非特異的な反応を示す赤血球自己抗体の存在により,交差適合試験や不規則抗体検査など種々の検査が干渉を受けることは一般的に知られている.
今回我々は,赤血球自己抗体保有症例13症例に対して実施された赤血球輸血について解析を行った.
赤血球輸血を実施した13症例の疾患はAIHAが9例,非AIHAが4例であり,検出された赤血球自己抗体は温式赤血球自己抗体が12例,冷式赤血球自己抗体が1例だった.また,赤血球自己抗体が患者血液型に特異性を認めたものが1例(自己抗c),赤血球自己抗体と同種抗体の混在を認めたものが1例(抗c,抗E,抗Dia,抗M)であった.
13例中6例で輸血後のHb値上昇率は50%以上の上昇を認め,また全例で重篤な溶血所見は認められなかった(LD,AST,T-Bil,I-Bil).
赤血球自己抗体保有患者への赤血球輸血は,適切な検査を実施して同種抗体の有無を確認すること,また,赤血球輸血後の同種抗体産生防止のため主要な血液型抗原を患者血液型と一致させた製剤を選択することが重要である.
抄録全体を表示