日本輸血細胞治療学会誌
Online ISSN : 1883-0625
Print ISSN : 1881-3011
ISSN-L : 1881-3011
53 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著
  • 奥津 美穂, 斎藤 俊一, 小野 智, 小幡 悠子, 渡部 和也, 馬場 千華子, 本田 睦子, 郡司 陽子, 三浦 里織, 佐藤 久美子, ...
    2007 年 53 巻 4 号 p. 463-466
    発行日: 2007/08/27
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    赤血球不規則抗体スクリーニングにおける間接抗グロブリン試験の反応増強剤をアルブミンからポリエチレングリコールへ切り替えたことによる不規則抗体の検出感度についてretrospectiveに比較検討した.
    1990~1996年に不規則抗体検査を行った25,947患者 (実数) と1997~2003年に不規則抗体検査を行った23,039患者 (実数) を比較した.
    赤血球同種抗体陽性率は, Alb-IATでは, 1.07%, PEG-IATでは1.16%であり有意差は認められなかった. しかし, 抗体の特異性は, PEG-IATでは, 抗E, 抗Jkaがより多く検出され (p<0.05), 抗Lebの検出は少なかった (p<0.01). 遅発性溶血性輸血副作用 (DHTR) は16例で観察された (Alb-IAT期10例, PEG-IAT期6例). DHTR関連抗体として, 抗Rh, 抗Jkaが多く検出された.
    DHTR関連抗体は, PEG-IATの方が多く検出されたが, PEG-IATがDHTRを防ぐ検査法としてAlb-IATよりも有用であるとは証明されなかった.
  • 武田 尋美, 坂田 秀勝, 松林 圭二, 坂上 尚仁, 佐藤 進一郎, 伊原 弘美, 加藤 俊明, 池田 久實
    2007 年 53 巻 4 号 p. 467-472
    発行日: 2007/08/27
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    ヒトパルボウイルスB19 (以下B19) に感染した人の献血によって, B19が輸血用血液や分画原料血漿に混入し, 更にその製剤を介して患者にB19が感染する可能性がある. その危険性を減少させるため, 日本赤十字社ではReceptor-mediated hemagglutination assay (RHA) 法による献血者B19スクリーニングを導入した. それにより分画プール血漿中に混入するB19量は大幅に減少した. しかしFDAなどは原料プール血漿に混入するB19DNA量を104geq/mL (IU/mL) 以下とするよう勧告しており, RHA法の検出限界である1010IU/mLでは, この要求を十分に満たすものではない. 今回我々は新しく感度のよいchemiluminescence enzyme immunoassay for screening B19 (CLEIA-B19抗原) を開発した. B19DNA陽性パネル (n=152) をCLEIA-B19抗原で測定した結果, RHA法より4Log高感度であることがわかった. また20プールNAT陰性の671検体をCLEIA-B19抗原で測定した結果, 1例のみ偽陽性となった. 以上のことよりCLEIA-B19抗原は感度特異性に優れ, 献血者B19スクリーニングに有用であると考えられた.
報告
  • 松崎 浩史
    2007 年 53 巻 4 号 p. 473-476
    発行日: 2007/08/27
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    愛媛県における輸血用血液の利用と廃棄の現状を調査した. 調査には愛媛県輸血療法委員会合同会議を構成する25病院中18病院が参加し, 病院での血液廃棄の主体であるRCC (Red Cell concentrates) の66.7%を把握した. 病院規模別のRCC購入量, 廃棄量, 廃棄率は, 500床以上の大規模病院4施設では購入量, 廃棄量, 廃棄率の順に, 26,414単位, 632単位, 2.4%で, 200~499床の中規模病院7施設のそれは13,041単位, 783単位, 6.0%, 199床以下の小規模病院7施設では各々7,607単位, 753単位, 9.9%であった. また, RCC購入量の多い病院では廃棄率は低く, RCC購入量の少ない病院では廃棄率の病院間格差が大きい傾向にあり, 輸血管理体制に加えてRCC転用の難易が廃棄率に影響していると推測された. 今後のRCC廃棄削減対策には中小規模病院のRCC廃棄を削減する工夫が必要と思われた.
論文記事
  • 松山 宣樹, 小島 芳隆, 平山 文也, 保井 一太, 谷上 純子, 福森 泰雄, 吉村 敬次, 田端 信忠, 坂田 尚己, 谷 慶彦, 柴 ...
    2007 年 53 巻 4 号 p. 477-484
    発行日: 2007/08/27
    公開日: 2008/10/31
    ジャーナル フリー
    白血球抗体を検出する方法として, フローサイトメトリー (FCM) 法が一般的に用いられているが, 同方法にはいくつかの欠点がある. その一つは, 好中球や単球抗のバックグラウンド蛍光が高い事, また, 抗体の特異性の同定には好中球, 単球のみならずT-リンパ球, B-リンパ球, 血小板といった他の血液細胞との反応性も同時に検討する必要がある事である. その為, 我々は低バックグラウンドで, かつ, 4系統の白血球と血小板を同時に測定する方法の樹立を試みたので報告する. FCM解析にはエチレンジアミン4酢酸 (EDTA) 採血した全血を試料として用い, 5系統細胞の識別はFSC/SSC分布とCD4, CD20, CD14の発現の有無を基に行なった. その結果, 抗HNA (human neutrophil antigen) 1b血清をHNA 1b陽性細胞と反応させた場合には, 好中球のみが陽性となり, 抗Naka (抗CD36) 血清と反応させた場合には, 血小板と単球が陽性となった. 好中球と単球のバックグラウンドは十分に低くなった. また, HLA Class IIの抗血清を用いたところ, Bリンパ球と単球が陽性となり, HLA Class Iの抗血清では5系統の細胞が陽性であった.
feedback
Top