不規則抗体カードが輸血副作用の予防に役立った症例を経験したので報告する.
当院で診療した抗C+e抗体による遅発性溶血性輸血副作用(DHTR)と輸血後血小板減少症の既往を有する女性が,健康診断の胸部エックス線写真で縦隔拡大を指摘され,大動脈瘤を疑われ弘前大学医学部附属病院へ紹介され手術目的に入院.術前輸血関連検査は異常なかったが,黒石病院で発行した不規則抗体カードにより抗C抗体,抗e抗体,抗HLA抗体の保有既往が判明し,Rho血液型またはHLA抗原との適合血液製剤(それぞれ赤血球製剤·血小板製剤)を使用した.ヘモグロビン最低値12.4g/d
l(術後12日),血小板数最低値114,000/μ
l(術後6日).抗C抗体陽性(術後22日)であったが,ハプトグロビン6mg/d
l未満(術後26日)以外の溶血所見は認めなかった.すなわち,DHTR発症を予防できた.
不規則抗体カードが輸血副作用を防止できることが確認され,そのカードの有用性が広く知られることが期待される.
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