血小板製剤(PC)による輸血副作用防止にはPCの洗浄が有用だが,通常,これには大型遠心機を用いたPC洗浄(遠心法)が行われる.一方,血液透析や血漿交換など医療機関における血液浄化療法では,中空糸膜を用いた血球と血漿の分離が一般的である.
そこで我々は市販の膜型血漿分離器(分離器)EC-4A10の中空糸外側にPCを充填し,洗浄液BRS-Aにより血漿成分を除去する洗浄血小板調製法(膜法)を開発した.本研究では膜法と遠心法で調製した洗浄血小板の品質を比較した.
血小板回収率は,膜法95.8%と遠心法90.4%で膜法が有意に高かった.血漿蛋白除去率は,膜法,遠心法の順にアルブミンは93.2%,97.2%,IgGは92.1%,96.2%,IgAは78.0%,96.2%,IgMは7.3%,96.5%,総蛋白は85.8%,95.7%と概ね遠心法が有意に高かった.一方,遠心法では調製に伴ってCD62P陽性率の上昇とHSR低下がみられたが,膜法でこれらはなく,調製後48 hまで良好な品質を維持した.
膜法は血小板回収率の高さと血小板活性化の少なさにおいて,遠心法はIgMなどの分子量が大きな物質の蛋白除去能において優れていた.また,膜法はどこの施設でも行える利便性もあり,洗浄血小板の調製法として意義のある方法と思われた.
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