日本血栓止血学会誌
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26 巻 , 4 号
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特集 新薬開発の現状と課題:抗血栓薬が世に出るまで
  • 森島 義行
    2015 年 26 巻 4 号 p. 369-375
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    ジャーナル フリー
    要約:本稿では経口血液凝固第Xa 因子(factor Xa: FXa)阻害剤エドキサバン(商品名リクシアナ® 錠)が臨床開発化合物として選定されるまでのみちのりを解説する.本邦で唯一の経口抗凝固剤として長年使用されてきたワルファリンには,薬効の個人差,薬物-薬物相互作用などの問題点がある.これらの問題点を克服した経口抗凝固剤を創製するために,われわれはFXa を競合的・選択的に直接阻害する低分子化合物の獲得を目指した.世界初の低分子の直接かつ選択的FXa 阻害剤DX-9065a を見出したが,ヒトでの経口吸収性は十分ではなかった.DX-9065a の経口吸収性の改善には極性基の除去が必要で,FXa 阻害活性と経口吸収性の両立がこの創薬研究の最大の難関であった.詳細な構造-活性相関の検討とヒトへの精度の高い外挿を期待したサルでの薬物動態学/薬力学的評価を実施し,約20 年の研究の集大成として,最適な化合物エドキサバンの獲得に成功した.
  • 中村 龍太
    2015 年 26 巻 4 号 p. 376-384
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    ジャーナル フリー
    要約:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は,承認審査関連業務,安全対策業務,健康被害救済業務を一貫して行う機関として,それまでにあったいくつかの組織を統合する形で平成16 年4 月に創設された.PMDA 設立当時は,海外で標準的に使用される品目のドラッグラグ(開発ラグ+ 審査ラグ)が社会問題化しており,その解消に対する期待をクローズアップする見方もなされていたが,ドラッグラグがほとんど0となった近年では,アンメットメディカルニーズの開発ラグを生じさせない状況も整ってきた.このような医薬品開発に関する状況変化の中で,PMDA では,出口戦略を見据えた治験相談およびそれと一貫した承認審査が行われているが,抗凝固薬や抗血小板薬の領域の開発では,有効性の主要評価項目をハードエンドポイントとせざるを得ないことがほとんどであり,治験の中で厳密に日本人での有効性および安全性を結論づけることが難しいため,様々な工夫が必要となる.
  • 大橋 陽平, 宮本 悠希, 家串 和真
    2015 年 26 巻 4 号 p. 385-395
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    ジャーナル フリー
    要約:新規経口抗凝固薬(Novel Oral Anticoagulant, NOAC)は,既存薬のワルファリンとは異なり,血液凝固第Xa 因子もしくはトロンビンに対する直接的阻害作用を有する,新しい経口抗凝固薬である.これら新薬の臨床開発にあたっては,それぞれ非弁膜症性心房細動患者においてワルファリンを対照薬として大規模な国際共同試験および国内開発試験が実施されたことは記憶に新しいところである.本稿においては,世界で最初に承認された経口血液凝固第Xa 因子阻害薬であるリバーロキサバン(Rivaroxaban)を例にとり,その薬理作用をはじめとして,前臨床研究から各適応症の臨床開発の経緯について,製薬企業の立場から紹介したい.
  • 山本 晴子
    2015 年 26 巻 4 号 p. 396-401
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    ジャーナル フリー
    要約:医薬品の後期臨床試験は,臨床開発ステージの中で検証段階の臨床試験を指し,具体的には後期第II 相から第III 相試験を意味する.後期臨床試験は単独の試験として良い成績を出せばよいのではなく,薬事承認申請資料の一部として,他の様々な試験結果と整合性があり,かつその中で推測された最良の用法・用量の有効性が検証され,安全性についてリスクベネフィットのバランスが受け入れ可能であることを示さなければならない.後期臨床試験の目的は,予想を越えるようなすばらしい結果を出すことではなく,それまでの検討結果から予測された程度の有効性を検証し,かつ受入れ可能な安全性を示すことにある.本稿では,このような観点から後期臨床試験のデザインについて概説する.
  • 森 悦朗
    2015 年 26 巻 4 号 p. 402-409
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    ジャーナル フリー
    要約:新しい治療法の開発には,研究者,臨床医,学会,企業,行政,さらに患者やその家族が関与して,たいへん複雑な道程と長い年月が必要である.虚血性脳血管障害に対する血栓溶解療法には相当に長い浮沈の歴史がある.ここではその開発過程を回顧し,新しい治療法の開発から確立までに必要なもの,障壁となるもの,克服すべきものなどを洞察する.新しい治療法の開発から確立までに必要なものは.開発の動機と根拠,研究の実現可能性,臨床試験の技術,研究資金,および研究者間の協力であり,障壁となるもの,克服すべきものには権威主義,規制当局,営利主義がある.
  • 堀 正二
    2015 年 26 巻 4 号 p. 410-419
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    ジャーナル フリー
    要約:非弁膜症性心房細動患者を対象としたNOAC(Non-vitamin K oral anticoagulant)の臨床開発は,いずれのNOAC もアジア諸国を組み入れた大規模国際共同試験として実施された.RE-LY 試験(ダビガトラン),ROCKET AF試験(リバローキサバン),ARISTOTLE 試験(アピキサバン),ENGAGE AF-TIMI 48 試験(エドキサバン)は,いずれもワルファリン標準治療を対照とした非劣性試験として実施されたが,RE-LY 試験は,ワルファリン群はオープン・アーム(PROBE 法),他の試験は二重盲検法で実施された.いずれの試験でもNOAC のワルファリンに対する非劣性が検証され,世界で上市されるに至っているが,これらの試験を通じて明らかになった課題と今後の展望について概説した.まず,アジアのサブ解析によりアジア人とくに東アジア人は,ワルファリン投与による頭蓋内出血が欧米人に比し3~4 倍多く,他の大出血もアジア人に多いことが明らかになった.一方で,心原性塞栓症もアジア人に多い傾向にあり,このような民族差が国際共同試験ではバイアスの一つとなることが示唆された.また,国際共同試験の施行にあたっては,ワルファリン標準治療におけるガイドラインの国際差や医療環境の地域差などバリアを克服しなければならず,将来的には,地域別(とくにアジア)のエビデンス構築が求められるようになる可能性が高い.グローバル試験における民族差(地域差)を如何に克服するかが今後の課題となろう.
原著
  • Midori SHIMA, Katsuyuki FUKUTAKE, Hideji HANABUSA, Tadashi MATSUSHITA, ...
    2015 年 26 巻 4 号 p. 420-429
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    ジャーナル フリー
    The multinational Phase 3 B-LONG study demonstrated the prolonged half-life of recombinant factor IX Fc fusion protein (rFIXFc) versus native recombinant factor IX (rFIX), and the safety and efficacy of rFIXFc for treatment of bleeding and routine prophylaxis in subjects with hemophilia B. This post hoc subgroup analysis of B-LONG evaluated the safety, efficacy, and pharmacokinetics of rFIXFc in Japanese subjects. Previously treated males with moderately severe to severe hemophilia B (endogenous FIX ≤2 IU/dL) received weekly prophylaxis (starting at 50 IU/kg/week, with dose adjustment), individualized interval prophylaxis (starting at 100 IU/kg every 10 days, with interval adjustment), episodic treatment, or perioperative management with rFIXFc. Primary endpoints were annualized bleeding rates (ABRs) and safety. rFIXFc pharmacokinetics were comparable between Japanese subjects (n=6) and non-Japanese subjects. Median ABRs for Japanese subjects in the weekly prophylaxis (n=4) and individualized interval prophylaxis (n=2) groups were 3.27 and 4.28, respectively, which were within the range for non-Japanese subjects. For Japanese subjects, most (95.8%) bleeding episodes were resolved with 1 or 2 rFIXFc infusions, and no treatment-related adverse events or inhibitors were observed. rFIXFc was safe and efficacious for prophylaxis and treatment of bleeding in Japanese subjects with outcomes and pharmacokinetics comparable to non-Japanese subjects.
トピックス
凝固・線溶・血小板タンパク質の機能発現機構
2015 年度日本血栓止血学会 学術奨励賞
SPC委員会活動報告
第9回日本血栓止血学会学術標準化委員会(SSC)2015シンポジウム
ジャーナルクラブ
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