分散が同一で平均に傾向性がある
k群の正規分布モデルを考える.白石(2014)は,Hayter (1990)とLee and Spurrier (1995)のシングルステップの多重比較検定を優越する閉検定手順の理論を構築した.2群間の
t検定統計量の最大値max
i<i′ (−
tii′)の分布の上側100α
★%点 (α
★=1−(1−α)
ℓ/M, 2 ≦ ℓ ≦
M ≦
k)を使って優越性の証明をおこなうことができる.これらの検定で用いるmax
i<i′ (−
tii′)の分布の上側100α
★%点を求める具体的な計算式を示す.また,Williams (1971)の逐次棄却型検定法で使われる分布の上側100α%点を求める計算式を示す.つぎに,これらの計算に現れる密度関数の性質を明らかにし,それらがLund and Bowers (1992)とStenger (1993)のsinc近似で効率的に近似できることを示す.最後にsinc近似法の例として,Hayter (1990)のシングルステップの多重比較検定を優越する閉検定手順を実行するための上側100α
★%点を求める計算アルゴリズムを与える.また,その有効性を数値実験により示す.
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