日本血栓止血学会誌
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17 巻, 6 号
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総 説
原 著
  • 吉岡 章, 白幡 聡, 福武 勝幸, 神谷 忠, 藤巻 道男
    2006 年 17 巻 6 号 p. 682-694
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/26
    ジャーナル フリー
    我が国で広く使用されている血漿由来第VIII因子製剤であるクロスエイトMについて,過去に第VIII因子製剤による治療を受けたことのない血友病A患者(PUPs)を対象とした調査研究を行い,その有効性と安全性を前方視的に評価した.24症例(重症10例,中等症6例,軽症8例)を解析対象とした本剤での止血効果は534回の出血エピソードに対して,著効281回,有効234回で96.4%が有効以上であり,無効や悪化の評価はなかった.第VIII因子インヒビターの発生は重症の1例(0.9 BU/ml)で報告されたが,一過性と推定された.抗マウスIgG抗体産生が別の重症の1例で報告されたが,これも一過性であり,臨床症状は見られなかった.感染症に関してはHBV,HCVおよびHIVの感染事例はなかった.ヒトパルボウイルスB19に関しては本剤による感染を示唆する症例があったが,本件はその後の精密なスクリーニング法(Receptor-mediated hemagglutination: RHA)の導入とウイルス除去膜の使用により解決された.本剤は止血効果が高く,副作用やインヒビター産生が少ない安全性の高い製剤であることが示された.
  • 花房 秀次, 大山 和成, 渡辺 智, 榊原 謙, 平松 祐司, 新福 玄二, 高木 洋行, 佐藤 公治, 坂部 秀明, 中谷 浩, 日笠 ...
    2006 年 17 巻 6 号 p. 695-705
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/01/26
    ジャーナル フリー
    先天性第VII因子欠乏症患者に対する遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa, 注射用ノボセブン®;ノボ ノルディスク ファーマ株式会社)の後方視的な使用成績調査を実施した.対象は13名の先天性欠乏症で,男性6名と女性7名,年齢は生後60日から78歳,血漿第VII因子活性は3%以下が7名,3~10%が2名,10%以上が4名であった.1回に10~35 μg/kgのrFVIIaを投与し,必要に応じて2~8時間毎(その後は適宜延長)に追加した.2名の月経過多や1名の関節出血に有効で,3名の抜歯,2名の小手術および6名の大手術の止血管理においても良好な止血効果を示した.rFVIIaに関連する有害事象は1名の軽度臨床検査値異常以外は認められなかった.欧米においては先天性第VII因子欠乏症患者に対しrFVIIaを1回15~30 μg/kgで4~6時間ごとに投与することが承認されており,今回の検討でもその妥当性が確認された.先天性第VII因子欠乏症患者にrFVIIaは有用かつ安全である.
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