日本血栓止血学会誌
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最新号
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特集 今,あらためて考えるグリコカリックス
  • 岡田 英志
    2019 年 30 巻 5 号 p. 701-710
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    要約:心臓から出た大動脈は末梢に進むにつれ枝分かれし次第に細くなり,最終的には一層の内皮細胞で構成された毛細血管になる.毛細血管では血液と組織の間で酸素をはじめとする物質交換が行われて個体の生命は維持されている.この毛細血管の恒常性維持に重要な役割を果たしているのが多糖類や糖タンパク質で構成される血管内皮グリコカリックスである.血管内皮グリコカリックスは構造が非常に不安定で脆弱であること,毛細血管内皮細胞の構造も内皮細胞同士の接合様式や器官による違いが大きいことにより3 次元構造の同定は困難であった.実際,グリコカリックスの形態は報告によって大きく異なっている.本稿ではそれぞれ構造の異なる心臓,腎臓,肝臓,肺,脳の毛細血管内皮構造とその表面に存在する内皮グリコカリックスの構造の違い,さらに実験的に誘発した血管内皮傷害の傷害形態を紹介する.

  • 飯島 毅彦
    2019 年 30 巻 5 号 p. 711-718
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    要約:グリコカリックスは,血管内皮表面を覆う構造物であり,血管の密閉性を保つ役割を果たしている.血管内外の水の流れは臓器ごとに異なるが,基本的には血管内から血管外への漏出圧力がかかっている.これをグリコカリックスが抑制しているので,ひとたびこの構造物が崩壊すると血管内から血管外への水の漏出が一気に加速することになる.大きなタンパク分子も漏出するようになると間質の水の貯留は顕著になる.グリコカリックスは構造物としてだけではなく,様々な生物学的な機能を有している.血管の緊張度の調整も行っており,適切な緊張度が保たれなくなると血管透過性の亢進が起こる.また,内皮細胞表面の受容体に対する作用も調整しており,細胞内シグナリングを介して細胞間隙のtight junction による密閉性の調整に間接的に関与していると考えられる.血管透過性亢進は様々な重要病態の進展に大きく関与しており,グリコカリックスの機能の解明が求められている.

  • 小嶋 哲人
    2019 年 30 巻 5 号 p. 719-725
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    要約:血管内皮グリコカリックスは,血管内腔の細胞表面を覆う糖蛋白や多糖類から成る構造物で,通常,細胞膜や表層と結合したプロテオグリカンや糖蛋白,さらに外層で細胞膜表面とは結合していない多糖類などで構成される.グリコカリックスは非常に脆弱で,従前の組織固定法ではその構造が失われてしまい,生体内での状態を保ったままでの観察は特に困難であった.近年,組織固定法や解析法の進歩によりグリコサミノグリカン鎖と糖蛋白を主成分とする血管内皮グリコカリックスがはっきり観察できるようになり,その生理的機能解析も盛んに行われている.一方,血管内皮のもつ様々な生理機能は,内皮細胞が産生する様々な生理活性分子の分離・同定ならびにその機能解析を通して解明されてきた.本稿では,血管内皮グリコカリックスの抗凝固機能,すなわちグリコカリックスを介した血管内皮細胞が産生する様々な抗血栓性分子による血液流動性維持機構について概説する.

  • 射場 敏明
    2019 年 30 巻 5 号 p. 726-732
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    要約:血管内皮上に存在するグリコカリックスは,1)血球と血管内皮の摩擦を軽減し円滑な血液循環を維持する,2)血管内腔の抗血栓性を維持する,3)血管透過性の調節を行う,4)血漿蛋白を保持するなどの重要な役割を担っている.グリコカリックスは極めて跪弱な構造体であるがゆえに,様々な生体侵襲によって容易に障害され,結果として生じる組織循環障害の成立に深く関わっている.グリコカリックスの急性障害は,これまで敗血症を中心に研究されてきたが,最近になって外傷をはじめとする非感染性疾患においてもみられることが注目され,endotheliopathy として多くの研究報告が行われているようになっている.今回はグリコカリックス障害と微小循環障害の密接な関係について最近の知見を紹介する.

速報
  • Mirella EZBAN, Kyoko KOMATSU, Hiroko TERANO, Martin HANSEN
    2019 年 30 巻 5 号 p. 733-741
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/15
    ジャーナル フリー

    Nonacog beta pegol (N9-GP; Refixia ®; Novo Nordisk Pharma Ltd.) is a glycoPEGylated extended half-life (EHL) recombinant factor IX (rFIX) developed for prophylaxis and treatment of bleeding episodes in patients with hemophilia B. The efficacy and tolerability of nonacog beta pegol were confirmed in phase 3 clinical trials. Post-administration monitoring of nonacog beta pegol activity may be necessary in specific clinical scenarios. In this two-part study, we evaluated nonacog beta pegol recovery using one-stage clotting assay activated partial thromboplastin time (aPTT) reagents available in Japan, and tested this laboratory analysis at three field sites using various analyzers. Pooled congenital hemophilia B plasma was spiked with nonacog beta pegol. All samples were verified for accurate spiking. Nonacog beta pegol was accurately measured using the ACL TOP®550 coagulation analyzer (Instrumentation Laboratory, Holliston, USA) and ThromboCheck APTT-SLA, ThromboCheck APTT(S), ThromboCheck APTT, Coagpia®APTT-N and Coagsearch®APTT, aPTT reagents readily available in Japan. The CS-5100 analyzer (Sysmex Corporation, Kobe, Japan) using ThromboCheck APTT-SLA underestimated nonacog beta pegol. CS and CA series analyzers (Sysmex Corporation) using Data-fi APTT accurately recovered nonacog beta pegol. Three of the aPTT reagents tested (PTT LA FR, STA®-PTT A and Platelin L II) overestimated FIX activity and are unfit for post-administration monitoring.

第13 回日本血栓止血学会学術標準化委員会(SSC)2019 シンポジウム
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