日本血栓止血学会誌
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27 巻 , 6 号
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特集 凝固検査の標準化
  • 福武 勝幸
    2016 年 27 巻 6 号 p. 617-622
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/15
    ジャーナル フリー

    要約:臨床検査における標準化の目的は,検査結果が正確であり,病院が変わっても,地域が変わっても,国が変わっても科学的に共通の指標として使えるものにすることである.つまり,臨床検査の標準化は同一検査項目の結果を世界共通の指標として利用し,高度な医療を推進するための診断基準や診療ガイドラインを作り,利用するためには必須の作業である.臨床検査の結果は客観性の高い重要な医療情報であり,標準化を推進することによって検査結果の信頼性と普遍性を担保できる環境を整えることが大切である.標準化の目的を最終的に達成するには,その実効を臨床現場の中で確認する必要がある.多くの施設が参加する外部精度管理調査により個々の項目の検査結果の収束状態を確認することは,標準化の状態をモニタリングしていることにもなり,この結果を基に行政機関,製造会社団体,関係学会等が協働することで標準化の継続的改善のサイクルを形成することができる.

  • 小宮山 豊
    2016 年 27 巻 6 号 p. 623-630
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/15
    ジャーナル フリー

    要約:日本検査血液学会標準化委員会の凝固検査標準化ワーキンググループは,凝固検査標準化の第1 歩として,2016 年8 月凝固検査検体取扱いに関するコンセンサスを発表した.含まれる検査はプロトロンビン時間,活性化部分トロンボプラスチン時間,フィブリノゲン,ループスアンチコアグラント,希釈ラッセル蛇毒時間,凝固因子インヒビター定性(クロスミキシング試験),トロンボテスト,ヘパプラスチンテストである.クエン酸ナトリウム濃度は0.105~0.109 M(3.13~3.2%)とし,その血液との比率は1:9 とする.遠心は1,500×g で最低15 分間(または2,000×g ,最低10 分間),18~25°Cで行い,血漿中の残存血小板数が1 万/µL 未満になるよう遠心分離処理を行うことが重要である.

  • 橋口 照人
    2016 年 27 巻 6 号 p. 631-635
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/15
    ジャーナル フリー

    要約:プロトロンビン時間(PT)の原型は1935 年のQuick らの発表に遡る.PT 反応に関わる凝固第VII 因子(FVII),凝固第X 因子(FX),プロトロンビンはCa2+ を介してリン脂質膜上のphosphatidylserine に各々の分子のGla 残基を介して結合して酵素複合体を形成するが,PT の標準化を困難にする要因の一つとして細胞膜リン脂質成分の組成比の多様性が挙げられる.細胞膜リン脂質成分を反応の場とした組織因子(TF)/FVIIa複合体によるFX の活性化反応,あるいはプロトロンビナーゼ複合体によるトロンビンの生成反応には完全型から不完全型の多様性が存在して,PT はそれらの総和としての結果である.また,Ca2+ 濃度は至適濃度より高くても低くても酵素複合体の構成を妨げる結果となり凝固時間は延長する.トロンビンは構造上,酵素複合体から遊離できる分子であり反応液中のアンチトロンビンによる不活化の効率もPT 反応に影響する.

  • 山﨑 哲, 内藤 澄悦, 静 怜子, 家子 正裕
    2016 年 27 巻 6 号 p. 636-643
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/15
    ジャーナル フリー

    要約:凝固検査は標準化が遅れている分野であり,とりわけ活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)測定には多くの診断目的が求められることから測定試薬の多様性が認められる.また,ループスアンチコアグラントの検査法である希釈ラッセル蛇毒時間(dRVVT)測定では,従来1 試薬のみが広く使用されてきたが,現在は複数の試薬選択が可能となっている.こうした背景から,APTT およびdRVVT に関する標準化策を模索すべく検討が行われてきた.APTT については,直接的な標準化が難しいと判断されたため,試薬特性を評価/表現する方法の確立を目指し,dRVVT については,試薬差や機種差を是正する方法の確立と,それらに基づいた共通の健常人上限値の設定を目的とした.何れもある程度の成果が期待できる成績が得られており,今後,多くの検証,追加検討により標準化へと進展することが期待される.

  • 本木 由香里, 野島 順三, 吉田 美香, 關谷 暁子, 原 和冴, 森下 英理子, 家子 正裕
    2016 年 27 巻 6 号 p. 644-652
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/15
    ジャーナル フリー

    要約:抗リン脂質抗体症候群(APS)の検査診断において,抗リン脂質抗体の検出は必須である.抗リン脂質抗体とはリン脂質に関連した自己抗体の総称であり,認識するエピトープの違いによりいくつかの種類が存在し,各種抗体を検出するELISA キットが多数販売されている.しかし,各種キットにより抗体価の単位が異なること,また明確な基準範囲が定められていないことにより,測定値の評価が困難なケースに度々遭遇する.現在,抗リン脂質抗体標準化ワークショップではELISA による抗リン脂質抗体測定の標準化に取り組んでおり,市販されている10 種類の抗リン脂質抗体ELISA キットについて,健常人基準範囲値を設定した.また,測定値の施設間差ならびにキット間差について検証し,今回設定した健常人基準範囲値に基づいて抗体の陽性・陰性を判定することにより,測定施設や使用キットにかかわらず,ほぼ同様の判定結果が得られることを確認した.さらに,患者が有する抗体のくみ合せは様々であることから,複数のキットを用いた多種類の抗体価測定が必要とされるが,APS の検査診断における第一選択ELISA として,IgGクラスの抗カルジオリピン抗体測定を日本抗リン脂質抗体標準化ワークショップとして推奨することを報告する.

  • 福武 勝幸
    2016 年 27 巻 6 号 p. 653-658
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/15
    ジャーナル フリー

    要約:FDP やD ダイマー測定のように,真の基準物質を得ることができない場合には,本来の標準化は困難であり,ハーモナイゼーション(調和化)が有効な方法である.つまり,ハーモナイゼーションは厳密な標準化ではなく,基準物質の代替品としてプール検体などを用いて,「標準的な検体であれば全ての検査室で概ね一致する値を示すこと」を目標とするものである.FDPやD ダイマー測定の現状とハーモナイゼーションの必要性を示すとともに,著者らの経験においても全ての検体に対して完全ではないが,診断薬間差は大幅に縮小でき,診断薬の違いを超えてエビデンスの構築や診断指標への利用の可能性が得られたことを紹介する.しかし,ハーモナイゼーションの実現のためには,世界的なコンセンサスの確立などの多くの課題があり,長期にわたる努力が必要である

総説
  • 村島 温子
    2016 年 27 巻 6 号 p. 659-664
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/15
    ジャーナル フリー

    要約:抗リン脂質抗体症候群(APS)は決して多い疾患ではない上に,動・静脈血栓症ならびに習慣性流産,妊娠高血圧症候群(PIH)などの産科合併症を臨床所見としていることから,これらの臨床所見に対応して,様々な分野の専門家がそれぞれの立場から見て診療しており,いわゆる「群盲象を評す」状態にあると思われる.このような背景をもつAPS 患者の妊娠となるとさらに難しい.このような状況の改善を目的として,平成25 年に産科,内科,小児科などの当該領域の専門家による研究班を結成し,APS 合併妊娠についてアンケートや多施設症例調査研究を行った.アンケート結果からはAPSの診断が正しくされていない現状,臨床現場の混乱,ガイドラインへの期待が明らかになった.また,多施設症例調査研究結果や国内外の論文をもとにリスクの評価方法,ならびにリスクに合わせた治療方法などを盛りこんだ産科的APS のガイドラインを作成した.

原著
  • Hideji HANABUSA, Midori SHIMA, Keiji NOGAMI, Tadashi MATSUSHITA, Katsu ...
    2016 年 27 巻 6 号 p. 665-677
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/15
    ジャーナル フリー

    Introduction: Recombinant factor VIII Fc fusion protein (rFVIIIFc) was safe and efficacious for control and prevention of bleeding in the multinational Phase 3 A-LONG study of previously treated males aged ≥12 years with severe haemophilia A. This post hoc subgroup analysis evaluated safety, efficacy, and pharmacokinetics of rFVIIIFc in Japanese subjects (n=14). Methods: Subjects received individualised prophylaxis (starting 25 IU/kg rFVIIIFc on Day 1, 50 IU/kg on Day 4; then 25–65 IU/kg every 3–5 days), weekly prophylaxis (65 IU/kg rFVIIIFc once weekly), or episodic treatment (10–50 IU/kg rFVIIIFc as needed). Primary endpoints were annualised bleeding rates (ABRs) and safety. Results: Most pharmacokinetic parameters were comparable with rFVIIIFc treatment between Japanese and non-Japanese subjects. Incremental recovery was lower in Japanese (1.7 [IU/dL]/[IU/kg]) versus non-Japanese subjects (2.2 [IU/dL]/[IU/kg]), likely related to lower average BMI and body weight for Japanese subjects. Median ABRs for Japanese subjects in the individualised prophylaxis, weekly prophylaxis, and episodic arms were 3.56, 4.34, and 25.06, respectively. Most bleeding episodes (89.5%) resolved with 1 rFVIIIFc injection. No inhibitors were reported; safety findings were comparable to non-Japanese subjects. Conclusion: rFVIIIFc was safe and efficacious for control and prevention of bleeding in Japanese subjects, with outcomes comparable to non-Japanese subjects.

凝固・線溶・血小板タンパク質の機能発現機構
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