ソーシャルワーク学会誌
Online ISSN : 2189-8944
Print ISSN : 1884-3654
ISSN-L : 1884-3654
38 巻
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
論文
  • 伊藤 大介
    2019 年 38 巻 p. 1-13
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/06
    ジャーナル フリー

     ソーシャルワークを担う専門職として社会福祉士の役割が重視され,養成カリキュラムの見直しもされている.本研究は社会福祉士の相談援助実習に着目し,実習における学生の学習達成状況の自己評価の点数と実習内容に関する5つの要因の関連を明らかにする.対象はA大学B学部の相談援助実習を行った学生329人である.調査は集合調査法による自記式質問紙調査を行い321人から回答を得た.分析は学生の「自己評価の点数」を目的変数,「ケアワークの分量」など実習内容に関する要因5つを説明変数,学生や実習施設に関する要因6つを制御変数に用いて重回帰分析を行った.結果,学生が実習で①ケアワークを「少し」行う(B=6.16, ref.=無し),②実習施設内の多職種連携を学べたと感じている(B=4.98, ref.=学べなかった),③実習施設外の関係機関や社会資源との連携を学べたと感じている(B=8.04, ref.=学べなかった)と自己評価の点数は高いという関連が示された.

  • -支援相談員による支援記録の質的分析より-
    間嶋 健, 和気 純子
    2019 年 38 巻 p. 15-26
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/06
    ジャーナル フリー

     近年,介護保険改正を経るごとに老人保健施設(以後,老健)における支援相談員による退所支援の重要性やその機会は増している.退所支援は,在宅復帰率等により事業運営上の評価はなされるが,ソーシャルワーク(以後,SW)上の適切性を支援対象者が評価する枠組みは十分に構築されてこなかった.そこで,本研究では,退所支援における重要な支援対象者である利用者家族によって支援相談員の退所支援を評価する枠組みの構築を図った.分析方法として,家族の視点を担保するため,支援相談員の実践記録を媒体に家族(n=41)の言動を抽出し,質的研究法を用いてSWの視点より分析した.その結果,6つの大カテゴリーと12の下位カテゴリーが抽出された.本研究により家族が老健SWを評価するための枠組みが抽出された.また,支援対象者の意向およびSWの専門性が反映された評価枠組みの作成方法を提示することができた.

  • -「移行期」における家族の意思決定に焦点を当てて-
    濱﨑 絵梨, 村社 卓
    2019 年 38 巻 p. 27-38
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/06
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,特別養護老人ホームでのend-of-life careにおける生活相談員の支援姿勢と支援内容を明らかにすることである.本研究では特に,end-of-life careの「移行期」における家族の意思決定に焦点を当てている.研究方法は定性的(質的)研究法である.データ収集は,インタビューにより行った.データ分析には定性的(質的)コーディングを用いた.分析の結果,特別養護老人ホームでのend-of-life careにおける生活相談員の支援姿勢は「家族本位から生じるジレンマとの共存」,支援内容は「看取りの説明を通しての気持ちの整理および選択の促進」としてそれぞれ定義できた.さらに,看護領域,ソーシャルワーク領域との比較検討により,その支援特性を提示した.本研究の成果は,高齢者施設でのend-of-life careにおける家族の意思決定支援および,そのための専門職の役割分担と協働の検討に貢献するものである.

  • -認定スーパーバイザーへの質問紙調査を通して-
    大谷 京子
    2019 年 38 巻 p. 39-50
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/06/06
    ジャーナル フリー

     本調査の目的は,スキルの構造を明らかにし,スキル評価尺度を開発することと,スーパーバイザーの属性との関連を明らかにし,訓練のための基礎資料とすることである.

     質的調査によって抽出された634のスキルを基に21項目のスーパービジョン(以下SV)スキル評価のための質問紙を作成し,各団体認定スーパーバイザー558名を対象に郵送調査を実施した.

     回答者の半数近くは経験も浅く,日本における組織的SVの展開は始まったばかりであることが示された.スキルについて確認的因子分析の結果,「スーパーバイジー中心」「課題焦点化」「実践化」「承認と評価」という4因子が得られた.スキル得点と属性との関連を分析した結果,ソーシャルワークの経験年数とは関連がなく,担当したスーパーバイジーの人数とは関連が高かった.すなわち,質の高いSVのためには,そのための訓練とSV実践が必要であることが明らかになった.

グッドプラクティショナー
書評
feedback
Top