本稿の目的は,急性期病院勤務の実践経験15年以上の医療ソーシャルワーカー17人を対象とした面接調査に基づき,実践能力変容過程を明らかにすることである.17人から選定した4人の事例分析に基づき,実践能力変容過程の特徴を分析した.分析の結果,4類型の実践能力変容過程が示された.(1)理論と実践の結合型,(2)専門職としてのスタンス確立型,(3)各種システムとの関係構築型,(4)3側面のバランス型である.異なる類型の4人からは,新人期・中堅期・ベテラン期に共通する以下の特徴が明らかになった.新人期には,基礎的な知識・技術を習得する一方で,自分のソーシャルワーク実践を振り返っていた.中堅期には,根拠に基づくソーシャルワーク実践と,対組織へのアプローチが可能になっていた.ベテラン期には,多様な知識・技術,経験に基づき,推測しながらのアプローチを行い,上司としての構えができ,周囲からの承認が得られていた.
抄録全体を表示