日本輸血細胞治療学会誌
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62 巻 , 6 号
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Picture in Transfusion Medicine & Cell Therapy
総説
  • 堀 勇二
    2016 年 62 巻 6 号 p. 623-629
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー

    輸血検査において直接抗グロブリン試験陽性は,しばしば遭遇するやっかいな問題である.陽性の原因には自己免疫性疾患,新生児溶血性疾患,血液型不適合輸血,薬剤の影響によるものなどが考えられる.

    直接抗グロブリン試験陽性者に認められる自己抗体は,特定の血液型抗原に特異性を示すものは少なく,約半数がRh血液型の高頻度抗原に特異性を示し,残りの半数は赤血球膜上のband3に対する抗体と報告されている.また,band3に対する抗体の約半数は抗Wrbの特異性である.特定の血液型抗原に特異性を示す抗体には,真の抗原と反応する抗体と,別の抗原と反応しているが真の抗原と反応する抗体と同様の特異性を示すmimicking抗体がある.Mimicking抗体にはRh血液型に特異性を示すものが多い.

    自己抗体を保有する患者への輸血は,日本輸血・細胞治療学会からガイドラインが示され,自己抗体が特定の抗原に特異性を示さない場合や自己抗体以外に同種抗体を保有する場合に分けて推奨する輸血血液が示されている.自己抗体によりクロスマッチ陽性となる血液の輸血の安全性については,適切な血液を選択することにより,輸血効果があり溶血のリスクのないことが文献で示されている.

    一方,病的な原因ではなく,生理的に赤血球に対する自己抗体が準備され,赤血球寿命に関連していることが報告されている.

  • 岡崎 仁
    2016 年 62 巻 6 号 p. 630-634
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
  • 穴澤 貴行, 岡島 英明, 上本 伸二
    2016 年 62 巻 6 号 p. 635-640
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー
ガイドライン
原著
  • 畑山 祐輝, 松本 智子, 浜田 映子, 小島 奈央, 原 文子, 本倉 徹
    2016 年 62 巻 6 号 p. 684-688
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー

    当院では2014年1月に輸血部門システムの更新に伴いA&T社のCLINILAN BT-2を導入し,同年5月にはコンピュータクロスマッチ(CC)も実施できるようになった.また輸血副作用の集計や輸血後感染症実施率の向上を目的としたシステムを構築した.システム更新によって改良した点についての成果と課題について考察する.CCの評価については,システム更新の前後1年間における赤血球製剤の廃棄血本数について評価を行った.輸血副作用の調査は,2013年1月から2015年8月までに輸血を実施し,副作用を認めた280名について解析を行った.輸血後感染症検査実施率は2011年1月~2015年12月の間に当院で新規に輸血を実施した患者3,482名を対象とし,対象患者のうち輸血後感染症検査を実施した割合を年度ごとに求めた.CC導入後はCCによる出庫件数が優位となり,赤血球製剤の廃棄本数が有意に減少した(11.2U/月vs 1.8U/月,p<0.05).輸血副作用の原因と考えられた製剤は血小板製剤(42.9%),赤血球製剤(37.1%),新鮮凍結血漿(17.7%)の順に多く,症状は発疹・蕁麻疹が最も多かった(33.9%).輸血後感染症実施率はシステム導入後増加傾向がみられた.システム更新により業務の効率化や安全な輸血医療の実施に貢献できると考えられた.

  • 北澤 淳一, 田中 朝志, 牧野 茂義, 紀野 修一, 佐川 公矯, 髙橋 孝喜, 半田 誠
    2016 年 62 巻 6 号 p. 689-698
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー

    日本輸血・細胞治療学会では,我が国の輸血管理及び実施体制と血液製剤使用実態を把握するために調査を実施し,特に300床未満施設の体制整備が不充分と指摘してきた.300床未満施設では未回答が多く,結果の判断が困難であった.2013年調査では300床未満施設に設問数を絞って詳細調査を実施し,その結果から体制整備を評価した.調査は10,176施設(300床未満施設9,119施設)を対象に実施した.輸血管理体制として,人的配置は病床規模が小さいほど配置困難が多く,そのため検査実施者の観点から危険な状態の施設があった.同意取得・同意書整備,副作用対応体制,輸血後感染症対策は病床規模が小さいほど実施方法が不備であった.小規模施設でも対応可能な点については整備する必要がある.そのためには国,学会,合同輸血療法委員会の多様な協力が必要である.

  • 阿部 真知子, 藤原 実名美, 伊藤 智啓, 細川 真梨, 郷野 辰幸, 岩木 啓太, 石岡 夏子, 佐藤 裕子, 関 修, 成田 香魚子, ...
    2016 年 62 巻 6 号 p. 699-704
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー

    同種造血幹細胞移植(SCT)ではABO血液型不一致移植は広く行われているが,マイナーミスマッチ(m),メジャーマイナーミスマッチ(Mm)における患者赤血球に対する規則抗体の長期的な動向は十分明らかではない.2001年3月~2012年12月に当院で施行されたm及びMm移植のうち,生着が得られドナー血液型への移行を確認した61例で,血液型検査の反応強度の推移を検討したところ,一貫して患者赤血球型に対する抗体不検出が52例,血液型移行前の一過性の抗体検出が6例で,血液型移行時以降の患者赤血球型に対する抗体検出は3例認めた.3例は複数回移植例で,最終移植時に患者本来の血液型に戻った症例,又は患者が本来保有していた抗体の一部を発現した症例だった.mSCT後のウラ試験陰性は臨床的に経験され,免疫学的寛容,抗体吸着等の機序が推測されているが,複数回移植で最終ドナーの発現する抗体が,患者の本来保有していた抗体と同じである場合は,ウラ試験が陽性になりうることが考えられた.またmSCT後にウラ試験陰性となる機序としては,体内に広く発現される血液型物質への抗体吸着の影響が大きいことが推測された.

  • 平山 順一, 岩間 輝, 茶谷 真, 小野寺 秀一, 金子 祐次, 柴 雅之, 永井 正, 佐竹 正博, 田所 憲治
    2016 年 62 巻 6 号 p. 705-710
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー

    自動血球洗浄装置ACP215を用い,採血翌日および採血翌々日の濃厚血小板製剤(PC)から血小板保存液BRS-Aによって調製した洗浄血小板の品質について,洗浄後72時間まで検討した.

    洗浄による血漿タンパク除去率は98%以上,血小板回収率は平均87%以上であった.

    採血翌日PCから調製した場合,pHは保存期間中6.8を下回ることはなかった.MPVは洗浄直後に上昇したがそれ以降は洗浄前と有意差が無いレベルまで戻った.%HSRは洗浄直後に10%低下し,その後は洗浄前よりも高い値を示した.血小板の形態を表す指標であるE800/E0の値は洗浄直後に上昇し,その後は低下し洗浄前の値に近づいた.CD62Pの値は洗浄直後に36.8%まで上昇したが,洗浄直後から72時間後までは有意な変化がなかった.スワーリングは洗浄直後には一時的に弱くなったが,数時間で回復し,洗浄72時間後まではっきりと観察できた.採血翌々日PCから調製した場合についても同様な結果が得られた.

    以上のことから,自動血球洗浄装置ACP215を用いBRS-Aで調製した洗浄血小板の品質は,洗浄直後に一時的な低下が見られたものの大きなダメージではなく,洗浄72時間後でも良好に維持されていると考えられる.

  • 竹下 明裕, 古牧 宏啓, 浅井 隆善, 梶原 道子, 岩尾 憲明, 室井 一男
    2016 年 62 巻 6 号 p. 711-717
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー

    近年,若年者の献血人口の減少が問題になっている.将来の献血を担う,高校生の献血に対する意識調査を行うことは献血の将来を考えていく上で重要である.アンケート方式による50項目の意識調査を行い,献血に関する高校生への広報や教育の現状と高校生の意識を調査した.調査は連結不可能の疫学調査として行い,35校中30校から協力が得られ,調査対象16,333人のうち15,521人(95.0%)より回答を得た.男性49.3%,女性は49.8%であった.

    献血を経験した高校生は1,198人(7.7%)で,未経験者は88.6%であった.疲労感や睡眠不足,ダイエット等は採血の際に注意すべき生活習慣である.献血可能年齢と体重,献血場所,献血に関わるリスク,血液の海外依存度等の献血に関する知識は不十分であった.献血への関心度は献血経験のある高校生で高く,初回献血の重要性が示唆された.高校への出張献血や献血に関する授業は献血を推進していく上で有用である.しかし献血に関する教育手法と普及活動にはさらに工夫が必要であると思われる.

  • 菅野 仁, 牧野 茂義, 北澤 淳一, 田中 朝志, 髙橋 孝喜, 半田 誠, 室井 一男
    2016 年 62 巻 6 号 p. 718-728
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー

    2014年に日本赤十字社より輸血用血液製剤が供給された実績のある10,166施設を対象にアンケート調査を実施した.今回の回答は5,261施設から得られ,回答率は51.75%に達し,過去8回で最も高い値を示した.日本赤十字社からの総供給量との比較で,捕捉率は,赤血球製剤73.5%,血小板製剤82.1%,血漿製剤78.1%に達した.

    輸血管理料取得施設は輸血管理料Iが10.63%,IIが27.56%に達した.輸血適正使用加算を取得している施設は27.61%であった.日本における血液製剤の90%以上が輸血管理料取得施設で実施されていた.輸血実施予測患者数は同種血937,390人,自己血114,473人であり,2012年以降で最も低い値を呈した.

    一病床あたりの製剤別血液製剤使用量は前年比で,赤血球製剤108.3%,血小板製剤109.1%,血漿製剤88.2%,アルブミン製剤98.1%,免疫グロブリン製剤107.8%であった.都道府県別の血液製剤・血漿分画製剤の使用状況において,一病床あたりの製剤使用量は各県で大きく異なっている.引き続き各都道府県における適正輸血の達成状況を調査する必要があると考えられた.

短報
  • 丸橋 隆行, 横手 恵子, 石川 怜依奈, 西本 奈津美, 須佐 梢, 関上 智美, 横濱 章彦
    2016 年 62 巻 6 号 p. 729-732
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー

    群馬県では合同輸血療法委員会が中心となり,患者の転院に伴う貯血式自己血の搬送システムを構築した.搬送する時に問題となるのが製剤の温度管理であり2~6℃を保つ必要がある.今回,3.3℃を融点とする蓄冷剤(STS3,STS研究所)の性能評価と製剤搬送に利用できるかを検討した.STS3は-30℃のフリーザーで凍結したのちに4℃の冷蔵庫で保管することで140分後に2℃まで温度が上昇し,赤血球製剤の保冷剤として使用できる状態になった.製剤搬送についての検討では,搬送バッグを予冷する,冷凍後に保冷剤として使用可能な温度に上昇させた後の保管期間を短くすることで最大289分の保冷が可能であった.群馬県内での搬送を想定した場合,最大3時間以内であるため,貯血式自己血を受け渡すためには十分な時間である.このことから,この蓄冷剤を用いることで貯血式自己血の群馬県内の病院間搬送を安全に行える可能性が示された.

症例報告
  • 曳地 理絵, 川畑 絹代, 黒須 由美子, 安田 広康, 赤井畑 美津子, 菊田 敦, 大戸 斉
    2016 年 62 巻 6 号 p. 733-739
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー

    低力価HLA抗体により血小板輸血不応(PTR)を来たした,前感作のない10代女児症例を経験した.2011年,前医にて再生不良性貧血疑いのため精査加療目的で当院へ転院となった.当初は濃厚血小板(PLT)輸血で良好な輸血効果を得ていたが,16病日以降,PLT輸血後にしばしば補正血小板増加数1時間値(CCI-1)が著明な低値を示し,免疫学的要因のPTRを疑った.22病日の血清にて血小板抗体検査を実施したところ,混合受身凝集法(MPHA)と抗ヒトグロブリン-リンパ球細胞傷害試験(AHG-LCT)にてHLA抗体,HPA抗体いずれも陰性であったが,蛍光ビーズ法にてHLA抗体(抗体特異性:anti-HLA-A31,B51)が検出された.その後,ドナー指定PLTまたはHLA適合PLT計130単位(12 bag)が輸血され,大部分で輸血効果が得られた.

    前感作がなくPLT輸血治療開始後比較的短期間でもHLA抗体は産生される.さらに,この抗体が低力価であってもPTRを来たし得る.

  • 金 錦麗, 岡部 雅一, 大宮 章子, 柳川 喜代子, 古田 耕, 松原 賢弘, 青木 淳, 金森 平和
    2016 年 62 巻 6 号 p. 740-744
    発行日: 2016/12/20
    公開日: 2017/01/12
    ジャーナル フリー

    我々は,抗fと抗c保有患者に対しR1R1(CCDee)赤血球輸血を行っていたにもかかわらず,抗Eを産生した症例を経験した.

    血小板輸血による同種抗原感作を疑い,輸血した10バッグの血小板製剤のRh-Hr血液型を調べた.その結果,4バッグがR1R2(CcDEe)であり,この内2バッグは抗E産生前に投与されていた.我々はこの製剤中のE抗原の感作により,抗体を産生したと考えた.

    血小板製剤中にはわずかながら赤血球が混入しており,血小板輸血により抗体を産生させる可能性があることを再認識した.

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