日本輸血細胞治療学会誌
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最新号
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総説
  • 正本 庸介
    2026 年72 巻4 号 p. 679-685
    発行日: 2026/08/25
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル フリー

    多発性骨髄腫(MM)治療は,抗CD38抗体を含む4剤併用療法,免疫療法の導入により大きな転換期を迎えている.自家造血幹細胞移植(ASCT)は,大量メルファランによる強力な細胞傷害性治療として,長年にわたり初発移植適応MMの標準治療となってきた.3剤併用療法時代のランダム化比較試験では,ASCTにより無増悪生存期間の延長や微小残存病変(MRD)陰性化率の向上が一貫して示された.一方,救援療法の進歩などによって全生存期間への上乗せ効果は明確でなくなり,4剤併用療法の普及によりASCTなしでも深い奏効と長期PFSが期待されるようになり,ASCTの上乗せ効果,移植を省略しうる患者集団,治療強度の最適化が新たな論点となっている.現時点では移植適応症例に対しては,抗CD38抗体を含む導入療法,ASCT,地固め療法,維持療法を組み合わせ,深い奏効と持続的MRD陰性を目指す戦略が標準であるが,今後は疾患リスク,MRD,年齢,併存症,二次性悪性腫瘍リスクなどを踏まえた個別化が進むことが期待されるともに,早期免疫療法との比較も注目される.本稿では4剤併用療法時代のASCTの意義と今後の位置づけを概説する.

ガイドライン
原著
  • 中川 智裕, 嶋 裕子, 西久保 敏也, 櫻井 嘉彦
    2026 年72 巻4 号 p. 695-701
    発行日: 2026/08/25
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル フリー

    目的:近年,気象条件と健康状態との関連が注目されている.すでにわれわれは,最低気温,気温日較差,平均風速などの気象要素が献血関連の血管迷走神経反応(VVR)発症に影響し,特に成分献血において顕著であることを報告した.本研究では,VVR発症に関連する気象条件が献血者の属性によって異なるかを検討した.方法:3年間の奈良地方気象台の気象データと献血者属性を対象とし,VVR発症者の,性,年齢(若年:16~29歳,中年:30~49歳,高年:50~69歳),および体格(身長,体重,BMIの各中央値で2分割)の層別に多変量ロジスティック回帰分析を行った.結果:高年男性と若年女性では低風速が,中年女性では大きな気温日較差がVVR発症のリスク因子であった.さらに,女性において,低身長・高体重・高BMI群では大きな気温日較差が,低体重・低BMI群では低風速がリスク上昇に関与することが示された.考察:得られた結果は,VVR発症に対する気象感受性が献血者の属性により大きく異なることを示唆している.本研究は,気象条件に基づく発症予測モデルの構築や,個別化された献血者管理戦略の策定に寄与しうる.

論文記事
  • 布施 久恵, 若本 志乃舞, 有澤 史倫, 金敷 拓見, 藤原 満博, 秋野 光明, 鳥本 悦宏
    2026 年72 巻4 号 p. 702-711
    発行日: 2026/08/25
    公開日: 2026/09/11
    ジャーナル フリー

    【背景および目的】近年,冷蔵保存した血小板(PLTs)の機能が再評価されている.日本においては,冷蔵保存を行うタイミングとして採血直後(Day 0,対照群)もしくは細菌スクリーニングの感度向上のための待機保管期間終了後(Day 2,DCS2),あるいは室温保存の有効期間終了後(Day 5,DCS5)が考えられる.本研究は,冷蔵保存の開始時期の違いが,血小板機能に及ぼす影響を検討した.

    【材料および方法】成分採血装置を用いて高濃度血小板を採取し,血小板保存液(T-PAS+,Terumo BCT)に置換したPAS置換血小板を冷蔵保存開始日が異なる3群(Day 0,Day 2,Day 5)に分けた.各群をDay 21まで保存し,血小板機能として,凝集能(ADP+コラーゲン凝集およびリストセチン凝集),血液粘弾性[最大血餅硬度(maximum clot firmness:MCF),凝固時間,α角度]ならびに血小板活性化マーカー(CD62P,PAC-1,CD63,Annexin V)を測定し,比較した.

    【結果】Day 14までの結果を比較したところ,検討した血小板機能のうち,DCS2群およびDCS5群において低下が認められたのは,ADP+コラーゲン凝集能およびMCFのみであった.しかしながら,Day 10におけるDCS2群およびDCS5群の凝集能およびMCFの値は,Day 14における対照群(米国における有効期間)と比べて顕著な差を示さなかった.

    【結論】採血後に2日または5日間室温保存した後に冷蔵した血小板(遅延冷蔵PC)は,Day 10まで保存可能であると考えられた.

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