日本血栓止血学会誌
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13 巻, 6 号
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総 説
原 著
  • —抗凝血薬投与に伴う影響—
    佐野 陽子, 朝倉 英策, 吉田 知孝, 浅村 梨沙, 山崎 雅英, 森下 英理子, 御舘 靖雄, 水谷 朋恵, 金田 みのり, 伊藤 貴子 ...
    2002 年 13 巻 6 号 p. 485-492
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/04/02
    ジャーナル フリー
    組織因子 (TF) 誘発DICモデルとLPS誘発DICモデルを比較した場合, 前者では, 一酸化窒素 (NO) の代謝産物である血中NOXが著増するが血中エンドセリン (ET) は微増にとどまること, 後者では, 両マーカーが著増することを, 我々はこれまでの検討で明らかにしてきた. 本研究では, 抗凝血薬投与による血管作動性物質の動態への影響を検討した. Wistar系雄性ラットを用いて, TF誘発DICモデルはTF3. 75単位/kg, LPS誘発DICモデルはLPS30mg/kgを尾静脈より4時間かけ点滴静注し作成した. 薬物投与群については, 低分子ヘパリン200U/kgをDIC誘発物質投与開始30分前から投与し, DIC誘発物質投与終了まで4. 5時間持続点滴をした. TF誘発DICモデルにおける著しい血中NOXの上昇は, LMWH投与により完全に抑制されたが, LPS誘発DICモデルにおける同効果は軽微であった. 一方, 血中エンドセリンは, いずれのモデルにおいてもLMWHによる影響はみられなかった. 以上より, TF誘発DICモデルにおけるNO産生は, TFの直接作用ではなく, TF投与に伴う結果としての生体内における凝固活性化が主因であると思われた. また, LPS誘発DICモデルにおける血中エンドセリンの持続的な上昇は, 臓器障害の進展と関連しているものと考えられた.
症 例
  • 富田 幸治, 安保 浩伸, 滝  正志, 半田  誠
    2002 年 13 巻 6 号 p. 493-499
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/04/02
    ジャーナル フリー
    発端者 (2歳7カ月, 男児) と母親で低濃度 (0.5mg/ml) のリストセチン誘発血小板凝集 (RIPA) の亢進を認めtype 2 B von Willbrand病 (VWD) と臨床診断した. RIPAの亢進を除けば, 彼らの血漿von Willbrand因子 (VWF) レベルと血漿VWFマルチマーパターンはtype1VWDの検査所見と区別する事はできなかった. 出血時間の延長に比較して出血頻度は低く, 出血症状は軽度であった. 遺伝子解析で両者のA1ドメインにtype2B VWDに高頻度に発見される Arg 543(CGG)→ Trp(TGG)の遺伝子変異を認め, 両者ともheterozygoteであると診断した. 出血症状に対する治療方針を確立するためには, RIPAを測定してdesmopressin(DDAVP)の適応があるか否かを診断の早い段階で決定する必要がある. 臨床診断の過程で検査所見の解釈に矛盾が生じた場合は, 遺伝子解析で診断の確定に努めるべきである.
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