日本輸血細胞治療学会誌
Online ISSN : 1883-0625
Print ISSN : 1881-3011
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Picture in Transfusion Medicine & Cell Therapy
総説
  • 酒井 宏水
    2018 年 64 巻 4 号 p. 589-596
    発行日: 2018/08/31
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    輸血治療は現行の医療に不可欠であり,国民の医療と健康福祉に多大の貢献をしている.しかし,危機的出血にある傷病者に対し輸血が出来ない状況がある.我々は輸血治療を「補完」するため,人工赤血球(Hemoglobin vesicles,Hb-V)を開発し,その性能を多角的に研究してきた.日赤や医療機関等で発生する使用期限の過ぎたNAT検査済み赤血球からウィルス不活化・除去工程を経てヘモグロビンを精製単離し,諸工程を経て,緊急時にいつでも投与できる人工赤血球製剤に「再生」できる.本研究は,厚労科研,AMED臨床研究・治験推進研究事業として推進され,製造法が確立され,また非臨床試験により輸血代替としての安全性と有効性に関する膨大な知見を得ている.さらに,Hb-Vの物理化学的利点を活かすことにより,他の用途にも応用が可能であることも解ってきた.

症例報告
  • 清川 知子, 高 陽淑, 桑鶴 知一郎, 中山 小太郎純友, 細川 美香, 櫻木 美基子, 森川 珠世, 中尾 まゆみ, 青地 寛, 石井 ...
    2018 年 64 巻 4 号 p. 597-601
    発行日: 2018/08/31
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    母児不適合に起因する新生児同種免疫性血小板減少症(neonatal alloimmune thrombocytopenia:NAIT)は,時に複数のHPA抗体が検出される場合があるが,本論文では3種類のHPA抗体に起因するNAIT症例を提示する.当該症例(第2子)の出生時血小板数は7.3×104lと中等度の血小板減少を認めたが,出血斑などは認めなかった.血小板抗体検査ではHLA抗体は陰性であり,MPHA法にてHPA-5a抗体を中心に複数の抗体の存在が示唆された.母親血清と父親血小板の交差試験はMAIPA法で陽性であり,HPA-4,HPA-5,HPA-6,HPA-15抗体の存在が示唆された.さらに,血小板ジェノタイプおよびそれぞれのHPA発現K562細胞での解析より,母親血清はHPA-4b,HPA-5a,HPA-15b抗体を有することが明らかとなった.欧米では3種類の複合抗体を有する症例は報告されているが,本邦では本例は初めての症例である.本症例はMPHA法とMAIPA法の併用によりHPA-4b,HPA-5a,HPA-15b抗体を検出できたと考える.

  • 青木 香苗, 山口 恭子, 柗尾 綾花, 榎本 麻里, 堀田 多恵子, 平安山 知子, 亀崎 健次郎, 康 東天
    2018 年 64 巻 4 号 p. 602-607
    発行日: 2018/08/31
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

    今回,出生後に児由来赤血球(以下児赤血球)の出現が遅延した抗Dによる胎児・新生児溶血性疾患(HDFN)症例を経験した.

    母体は1経妊1経産,A型RhD陰性,抗D陽性(抗体価128倍)であり,第1子がHDFN既往のため本症例である第2子の妊娠14週に当院紹介となった.妊娠28週に抗D抗体価256倍となり,31週及び33週に胎児貧血が疑われ,O型RhD陰性のRBCで計2回(31週時約100ml,33週時約130ml)の胎児輸血を実施し,妊娠36週に誘発分娩となった.児は出生時,溶血及び黄疸は軽度であったが,日齢0に大量免疫グロブリン投与(1.5g/kg)をされた.血液型検査で胎児輸血前はAB型RhD陽性であったが,出生直後はO型RhD陰性,抗D抗体価1,024倍であり,児赤血球が消失し輸血製剤由来の赤血球に置き換わっていることが示唆された.その後,抗D抗体価が4倍まで低下した日齢83に輸血検査にて初めて児赤血球が検出できたことより,出生後の児赤血球の出現遅延には抗Dが関与していると考えられた.この期間,溶血所見は乏しいものの緩徐に貧血が進行し,輸血を要した.

    本症例のような胎児輸血を必要とするHDFN症例では輸血前の血液型検査実施と,経時的に抗体価をモニタリングすることは重要である.

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