日本緑化工学会誌
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42 巻, 4 号
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特集
論文
  • 久保 満佐子, 小林 美珠, 石井 利夫
    原稿種別: 論文
    2016 年 42 巻 4 号 p. 533-542
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    山地帯の半自然草原における植物の開花数を維持するための管理方法を検討することを目的として,異なる管理による植物の開花数と群落構造の違いを 2006年から 2013年まで調べた。管理方法は草刈り後に刈った草を放置する方法 (草刈り) ,刈った草を持ち出す方法 (持ち出し) ,土壌を掻き起す方法 (掻き起し) とし,それらに 1年毎と 2年毎,3年毎の管理頻度と無処理を加えた。開花数および開花種数はいずれの管理方法も無処理より多く,1年毎の持ち出しと掻き起しで 5・6月の開花数が多かった。植被率と群落高は 1年毎の掻き起しでは管理開始の翌年から低くなり,持ち出しでは管理継続 6年目に群落高が低下した。2年および 3年毎ではいずれの管理方法でも,7月以降の開花数は 1年毎と同程度であった。このため,遊歩道沿いは概ね継続年数 6年を上限に毎年持ち出しの管理を行い,季節を通して開花を確保すること,その他の区域では,本研究で実施した最も省力的な管理である 3年毎の草刈りを行い,7月以降の開花を確保することで,広域的な植生管理を実施できる。ただし,3年毎の管理では,植被率や群落高が無処理と同程度に高く,長期的に開花数を維持できない可能性もある。
  • 中嶋 佳貴, 沖 陽子
    原稿種別: 論文
    2016 年 42 巻 4 号 p. 543-549
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    特定外来生物ブラジルチドメグサ (Hydrocotyle ranunculoides L. f.) の水流の有無に対する生育反応及び地表における削取処理の効果を検討した。さらに茎の切断片の生育特性を把握した。削取処理を施さなければ茎長は 2か月で約 10 m 伸長した。茎は水流 ( 0.23±0.01 m/s) があると切断片が自然発生し,水流がないと乾物重が有意に重かった。表層土削取区 (表層 1cm) は地表面削取区 (地表面) より総乾物重が重く,茎削取区では植物体の再生は認められなかった。一方,実験開始時に 2 節及び 3 節の茎切断片は頂芽が切断されると再生が優れた。実験開始 63日後には,実験開始時に 2節であった茎切断片は, 4 節であった茎切断片の 8 割以上に達し,節数はほぼ同等まで発達した。以上より,茎が削取時に一部切断もしくは損傷されて残存すると,むしろ旺盛に増殖することが認められた。
短報
  • 町田 健太, 浅井 俊光, 水庭 千鶴子
    原稿種別: 短報
    2016 年 42 巻 4 号 p. 550-555
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    本研究では生の植物 (ヘデラ) と同様の形姿のイミテーショングリーンを屋外に長期間設置し,その葉面に吸着する大気汚染物質 (NOx,SOx) 量を測定し,双方の特性や適切な使用法等について考察を深めることを目的とした。その結果,全実験期間を通してヘデラ,イミテーショングリーンともに SO42-よりも NO3- の単位葉面積当たりの吸着量が大きいこと,寒候期よりも暖候期において吸着量が大となることが明らかとなった。さらに,NO3- の単位葉面積当たりの吸着量については,概ねポリエステル製イミテーショングリーン (PL) 区>ポリエチレン製イミテーショングリーン (PE) 区>ポリエステル-ポリ塩化ビニルコーティング製イミテーショングリーン (PL-PVC) 区>ヘデラ区の順となり,生体や耐候性を高めた製品ほどその吸着量が小さくなった。一方,SO42-の単位葉面積当たりの吸着量については,暖候期と寒候期の差は小さく,寒候期ではヘデラ区の値は PL 区に次いで大きくなることが明らかとなった。
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