寒冷凝集素症は自己免疫性溶血性貧血の一病型に分類され,鑑別には,特異抗血清を用いた直接抗グロブリン試験や寒冷凝集素価の測定がある.人工心肺を使用する待機的手術症例において,術前検査で高力価寒冷凝集素が判明.寒冷凝集素症と診断され,寒冷凝集素温度作動域(Thermal amplitude:TA)測定試験を実施した症例を経験したので報告する.患者は60歳男性,現病歴は狭心症,僧帽弁閉鎖不全症.術前検査で高力価寒冷凝集素が判明し,TA測定試験が依頼された.寒冷凝集素価は,5℃ 2,048倍,15℃ 256倍,21℃ 16倍,24℃ 16倍,28℃ 4倍,30℃ 4倍,35℃ 2倍であった.TA測定試験の結果から,35℃と比較して2管差以上の寒冷凝集素価の上昇を認めた24℃以下で凝集が悪化すると判断し,心筋保護液は30℃以上とした.手術は完遂されたが人工心肺離脱が困難であり,ECMO補助下でICUに入室.術後42日目,肺化膿症などの合併症により永眠された.TA測定試験は,in vitroで赤血球凝集が起こる作動温度を確認することにより臨床判断の一助となりうる.TA測定試験は臨床判断に直結する検査であり,臨床検査の付加価値を高め,臨床貢献に繋がる.
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