日本輸血・細胞治療学会よりクリオプレシピテート院内調製ガイドラインが発表され標準化が期待されるが,調製方法の違いによるフィブリノゲン回収率について詳細な記録は過去の文献にもあまり見られない.
本研究の目的は,品質向上の為のクリオプレシピテート製剤の調製方法の最適条件を求めることである.
方法は,解凍回数(1回,2回),解凍時間(18時間,24時間),遠心条件(低回転,高回転),2回法の場合の再解凍時の状態(完全凍結,未完全凍結)について比較検討を行った.また調製直後の凍結温度(-30℃,-80℃)の違いによるフィブリノゲン回収率の比較検討を行った.
結果は,解凍回数では2回の方が約16%高く,解凍時間は18時間の方が約6%高かった.遠心条件の違いに有意差は認めなかった.再解凍時に不完全凍結状態では約20%低下した.調製後の凍結を-30℃で行うと,フィブリノゲン濃度は調製時よりも36%低下した.
クリオプレシピテート製剤の回収率向上の為には,解凍回数2回,約18時間での解凍,再解凍時には完全凍結状態であり,調製直後は出来る限り低温にて急速凍結を行うことであった.
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