【緒言】献血での血管迷走神経反応(以下VVR)回復に1時間以上を要した症例の特徴を検討した.
【対象症例】2020年3月より遡ってVVR発症から献血会場退場までに要した時間が1時間未満の症例80例(未満例),1時間以上の症例50例(以上例).
【方法】(1)男女比,全血採血と成分採血の比率,(2)下肢挙上,坐位・半坐位,退出という標準的経過例における,下肢挙上時間,坐位・半坐位から献血会場退場までの時間を比較した.また(3)再度の下肢挙上など標準的経過を逸脱した症例(逸脱例),(4)点滴施行例の特徴を副作用記録から調査した.
【結果】(1)全血採血では有意に女性の以上例が多かったが(p=0.017),成分採血では男女比に有意差は認めなかった(p=0.28).(2)坐位・半坐位から献血会場退場までの時間が以上例で2倍以上に延長していた.(3)逸脱例では坐位・半坐位後気分不良が目立った.(4)点滴施行例ではVVR発症時血圧が非点滴施行例に比べて有意に低かった(p=0.035).主たる症状は痙攣3例,嘔吐1例,腹痛1例,坐位・半坐位後気分不良3例,歩行後気分不良2例であった.
【考察】VVRの回復に長時間かかった症例の特徴を示した.これらの知見を治療方針の決定に役立てたい.
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