日本血栓止血学会誌
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18 巻, 6 号
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特集:「血栓止血の臨床─研修医のために I 」
  • 池田 康夫
    2007 年 18 巻 6 号 p. 549
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 齋藤 英彦
    2007 年 18 巻 6 号 p. 550-554
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Point
    1) 臨床血栓止血学の対象は,出血性疾患と血栓性疾患であり,日常臨床で頻度も多い.
    2) 疾患の正しい理解には,止血機序や血液凝固機序を知ることが重要である.
    3) 臨床血栓止血学の知識は各診療科の医師に必要である.
  • 家子 正裕
    2007 年 18 巻 6 号 p. 555-558
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Point
    1) スライドグラス圧迫による出血斑の確認など出血症状を確認する.
    2) 出血斑は血小板異常,関節内出血や内臓出血は凝固因子の異常を念頭におく.
    3) 出血症状の出現時期,家族内発症の有無などを問診で確認し,先天性か後天性かを判断する.
    4) 既往歴や服用薬剤も確認する.特に血栓性疾患や肝障害および鎮痛剤の服用に注意.
    5) 凝血学的検査は必須.血小板数,APTT,PT,Dダイマーをスクリーニング検査として測定し鑑別診断を行う.
  • 冨山 佳昭
    2007 年 18 巻 6 号 p. 559-562
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Point
    1) 紫斑はその大きさにより,点状出血(petechiae),斑状出血(ecchymosis),びまん性出血(suggillation)に分けられる.
    2) 凝固系の異常による紫斑は血小板や血管の異常の場合と比較して大きく,また点状出血として発症することは稀である.
    3) 紅斑や毛細血管拡張は硝子圧により退色するが,点状出血は圧迫によっても退色することは無い.
    4) アレルギー性紫斑病では,下腿を中心に左右対称性の隆起性の点状出血斑が見られる.
  • 左近 賢人
    2007 年 18 巻 6 号 p. 563-567
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Point
    1) 出血・血栓傾向に関する家族歴,既往歴,理学的所見を必ず取ること.
    2) 異常出血や血栓症の原因を自分の頭で考えること.
    3) 術前の出血・血栓症対策は「備えあれば憂いなし」である.
    4) 術前スクリーニング検査として血小板数,プロトロンビン時間(PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT),フィブリノゲン(Fbg),フィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)がある.
    5) 深部静脈血栓症(DVT)は肺血栓塞栓症(PTE)と併せて静脈血栓塞栓症(Venous Thromboembolism : VTE)と総称される.
    6) 静脈血栓塞栓症は欧米化や高齢化により急激に増加しており,疑うと伴に,周術期には必ずガイドラインに準拠した予防を行う.
  • 田中 一郎, 吉岡 章
    2007 年 18 巻 6 号 p. 568-571
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Point
    1) 血友病の診断は反復する出血症状と第VIII(IX)因子活性の低下によってなされるが,さらにX連鎖劣性遺伝を示唆する家族歴があれば確実である.
    2) 第VIII(IX)因子活性により,<1%は重症,1~5%は中等症,>5~<40%は軽症に分類される.
    3) 治療の基本は第VIII(IX)因子製剤の静注による補充療法であるが,軽症もしくは中等症の血友病A患者ではデスモプレシン静注療法も行われる.
    4) 家庭での自己注射により出血早期の補充療法が可能であり,出血予防を目的とした定期補充療法も行われる.
    5) インヒビター保有患者の止血療法として,バイパス止血療法もしくはインヒビター中和療法が行われる.一方,インヒビター消失を目的とした免疫寛容導入療法も試みられる.
  • 高橋 芳右
    2007 年 18 巻 6 号 p. 572-574
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Point
    1) von Willebrand因子は種々の分子サイズのマルチマーからなり,高分子量のマルチマーほど止血活性が高い.
    2) von Willebrand病(VWD)は病態が多様で,いくつかの病型がある.von Willebrand因子の量的減少症の1型,完全欠損症の3型,質的異常症の2型に分類され,2型には2A,2B,2M,2Nの4亜型が存在する.
    3) デスモプレシンの有効性は病型により大きく異なる.1型VWDには有効であるが,3型VWDには全く無効で,2型VWDでは無効例とある程度有効な例が存在する.
    4) 適切な治療法の選択には,病型診断が重要である.
  • 嶋 緑倫
    2007 年 18 巻 6 号 p. 575-579
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Point
    1) 後天性の出血傾向とaPTT延長があれば後天性血友病あるいは後天性von Willebrand病(VWD)を疑う.
    2) 後天性血友病の本態は抗第VIII因子同種抗体である.
    3) 後天性VWDは抗VWF同種抗体のみならず非免疫学的機序によるクリアランス亢進でも発症する.
    4) 後天性血友病/VWDの背景には自己免疫疾患やリンパ・骨髄増殖性疾患などの存在がある場合が多い.
    5) 後天性血友病/後天性VWDの治療は止血療法と免疫抑制療法が基本である.
  • 竹谷 英之
    2007 年 18 巻 6 号 p. 580-583
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Point
    1) 手術適応は,血液製剤を適切に使用すれば一般患者と同等である.
    2) 術前に凝固因子製剤の負荷試験を行うことが望ましい.
    3) 凝固因子製剤持続輸注では,第VIII因子製剤と第IX因子製剤それぞれ3~4単位/kg/h,4~5単位/kg/h程度の速度が選択される.
    4) インヒビター保有患者に対する手術時の止血管理方法は確立されていない.
    5) 手術時の止血管理には特にチーム治療が必要である.
  • 白幡 聡
    2007 年 18 巻 6 号 p. 584-587
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Point
    1) ビタミンK欠乏性出血症は,主として新生児,幼若乳児,肝・胆道疾患患者,重症下痢が遷延している患者,抗生剤を長期間投与されている患者にみられる.
    2) 出血は消化管出血が多く,ついで皮下出血,鼻出血,血尿がみられる.注射・採血部位あるいは手術創の過剰出血で気づかれることもある.但し,幼若乳児のビタミンK欠乏性出血症では,頭蓋内出血の頻度がきわめて高い.
    3) 検査所見では,PTとAPTTの著しい延長とPIVKA-IIの増加が特徴的である.ビタミンKの投与2~4時間後にPTとAPTTが短縮されれば,診断が確定する.
    4) ビタミンKの投与により速やかに出血傾向は改善するが,新生児と幼若乳児のビタミンK欠乏性出血症では,頭蓋内出血により予後不良のケースがあるので,予防が重要である.
総 説
速 報
原 著
  • ─第1回東海DIC up to Dateアンサーパッド集計より─
    真弓 俊彦, 和田 英夫, 松下 正, 西脇 公俊, 青木 克憲, 上山 昌史, 小倉 真治, 高松 純樹, 丸山 一男, 丸藤 哲, 斎藤 ...
    2007 年 18 巻 6 号 p. 619-626
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    平成17年4月東海DIC up to Date研究会で,実地臨床医家のDICに対する診療行為の実状について,参加者からアンサーパッド形式による集計を行い,その解析を行った.時間外のFibrinogenやFDP測定が可能な施設は,外科系の医師が属する施設では67%に留まっていた.DICに対して使用する薬剤では,未分画と低分子ヘパリンの使用頻度は専門診療科によって大きく異なっていたが,合成蛋白分解酵素阻害薬とアンチトロンビンの使用頻度は9割に達していた.また,DICに対して使用する薬剤はDICの疑診例と確診例でその頻度に差があり,医師が使い分けている現状が明らかとなった.一方,抗線溶療法を41%が行っていた.白血病以外の疾患に起因するDIC治療の開始基準は厚労省基準で外科系は3-4点,それ以外では4-6点で,DICと診断される以前に治療が開始されていた.また,急性期DIC診断基準では4点で治療を開始していた.このような現状からDIC診療においては現在行われている治療に大きな相違があり,早急な治療指針の提示が必要であると考えられた.
  • 田中 一郎, 天野 景裕, 瀧 正志, 岡 敏明, 酒井 道生, 白幡 聡, 高田 昇, 高松 純樹, 竹谷 英之, 花房 秀次, 日笠 聡 ...
    2007 年 18 巻 6 号 p. 627-639
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    わが国におけるインヒビター保有先天性血友病患者に対するバイパス止血療法の現状と問題点を探る目的で,国内の代表的な血友病診療施設9施設にアンケート調査を行った.調査内容はインヒビター治療製剤の選択の他,バイパス止血製剤の投与方法や保険適応外使用,モニタリング検査,副作用などであった.このうち,治療製剤選択に関する設問では5 Bethesda単位(BU)/ml未満のローレスポンダーおよび現在5 BU/ml未満,5-10 BU/ml,10 BU/ml超のハイレスポンダーの4つの場合に分けて,それぞれ軽度出血,重度出血および手術時における製剤選択について質問した.その結果,5 BU/ml未満のローレスポンダーの軽度出血時および現在5 BU/ml未満のハイレスポンダーの重度出血や手術時において,バイパス止血療法を選択するのか,インヒビター中和療法を選択するのかで意見が分かれた.今後,わが国のガイドラインを作成するにあたり,これらの意見を集約していく必要がある.
症例報告
  • 奥 英二郎, 金地 泰典, 田代 恭子, 佐川 公矯, 内田 信治, 木下 壽文, 白水 和雄, 岡村 孝
    2007 年 18 巻 6 号 p. 640-645
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌に対して肝切除術を施行後,第V因子インヒビターを生じた2症例を経験した.症例1は肝切除術後11日目にPT,APTTの著明な延長を認め,第V因子活性が6%と低下し,第V因子インヒビターは1 BethesdaU/ml検出した.術後約40日目にはPT,APTTは正常値を示した.症例2では肝切除術後18日目,胸腔鏡下止血術後9日目にPT,APTTの著明な延長を認め,術後22日目は第V因子活性が3%以下に低下していた.肝切除後34日目(胸腔鏡下止血術後25日目)にはPT,APTT値は改善傾向を認めた.2症例とも手術時にタココンブ®(牛フィブリン糊)が使用されている.また,PTおよびAPTTの著明な延長は,一過性であり出血傾向を認めなかった.第V因子インヒビターの出現はタココンブ®の使用により誘発された可能性を疑い,この製剤への牛第V因子の混入をウェスタンブロットで確認した.以上よりタココンブ®中の牛第V因子に対する抗体が産生され,これがヒト第V因子に交差反応を示し,一過性の第V因子インヒビター活性を呈したものと考えた.タココンブ®使用時には第V因子インヒビターの出現に注意が必要であると思われる.
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