日本血栓止血学会誌
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Editorial
特集:血小板の産生,数に関連した最新トピックス
  • 錦井 秀和
    原稿種別: 特集:血小板の産生,数に関連した最新トピックス
    2020 年 31 巻 5 号 p. 479-484
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
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    生体内を循環する末梢血中の血小板数は,外界からの様々なストレス・需要に応じて綿密にコントロールされていると考えられるが,造血システムという観点から考えたとき,血小板産生とその前駆細胞である巨核球分化はどのように制御されているのだろうか.従来,巨核球は,造血幹細胞(hematopoietic stem cell: HSC)から骨髄球系共通前駆細胞(common myeloid progenitor: CMP),Bipotentな巨核球/赤芽球系共通前駆細胞(megakaryocyte/erythrocyte progenitor: MEP)へ分化した後,最終的に赤血球分化能を失って産生される終末分化細胞として考えられてきた.このようなHSCを頂点とした階層(ヒエラルキー)を形成する分化モデルは概念的に理解しやすく広く受け入れられてきたが,一方で分化の階層で最上位に位置するHSCと最下層に位置するはずの巨核球の分子学的共通性が以前から指摘されてきた.近年のシングルセル解析技術の発展により,同一の表面抗原を有する集団として捉えられてきたHSC・前駆細胞を,機能的にヘテロな集団の混在として捉える事が可能となった.その結果見えてきたものは,HSCと定義していた細胞の一部は高い巨核球分化能を有しており,生体の需要に応じた巨核球産生制御はHSCとその近傍レベルで行われているという,従来型の階層型血球分化モデルでは説明できない新しい血球分化モデルである.本稿では最近のHSCレベルでの巨核球分化制御に関する報告を解説し,その結果導かれる新規巨核球分化モデルに関して議論したい.

  • 金地 泰典
    原稿種別: 特集:血小板の産生,数に関連した最新トピックス
    2020 年 31 巻 5 号 p. 485-490
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
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    血小板は止血機構や血栓形成だけでなく,炎症や免疫応答においても重要な役割を果たしている.血小板は骨髄巨核球から産生され,寿命を終えた血小板や活性化を受けた血小板は脾臓や肝臓で処理される.我々は抗GPIbα抗体による血小板減少マウスモデルを用いて,血小板処理機構や肝でのTPO産生に及ぼす影響等の解析を行ってきた.また同様のマウスモデルを用いて,幹細胞のマーカーであるSca-1と単球系のマーカーであるF4/80を発現するユニークな巨核球が誘導されることを見いだした.このようなマーカーを持つ巨核球はCMP→MEPを介する従来の分化機序をバイパスし,巨核球を直接産生する造血幹細胞(MK-biased HSC)によるものと考えられた.またその後の研究で,同様の機序がウィルス感染など様々な炎症性ストレスでも誘導されることが分かった.この総説では,ストレス下における造血幹細胞からの血小板産生機構に関する最近の知見及び我々の研究結果を紹介するとともに,今後期待される研究の展望について述べたい.

  • 荒木 真理人
    原稿種別: 特集:血小板の産生,数に関連した最新トピックス
    2020 年 31 巻 5 号 p. 491-497
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
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    巨核球の腫瘍性増殖による末梢血中の血小板増多を呈する本態性血小板血症の大部分の症例では,サイトカイン受容体に結合するチロシンキナーゼJAK2,トロンボポエチン(thrombopoietin: TPO)受容体MPL,分子シャペロンCALRに,相互排他的な遺伝子変異が見いだされる.JAK2とMPL変異はいずれも機能獲得型変異であり,TPOシグナルの恒常的な活性化による巨核球の異常増殖によって,血小板増多が生じる.一方で,これらの中で最後に変異が見つかったcalreticulin(CALR)遺伝子は,それまでTPOシグナルや巨核球分化などとの関連が全く報告されておらず,CALR変異が血小板増多を引き起こすメカニズムは不明であった.本論文では,筆者らがこれまでに明らかにしてきた,変異型CALR蛋白質によるTPOシグナル伝達経路の恒常的な活性化の分子メカニズムについて概説する.

  • 柏木 浩和, 西浦 伸子
    原稿種別: 特集:血小板の産生,数に関連した最新トピックス
    2020 年 31 巻 5 号 p. 498-504
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
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    血小板減少例において標準的な血小板機能検査が確立されていないことから,ITP患者における血小板機能は十分把握されていない.また,ITP患者の血小板は正常者の血小板に比べて一般にサイズが大きいことを,正常例と血小板機能を比較する場合には考慮する必要がある.我々は慢性ITP患者において,近年開発されたフローサイトメーターを用いた血小板凝集能検査,および血小板サイズを考慮したPAC1/CD62P assayを行い,正常コントロールとの血小板機能を比較した.同じサイズの血小板を比較した場合,ITP血小板は正常コントロールに比べ,アゴニストに対する反応性が低下していた.しかし血小板サイズの増大によりこの低反応性は補填され,血小板全体で比較した場合にはITPの血小板機能は正常コントロールと同等~亢進していた.またITP血小板の低反応性にはPA抗GPIIb/IIIa抗体の存在,あるいはTPO-RAの使用が関連している可能性がある.

  • 萩沢 康介, 木下 学, 武岡 真司
    原稿種別: 特集:血小板の産生,数に関連した最新トピックス
    2020 年 31 巻 5 号 p. 505-514
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
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    我々は長期保存可能で緊急での使用も可能な血小板代替物として,H12-(ADP)-liposomeを開発してきた.これは,血小板凝集の要であるフィブリノゲンγ鎖のカルボキシ末端を構成する12個のアミノ酸(400 HHLGGAKQAGDV411:H12)をリポソーム膜の表面に組み込み,リポソーム内部に血小板活性化作用があるアデノシン5’-二リン酸(adenosine diphosphate: ADP)を含有している.まず,急性大量出血後の希釈性血小板減少病態による易出血モデルで,H12-(ADP)-liposome投与による止血救命効果を明らかにした.次に,血小板減少のない個体での衝撃波による致死性肺出血モデルで,H12-(ADP)-liposomeの投与で肺胞傷害の低減と救命効果を確認した.さらに,出血性ショックに対してのプレホスピタルでの新しい治療戦略として,リポソーム内にヘモグロビンを含有した人工酸素運搬体Hemoglobin vesicle(HbV)との併用による救命効果を明らかにした.H12-(ADP)-liposomeは血栓症等の副作用もなく,出血早期に単回投与することで凝固障害が制御可能になり,重症外傷の救命率向上が期待される.

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