社会福祉士・精神保健福祉士が国家資格をもつ専門職として認知されて20年以上が経過した.社会福祉の現場で,ソーシャルワークを駆使し,相談援助を主たる機能として利用者,地域,社会を対象に援助や支援を展開している.両福祉士にとって,専門性の習得は必須条件であり,大学や専門学校での科目「ソーシャルワーク演習教育」の果たす役割は重要である.本稿では,ソーシャルワーク演習教育の実体について,演習教育の概論目的,目標,位置づけ,内容,方法を,教育学の教育原理に基づき検討した.担当教員がソーシャルワーク演習教育を展開する上での苦手意識は,ソーシャルワークという専門性よりも,「専門職としての教員」のアイデンティティ,「教えること」の意義,教えられる側の「人として善くなろう」とする成長への意思が主たる要因であることを明らかにした.演習教育の体系化にはソーシャルワークの教育体制の枠組みがその基盤となる.
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