要約:免疫性血小板減少症(ITP)は抗血小板自己抗体による網内系での血小板破壊の亢進と血小板産生障害により血小板減少をきたす自己免疫疾患である.病因はいまだ明らかでないが,ITP 患者では脾臓など網内系における抗血小板抗体,網内系マクロファージ,自己反応性CD4
+ T 細胞,自己抗体産生B 細胞による病的ループの形成が持続的な抗血小板抗体の産生を誘導することが示されている.これまでITP 病態に類似した様々なマウスモデルが作製されてきたが,いずれもITP における自己免疫病態を的確に再現していなかった.そこで,私たちは末梢トレランス維持において中心的役割を果たしている制御性T 細胞に着目した.T 細胞減少後の増殖期に制御性T 細胞を欠損するモデルを作製したところ,持続的な血小板減少を示すことを見出した.本マウスは血小板抗原に対する自己免疫応答と抗血小板自己抗体のエフェクター活性の両者を的確に再現したITP の動物モデルである.本モデルを活用することでITP の病態解析,新規治療標的の同定が進むことが期待される.
抄録全体を表示