日本血栓止血学会誌
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Editorial
特集:脳梗塞と闘う
  • 豊田 一則
    原稿種別: 特集:脳梗塞と闘う
    2021 年 32 巻 3 号 p. 264-270
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/22
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    脳梗塞超急性期の静注血栓溶解療法は,病的血栓を遺伝子組み換え組織型プラスミノゲン・アクティベータの力で溶解して,血栓で詰まった脳動脈を再開通させ,脳の組織が決定的に傷む前に十分な脳への血流を戻す治療である.発症後4.5時間以内に治療開始可能な患者に適応があるが,最近の知見に基づき,発症時刻不明の患者でも頭部画像診断の異なる撮像法による虚血所見出現具合の差(DWI-FLAIRミスマッチ所見)やペナンブラ所見を確認できれば治療を行えるようになった.国内施行率は脳梗塞発症者の1割前後と推測されるが,治療対象となるべき患者はこれより遥かに多く,更なる治療の普及が必要である.アルテプラーゼが世界で承認された唯一の血栓溶解薬であるが,近年血栓への親和性が高いテネクテプラーゼを用いた臨床試験が海外で多く行われ,オフラベルで使用を始めた地域も増えた.国内でも同薬の早期導入が望まれる.

  • 佐藤 健一
    原稿種別: 特集:脳梗塞と闘う
    2021 年 32 巻 3 号 p. 271-277
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/22
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    脳主幹動脈急性閉塞に対する機械的血栓回収療法は,2014年より本格的に臨床応用された.エビデンスレベルの高い臨床研究にて良好な治療成績が示され,血管内治療デバイスの進歩や医療従事者や一般市民への啓蒙活動,地域医療体制の整備などを経て,今では治療適応を有する症例に対して施行すべき「標準治療」として位置づけられている.今後は機械的血栓回収療法の安全性を担保しつつ,治療成功率の向上や適応の拡大に向けて研究が進むと同時に,包括的脳卒中医療の一翼を担うべく医療体制が整備される.本稿では機械的血栓回収療法の現状と今後の展開について,実際の治療例の提示とともに概説する.

  • 蓮見 惠司
    原稿種別: 特集:脳梗塞と闘う
    2021 年 32 巻 3 号 p. 278-283
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/22
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    プラスミノゲン・フィブリン結合を促進する化合物の探索において,我々がクロカビから単離した小分子SMTPは,生理的血栓溶解を促進するとともに抗炎症作用,抗酸化作用を併せ持ち,血栓性および塞栓性脳梗塞モデルで再灌流促進,浮腫抑制,出血転換抑制活性を示す.SMTP同族体の一つは脳梗塞治療薬として開発中である(第2相試験の症例組入れを2020年11月に完了).本稿ではSMTPの発見,作用機序,薬理活性,医薬開発について紹介する.

  • 島村 宗尚, 中神 啓徳
    原稿種別: 特集:脳梗塞と闘う
    2021 年 32 巻 3 号 p. 284-288
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/22
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    我々はアンジオテンシンIIを標的とした高血圧ワクチンおよびS100A9をターゲットにした抗血栓ワクチンの開発に取り組んできた.いずれも内因性のタンパク質に対する有害な自己免疫反応を回避でき,高血圧ワクチンについては持続的な降圧作用や脳梗塞における脳保護効果が齧歯類で認められ,現在臨床試験に進んでいる.抗血栓ワクチンではクロピドグレルと同程度の効果が長期に持続しつつも出血時間の延長を認めないことがマウスで確認できており,サルでの検討に取り組んでいる.長期にわたる出血傾向などの合併症回避,脳梗塞急性期における既存の抗血栓薬との併用の可否などの検討がさらに必要であるが,服薬アドヒアランスの向上が必要とされている脳梗塞後の二次予防において長期間の効果が見込めるワクチンは,既存の抗血栓薬や降圧剤にかわる新しい治療戦略となる可能性がある.

  • 玉井 克人
    原稿種別: 特集:脳梗塞と闘う
    2021 年 32 巻 3 号 p. 289-295
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/22
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    損傷組織の再生は,各組織に内在する組織幹細胞の量的・質的活性状態に依存する.例えば胎児皮膚には豊富な表皮幹細胞や間葉系幹細胞が存在するため,胎児皮膚を切開しても出生時には傷跡が残らないことが知られている.即ち豊富かつ機能的な組織幹細胞の存在は損傷組織の修復過程で組織発生プロセスを再現する,いわゆるre-generation(再生)を可能とし,結果として傷跡は肉眼的に認識できないレベルまで修復される.我々は,損傷組織内の壊死細胞から放出される核タンパクhigh mobility group box 1(HMGB1)が末梢循環を介して骨髄由来間葉系幹細胞を損傷組織内に集積させて,非瘢痕性機能的組織再生を誘導していることを見出した.現在,HMGB1の骨髄間葉系幹細胞動員活性ドメインペプチドを利用して,劣性栄養障害型表皮水疱症,急性期脳梗塞,変形性膝関節症,慢性肝疾患の患者を対象とした臨床試験が進行している.本稿では,その開発の経緯と現状をまとめるとともに,将来の再生誘導医薬の可能性を展望する.

  • 新妻 邦泰, 冨永 悌二
    原稿種別: 特集:脳梗塞と闘う
    2021 年 32 巻 3 号 p. 296-302
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/22
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    脳梗塞とは,脳を栄養する血管が閉塞もしくは狭窄することにより,その灌流領域に血流不全が生じ十分な酸素や栄養が供給されなくなり,結果として脳神経細胞が傷害されてしまう疾患である.近年の血栓溶解薬やカテーテル治療の進歩により脳梗塞の転帰は改善してきているものの,未だそれらの再開通療法の適応となる患者は10%未満であり,大半の患者には脳梗塞が完成することになる.脳は脆弱な組織であり,かつ再生能力が限定的であることから,完成した脳梗塞に対する根本的な治療は存在しなかったが,近年では幹細胞治療により脳を再生させられる可能性が見いだされ期待が集まっている.本稿では脳梗塞に対する幹細胞治療の現状を概説後,Muse細胞を用いた新規治療開発につき述べる.

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原著
  • 稲葉 浩, 篠澤 圭子, 天野 景裕, 木内 英
    原稿種別: 原著
    2021 年 32 巻 3 号 p. 330-338
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/22
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    ポリエチレングリコール(Polyethylene Glycol: PEG)化第VIII因子(FVIII)は血友病A治療薬の主軸のひとつである.血友病A患者177名を対象とし抗PEG IgG抗体の頻度と特徴について検討した.2種類のPEG化FVIIIとPEG化ウシ血清アルブミンを抗原としたELISAを施行し25名(14.1%)を抗PEG IgG抗体陽性と判定した.PEG化医薬品(PEG化肝炎治療薬,ルリオクトコグアルファペゴル)の使用歴の有無による比較において,抗体陽性率は使用歴のない群の方が高く,PEG化医薬品の使用と抗PEG IgG抗体の因果関係は確認できなかった.抗PEG IgG抗体は比較的若年層に多く,また持続して保持されている可能性が示唆された.抗PEG IgGはFVIII活性を阻害しなかった.抗PEG IgG抗体が確認された1例において,ルリオクトコグアルファペゴルに対して期待した回収率と半減期延長作用が得られなかった.

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