日本緑化工学会誌
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44 巻 , 2 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
特集「学会設立30 周年記念特集」
特集「維持管理時代を迎えた道路緑地のグリーンインフラ」
論文
  • 河野 圭太, 久保 満佐子, 藤巻 玲路
    2018 年 44 巻 2 号 p. 330-339
    発行日: 2018/11/30
    公開日: 2019/05/14
    ジャーナル フリー

    島根県の弥山山地におけるシカの剥皮や採食の嗜好性が樹木の生育に及ぼす影響を明らかにするため,アカマツ林とイヌシデ林,コナラ林,スダジイ林,マツ枯れが発生した森林(以下,マツ枯れ林)の各調査林分で樹種構成と各樹木個体のシカによる剥皮および採食の有無を調べた。樹種構成は成木(胸高直径≧4cm),幼樹(胸高直径<4cm,樹高≧2m),稚樹(樹高<2m)の各生育段階に分け,各樹種の個体数とサイズを調べた。その結果,いずれの生育段階でもシロダモが多いのが特徴的であり,その他に幼樹と成木はコナラやアカマツ,イヌシデ,ソヨゴ,ヒサカキなどが多く,これらの剥皮割合や採食割合は低かった。各生育段階で二元指標種分析により調査林分を分類すると,成木は林冠の優占種により種構成が分類されたが,稚樹と幼樹は傾向がなかった。いずれの調査林分でも稚樹や幼樹にシロダモが多かったためと考えられるが,その中でもシロダモ稚樹はアカマツ林とマツ枯れ林,幼樹はマツ枯れ林で特に多かった。本山地では,長期的なシカによる食害とマツ枯れの二つの状況が,シロダモの継続的な更新を可能にしていると考えられた。

  • 河村 耕史, 中平 啓太, 上田 英雄
    2018 年 44 巻 2 号 p. 340-351
    発行日: 2018/11/30
    公開日: 2019/05/14
    ジャーナル フリー

    森林の埋土種子は緑化素材として注目されており,その密度や空間分布を予測することは重要である。本研究は,埋土種子密度の空間的異質性を,階層的サンプリングにより定量した。調査地は100m斜面に沿って4種のパッチタイプ(針葉樹,ギャップ,落葉広葉樹,常緑広葉樹)が見られる二次林である。パッチタイプごとに,3つの5×5mプロットを設け,その中に20×20cmの方形区を3つ設置した。0―5cm深さの土を採取してプランターに移植し,発芽を5ヶ月間記録した。その結果,計116本25種の発芽が確認され,優占種はヒサカキとヒノキであった。埋土種子密度の空間的変異は,パッチ間より,パッチタイプ内のプロット間で大きく,後者が全データ分散の半分近くを占めた。埋土種子密度は,明るい環境(Indirect Site Factor=0.12―0.16)で減少し,一方,堅果を作る樹種が多いプロットでは増加する傾向があった。プロット内の方形区間での埋土種子密度の変異も大きく,確証を得るためにはさらなる調査が必要であるが,階層的サンプリング法で埋土種子密度の空間的な変動スケールを解析し,植生・環境変数との相関を検討する方法は簡便であり,緑化用の森林表土の効果的な採取法を策定する上で有効だと考えられた。

  • 増井 太樹, 横川 昌史, 高橋 佳孝, 津田 智
    2018 年 44 巻 2 号 p. 352-359
    発行日: 2018/11/30
    公開日: 2019/05/14
    ジャーナル フリー

    自然公園における法面緑化指針において,緑化は自然の植生遷移の力を最大限活用することとされている。そのため,植生復元においては斜面崩壊後の植生回復状況を明らかにすることが重要である。そこで本研究では熊本県阿蘇地域の半自然草原において異なる時期に崩壊した複数の斜面(崩壊後4年:NLSおよび26年:OLS)と,それに隣接する崩壊が確認されていない斜面(C)で植生調査を実施し斜面崩壊後の半自然草原の植生状況を明らかにした。斜面崩壊後の植被率は,NLSよりもOLSでは高くなっていた。優占種はOLSではトダシバやヤマハギであったが,Cではススキとなり,斜面崩壊からの年数により異なった。種組成もそれぞれ異なり,オミナエシなど斜面崩壊後26年目の草原で出現頻度が高くなる種が存在した。すなわち,異なる年代の斜面崩壊地の存在が様々な植物の生育を可能にしていると考えられた。これらのことから,半自然草原の斜面崩壊地では時間の経過とともに植生が回復する場合があること,そして,異なる年代の斜面崩壊地に由来する植生が阿蘇地域の半自然草原の種多様性を高める要因となることが示された。

技術報告
  • 南 基泰, 森 高子, 米村 惣太郎
    2018 年 44 巻 2 号 p. 360-364
    発行日: 2018/11/30
    公開日: 2019/05/14
    ジャーナル フリー

    横浜市においてイロハモミジ(Acer palmatum),ヤブツバキ(Camellia japonica)及びヤマザクラ(Cerasus jamasakura)を用いた地域性に配慮した緑化工を実施するために,葉緑体DNA情報を利用した地域性判定技術の開発を行った。地域性判定に用いる葉緑体DNA領域を検索するために,これら3樹種の新鮮葉(もしくは越冬芽)を東北から南九州の地域で網羅的に採集し,葉緑体DNAの遺伝子間領域及びイントロンの合計16領域のDNA多型を検索した。その結果,横浜市の地域性を判定できるDNA領域として,イロハモミジはtrnV-trnM遺伝子間領域,ヤブツバキはtrnT-trnL遺伝子間領域,ヤマザクラはtrnH-trnK遺伝子間領域を見出した。関東地区の種苗会社で育成されている地域性が不明なこれら3樹種の苗木から,本技術を用いて横浜市の地域性に適合した苗木を選抜し,外構植栽に用いることができた。また,本技術は3樹種の横浜市だけでなく,東北から南九州の地域性も判定することが可能な技術であることから,今後はこれら3樹種の地域性判定への応用にも期待できると考えられた。

  • 大林 直, 浅見 和弘, 陸 志成, 安 孔建, 賀永 明, 齋藤 大, 劉 瑛, 山寺 喜成
    2018 年 44 巻 2 号 p. 365-370
    発行日: 2018/11/30
    公開日: 2019/05/14
    ジャーナル フリー

    中国内モンゴル自治区に広く分布する白干土は,固い炭酸カルシウムの不透水層を形成し根系の伸長を阻害するなど,植物の生育には不向きである。このため,土地が荒廃化しても生態環境の修復は困難となっている。現地では,大苗を植栽し多量の潅水を継続的に行っているが,生態環境の修復再生はほとんど進んでいない。そこで,本報告では,白干土において低潅水条件下で保育ブロック苗を用いて樹木を導入する手法を検討した。白干土への適合性の高い樹種は,施工1年2か月後の活着率をみるとニレ(Ulmus pumila L.)が最も高い97.8%を示し,ライラック(Syringa oblata Lindl.)が84.4%,モモ(Prunus persica Batsch)が52.3%,他の5種類の樹木の活着率は40%以下だった。白干土に適合性の高いU. pumila(ニレ),P. persica(モモ),S. oblata(ライラック)などの樹種を植栽することにより,白干土において低潅水条件下で樹木を導入することが可能であるとの見通しを得た。

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