HeLa cell, human gastric cancer cell, human lung cancer cell の3種類の培養悪性腫瘍細胞を in vitro にて5~400μg/dlの6段階濃度の mitomycin C (MMC), あるいは bleomycin にそれぞれ10, 20, 30分の曝露を行い, 最低有効腫瘍細胞死滅条件を求めた. その結果, bleomycin ではいかなる条件設定でも培養液上での腫瘍細胞増殖, コロニー形成がみとめられ, MMCについては200μg/dl以上, 20分間以上の曝露にて腫瘍細胞の生育, コロニー形成はみとめられなかった. なお, 200μg/dl以下の濃度ではたとえ曝露時間を30分まで延長させても細胞生育阻止効果はえられなかった.
この成績は血液回収自己輸血中に, 悪性腫瘍細胞が混入する可能性のある場合に応用される. すなわち, 実地臨床使用時には, 回収赤血球が分離ボール内 (Haemonetics Cell Saver
®: 250ml) に集積した時点で, 30mgのMMCを赤血球と混合し, 20分間放置することによってその目的を達する. このようなMMC曝露中, MMCの一部が赤血球内へ移行すること (曝露濃度の1/5量) がみとめられたが, これにともなう赤血球機能, すくなくとも赤血球変形能には変化がみとめられなかった.
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