造血器腫瘍375例, 非造血器腫瘍551例について, 厚生省播種性血管内凝固症候群 (DIC) 診断項目について検討した. 出血症状はDIC例の60%以上に見られ, 臓器症状は非造血器腫瘍群に高頻度に認められた. DIC例と非DIC例の比較では, PT比ならびにフィブリノゲン値は造血器腫瘍群, 非造血器腫瘍群ともに有意差 (P<0.001) を認めたが, 非造血器腫瘍群におけるFDP値の有意差は低かった (p<0.05). これは非造血器腫瘍群の非DIC例において高値を示す症例が多数見られたためである. DIC診断に対する感度はFDP値がもっとも高く, フィブリノゲン値がもっとも低かった. 一方, DIC診断に対する特異性はフィブリノゲン値がもっとも高く, FDP値がもっとも低かった. Receiver operating characteristic (ROC) 解析では, FDP値, PT比, 血小板数, フィブリノゲン値の順にDICの診断に有用であった. 以上の成績から, FDP値はカットオフ値を上げ, PT比はカットオフ値を下げることが感度や特異性の向上に有用であり, フィブリノゲン値のDIC診断に対する有用性は低いことが示唆された.
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