核医学分子イメージング法は,分子・細胞レベルの機能情報を感度よく定量的に画像化できる診断法である.動脈硬化・血栓症の診断においても,種々の核医学イメージングが検討されている.とりわけ,
18F-FDG によるグルコース代謝イメージングは,プラーク内の炎症細胞,とくにマクロファージの浸潤を定量的に評価可能であり,不安定な動脈硬化プラークの選択的な描出,脳梗塞や心筋梗塞のリスク評価,さらには治療効果モニタリングにおける有用性が期待されている.マンノース代謝(
18F-FDM),細胞膜代謝(
11Ccholine/
18F-choline),脂肪酸合成能(
11C-acetate)のイメージングに関する研究も進みつつある.これらの核医学イメージング法は,動脈硬化の進展や血栓形成の複雑なメカニズムの解明のための有用な情報を提供しうるものと期待される.
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