γδ型T細胞は1980年代に存在が確認された細胞集団であり,感染防御に重要な役割を果たしていると考えられていた.近年様々な腫瘍に対して強い細胞傷害活性を有し,癌免疫療法のエフェクター細胞として注目されている.γδ型T細胞は,細菌由来や合成リン酸化合物に対して,
in vivoや
in vitroで強く反応して増殖し,MHC非拘束性に細胞傷害活性を呈する.また含窒素ビスホスホン酸も,
in vivoや
in vitroでγδ型T細胞を増殖させる.これは,含窒素ビスホスホン酸により細胞内のイソプレノイド経路が阻害され,上流に蓄積したリン酸化合物をγδ型T細胞が認識するためである.これらの知見から,
in vivoに直接,含窒素ビスホスホン酸や合成リン酸化合物を投与して,γδ型T細胞を刺激し,さらに活性維持のためインターロイキン2(IL-2)を投与する免疫療法を考案した.一方,
in vitroで大量にγδ型T細胞を培養する方法も考案し,細胞療法としての養子免疫療法も確立した.様々な癌腫に対し臨床研究が行われ,本治療方法の有用性や克服すべき問題点が明らかとなった.本総説では,これまでのγδ型T細胞を用いたがん免疫療法の臨床試験を俯瞰し,問題点および展望について論じる.
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