プロテインS活性低下を示した血栓症患者に見出された変異型分子2種類(Thr37MetおよびCys206Phe)をhuman embryo kidney 293(HEK293)細胞に安定発現させ,細胞培養上清中のプロテインS活性と蛋白質量を測定した.さらに,これら変異型分子とGreen fluorescence protein(GFP)とのキメラ体を用いて細胞内移行の検討を行った.
Thr37Met変異型の培養上清中のプロテインS活性は低下していたが分泌される蛋白質量に異常はなく,Thr37Met変異分子は変異による構造変化で比活性が低下したものと考えられた.Cys206Phe変異型では,細胞内で合成された分子が分泌される過程に異常があることが判明した.
HEK293 細胞を用いたこれらの実験結果から,この2種類のプロテインS遺伝子異常は患者血栓症患者に見出されたプロテインS活性低下に寄与していることが強く示唆される.
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