血小板は刺激を受けると活性化し, 形態変化を起こすとともに粘着, 凝集する. これら過程初期において, 粘着性の受容体とそれに共役しているG蛋白を介するシグナルがまず発現し, このシグナルはホスファリパーゼおよびリン脂キナーゼの活性化を導く. 本研究では, PI 3-キナーゼの血小板粘着および凝集時の役割について電子顕微鏡的に検討した. PI 3-キナーゼ阻害剤 (wortmannin またはLY 294002) で前処理した血小板は, コラーゲン粘着時の伸展が抑制され, さらにTRAP凝集も抑制されるとともに解離した. これらの結果より, PI 3-キナーゼはαIIbβ3インテグリンの活性化維持に必須であるとの説を支持する形態的所見を得た.
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