や苗を導入しない自然侵入促進工2)が適用されている。また,自然侵入促進工の具体的な適用工法として,現地伐採木の生チップを利用した資源循環型緑化工法2)が実施されている。この資源循環型緑化工法を用いて自然侵入促進工を実施した21法面を対象に,2009年から2011年にかけて植生モニタリングを実施した。調査法面によって,植被率,出現種,優占種が異なるなど自然侵入促進工の施工後初期の生育データを得ることが出来た。これらの結果から初期生育の傾向および今後の課題について言及する。
  • 池本 省吾, 竹本 勘二郎, 木村 勝典
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 184-187
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    生分解性繊維で作られた不織布を加工して円錐形ロングポットを試作した。このポットで数種の直根性の緑化樹を育苗したところ,ルーピングの発生は全く確認できなかった。いずれの樹種も用土による成長差がみられたが,ポットの大きさによる成長差はみられなかった。当該ポットを植栽後,定期的にサンプリングしてポットの腐食程度を調査したところ,目視では目立った劣化は確認されなかったが,引張試験により強度の低下が確実に進んでいることが確認できた。これらのことから,今回試作したポットは,ルーピングしやすい直根性の緑化樹の育苗において今後の利用が期待できる。
  • 河野 修一, 江崎 次夫, 柳原 敦, 稲本 亮平, DAMDINSUREN Enkhjargal, 全 槿雨
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 188-191
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    エチゼンクラゲやミズクラゲ等を活用した土壌改良材を海岸林の造成に活用するために,山形県の庄内砂丘地に植栽された海岸植生であるクロマツを用いて生育実験を行った。その結果,1 年目と 2 年目の樹高および根元直径成長量は,施用区と無施用区との間に,1 %から 10 %レベルで有意な差が認められ,その有効性が現地実験で確認された。3 年目の樹高および根元直径成長量は,施用区と無施用区との間に,有意な差は認められなかった。しかし,4 年目の樹高および根元直径成長量は,施用区と無施用区との間に,5 %から 10 %レベルで有意な差が認められた。このことから,土壌改良材の施用効果は,継続しているものと判断された。
  • Kun Woo CHUN, Enkhjargal DAMDINSUREN, Yong Rae KIM, Tsugio EZAKI
    原稿種別: TECHNICAL REPORTS
    2012 年 38 巻 1 号 p. 192-195
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    The excessive increase of jellyfish swarms could threaten the fishers and the marine food chain. The aim of research was to evaluate the potential benefit of the jellyfish as a fertilizer for different trees. The greenhouse experiment was conducted at Kutan, Chuncheon, South Korea using two tree species. Jellyfish was applied to soil before planting at different application rates (1.6, 2.7, 5.5, and 11.1 g/kg) . Generally, the addition of jellyfish fertilizer increased soil moisture contents. It is concluded that low application rate of jellyfish fertilizer increased soil moisture and nutrient contents, consequently, enhancing the seedling growth.
  • 長沼 寛, 肥後 睦輝, 本多 由里子, 石田 和宏
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 196-199
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    近年,環境や景観性向上の観点から,グランドカバープランツを利用した雑草発生抑制対策が行われている。しかしながら,苗だけを地山に植栽する工法や,防草マットを敷設した後,マットに切れ込みや開口部を設けて植栽する工法は,苗の間やマットの隙間から雑草が発生するため,導入植物による全面被覆が行われるまでは,こまめな除草管理が必要となる。当社では,この問題を解決するため,雑草の発生を抑制しながらグランドカバープランツによる緑の景観を形成する除草軽減型の緑化工法「BOSOシステム」を開発した。雑草抑制効果を主体とする検証試験を行った結果,BOSOシステムは,従来工法に比べ,雑草抑制効果が高いことが確認された。
  • 入山 義久, 小林 淳彦
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 200-203
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    積雪寒冷地における水田畦畔管理の省力化を目的に,草丈の低いクリーピングベントグラスを用いた水田畦畔の緑化方法を検討した。長野県内の5 ヶ所の水田畦畔および畑地法面において,幾つかの播種方法を比較し,ベントグラスの被度の推移を調査した。泥団子の投げつけおよびジョーロによる散布は,資材の混合や播種作業に手間が掛かり,また張芝は養生のための土地の確保が問題となった。一方,作業性およびベントグラスの定着から見ると,種子を実播した後に,水に溶かした糊剤を動力噴霧器あるいは背負子式噴霧器を用いて散布する方法が最適であった。また,埋土種子からの雑草の発芽に備え,除草剤の散布と播種時期の選定が重要であった。
  • 福永 健司, 甲田 遥, 橘 隆一
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 204-207
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    小型の種子は光発芽性を持つものが多いといわれているが,木本類で明らかにされているものは少ない。そこで,ニシキウツギ,タニウツギ,ノリウツギ,ウツギの微粒種子について,白色光量条件を変えることで光発芽性を調べた。同時に,温度条件を恒温 3 段階以外に変温も設定し,その効果も調べた。その結果,いずれも光発芽性を有し,特にタニウツギとノリウツギは他 2 樹種に比べ,より強い光発芽性を持っていた。温度条件については,暗条件下で変温の発芽促進効果が現れた。また,タニウツギでは 25 ℃以上でも発芽可能であったのに対して,ニシキウツギでは高温で発芽抑制が起きるなど,同属でも発芽上限温度など発芽適温が異なることが示唆された。
  • 上村 惠也
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 208-211
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    ヤマユリは,近畿地方から東北地方にかけて里山を彩る代表的な花であり,かつてはごく一般的な花として多くの市民に親しまれていたが,近年は里山が利用されなくなり林内に光が入らなくなったことなどから,生育箇所が減少している。一方,高速道路においては,牧草等の一次植生で緑化されたのり面に次第に周辺の植生が侵入し,かつての里山の植生が回復しつつある。特に,毎年草刈りを行なっている切土のり尻部においては,ヤマユリの生育に適した半日陰の環境となっているため,夏に数多くの花を咲かせている。
  • 木村 研一, 山崎 旬, 遊川 知久, 倉本 宣
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 212-215
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    絶滅危惧種のキンラン (Cephalanthera falcata (Thunb.) Blume) は里山の雑木林などに良くみられる植物であるが,混合栄養性種であるため,開発等で自生地が改変される場合には,保全が困難な種であり,参考となる保全事例も非常に少ない。本事例ではボイド管という素材を用いて周辺土壌ごとの移植を実施した。移植 3 年後,4 年後の出芽率は 95 % 以上で推移している。一方,移植時の株サイズや切断根の本数が移植後の生育状況に影響を与える可能性が考えられた。
  • 倉本 宣, 岡田 久子, 芦澤 和也, 三谷 清
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 216-219
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    絶滅を防止するために多摩川永田地区に 2002 年に緊急避難的に造成した A 工区のカワラノギクの個体群は,2011 年現在存続し,下流の C, D 工区にも新しい個体群が広がっている。この人工的に造成した大きな個体群について,野生の個体群と特性を比較した。2007 年の出水によって新しく個体群が広がったC, D 工区の個体群は絶滅し,その後,復活していることから,メタ個体群の動態が回復したと考えられる。カワラノギクと共存することがある河原植物のカワラニガナとカワラハハコとカワラヨモギの生育が見られた。ポリネータのハナアブ類は訪花していた。種子食害昆虫のツツミノガ属の一種の幼虫は結実した頭花に認められた。以上のことから,復元した個体群は多摩川の生態系に対する影響としては野生個体群に類似していると考えられた。
  • 田崎 冬記, 木口 満
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 220-223
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    北海道中部に位置する人工分水路は親水空間としても重要な役割を担っているが,河床勾配が小さい,水止工を有する等,細粒分が堆積しやすい環境となっている。また,ホソバミズヒキモの繁茂が著しく,同種の枯死体の堆積も親水環境悪化の一要因と考えられている。そこで,本調査では,水止工周辺の親水環境の評価およびホソバミズヒキモの生育環境を把握し,同種の繁茂抑制に向けた水止工の改良を検討した。その結果,底質汚濁の進行,親水利用時(撹乱後)には水浴場に適さない水質となることが示された。一方,ホソバミズヒキモは流速 0.6 m/s 以上では生育しない可能性が示唆され,底泥のフラッシュ・ホソバミズヒキモの抑制等には水止工の一段撤去が効果的と考えられた。
  • 黒田 貴綱, 渡辺 原野, 菅沼 拓也, 勝野 武彦
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 224-227
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    在来野生植物のナワシロイチゴについて,異なる土壌基盤及び灌水条件による 1・2 年目の生育状態を調査し,屋上緑化植物としての可能性を検討した。建物屋上の実験区における生育実験の結果,多数の株が開花・結実に至ったことから屋上緑化植物としての導入が十分可能と考えられた。黒土が多く含まれる基盤において生育が良好であり,土壌温度が低く,土壌含水率の高いことが影響していると考えられた。
  • 石田 光, 我妻 尚広, 岡本 吉弘
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 228-231
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    本実験では復元の観点から遺伝的多様性に関する基礎的知見を得るため,爾志郡乙部町と厚岸郡浜中町霧多布湿原,霧多布岬に分布するゼンテイカの葉緑体ゲノム trn H - psb A 領域と trn L (UAA) intron 領域の塩基配列を決定し,遺伝変異の有無を調べた。その結果,葉緑体ゲノム trn H - psb A 領域の塩基配列,624 塩基 (AB716413) を決定したが,この領域から多型は検出できなかった。一方, trn L (UAA) intron 領域の塩基配列,594 塩基を決定した。この領域には 4 箇所で多型が検出でき,6 種のハプロタイプが確認された (AB727660 - AB727665) 。これらハプロタイプは地域間で出現する種類やその出現割合に差が生じた。
  • 七海 絵里香, 大泉 宏明, 大澤 啓志
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 232-235
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    畦畔植物であるカンゾウ類(ノカンゾウ,ヤブカンゾウ)を対象に,適正な保全・管理に向けた知見を得るため,農的管理を想定した草刈り管理耐性および切断した地下部からの栄養繁殖能を検討した。ノカンゾウ地下部の栄養繁殖試験では,再生は認められず,本種は表土撹乱に対し極めて脆弱であることが明らかとなった。一方で,草刈りによる地上部消失には耐性を有し,両種とも 5 月に成長が最も旺盛になることが示された。また,再成長は他の植物の被陰による光条件の差が強く影響していると考えられた。
  • 惣万 智帆, 岡 浩平, 吉崎 真司
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 38 巻 1 号 p. 236-239
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/04/16
    ジャーナル フリー
    湘南海岸平塚地区の養浜施工地への海浜植生の定着要因を明らかにするために,植生と環境要因の調査を行った。調査の結果,植生が定着した地点は地形が高い傾向にあり,これはコウボウムギが飛砂を捕捉したためと考えられた。実際に,養浜砂の上層には,自然砂が堆積していた。これらのことから,養浜施工地に定着したコウボウムギが微高地を形成しながら,群落を拡大していると考えられた。
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